魔女メルセデスは爆破しかできない
魔女はやっぱり落ちこぼれ認定される
「全く、本当に魔女なのか疑いたくなります」
イライラとした口調でそんなこと言うのはアィヴィ。
あれからメルセデスに群がるコボルト共をアィヴィは一蹴。本当に蹴りの一撃で吹き飛ばした。
吹き飛ばされたコボルトたちは犬のような悲鳴をあげながら吹き飛び、運が良かったものは地面を跳ねるだけで済んだのだが、運の悪いものは木にぶつかり意識を失うこととなった。
そんな圧倒的な力の差を見せつけたゴーレムメイドは現在メルセデスの手を引きながら森の中を歩いているところだった。
手を引かれているメルセデスはというとポロポロと涙を流し愚図りながら歩いているためどちらが主人かわからないような状態であった。
「だ、だっでぇ、ぐす、森のながでごんなにおぞわれるなんでおもっでながっだんだもん」
アィヴィに手を引かれて歩くメルセデスの姿はこれはまた酷いものであった。
ローブはボロボロ、下のシャツとスカートは至る所が破け肌色が露出していた。頭の三角帽子に至っては三角部分が削り取られシャンプーハットのようになっており、顔は泥だらけで涙を流しているものだから奇抜な化粧をしているようにも見えるのだ。
「たかだかコボルトに襲われただけでしょう? どうしたらそこまでボロボロになるのです?」
呆れたように喋りながらもアィヴィはじゃれつくように飛びかかってくるコボルトの首を掴み捻るようにして骨をへし折る。
「マスターには爆裂ポーションがあるじゃないですか? それに魔女としての魔法も」
「知ってて言ってるでしょ? ボクの体が特殊で魔法が乱発できないこともあとポーションもこんな森の中で簡単に使えないことも」
ようやく泣き止んだメルセデスであったが今度はふてくされたかのように頰を膨らませる。ただし泥だらけで。
「はい、ですが魔法はともかポーションの方は威力を調整すればいけると思いますが…… ま、そんな器用なことはできませんか」
「はいって言ったよ! このメイド!」
「メイドは嘘をつきませんので」
「今さらっと嘘いったじゃん!」
メルセデスの抗議の声をアィヴィは無視。
そのまま主人の手を引きながら歩き続ける。
メルセデスも文句を言いつつも手を離したりしない。自分でも自身の運も身体能力も低いのを理解しているし、そんな自分がアィヴィから離れたらロクでもないことが起こるというのを理解しているからだろう。
「しかし、妙です」
「なにが?」
周囲への警戒を緩めることなくアィヴィが呟く。しかし、そんなアィヴィへと返ってきた返事は全く何も感じていないようなメルセデスの言葉だった。
主人の反応は分かっていたのだがアィヴィは自然と小さなため息をついた。
「魔女らしく異常を察知できたりしません?」
「落ちこぼれ魔女になにを期待してるのさ!」
「……力強く言ってますが、言ってて悲しくありませんか?」
「ならない!」
もう少しでいいので自己評価をあげてほしい、いや、上がりすぎるとうざそう。などと考えるアィヴィであった。
「とりあえずは妙です。先程から遭遇するのもコボルトばかりですし、他の動物も見られません。ゴブリンなどもいるはずなのですがそれすら見られません。アィヴィ的には、くっ殺状態な騎士とかが見たかったのですが残念です」
「残念ではないよね?」
「と冗談で言っていたわけですがもしかしたら、くっ殺は見れるかもしれません」
「へ? なんで」
メルセデスの問いに対してアィヴィは森の奥を指差す。そちらにメルセデスも視線を向けるわけだがなにも見えない。ゴーレムと魔女では視力に差がありすぎるのだから当然である。
ついでに言えば聴力もなのだが、そしてアィヴィの見ている森の奥では戦闘のような音が僅かに聞こえていた。さらに言うならやたらと光りまくっていた。
「マスター行きますよ。運良く依頼達成ができたらお金儲けです」
アィヴィはやる気に満ち溢れているようだがメルセデスはというて対照的で全くやる気が見られなかった。
「ボクとしては調味料を買うだけのはずだったんだけど……」
「行きますよ!」
掴んでいた手を離し、アィヴィはメルセデスをまるで荷物のように脇に抱えるようにし、一気に跳躍する。
「ぐぇぇ! もっと至宝を扱うように優しく!」
「至宝なら落ちこぼれということはないでしょう」
荷物のように運ばれることに抗議の声を上げるメルセデスを花で笑いながらアィヴィは木から木へと飛び移り、戦闘の音が響く場所へと向かうのであった。
イライラとした口調でそんなこと言うのはアィヴィ。
あれからメルセデスに群がるコボルト共をアィヴィは一蹴。本当に蹴りの一撃で吹き飛ばした。
吹き飛ばされたコボルトたちは犬のような悲鳴をあげながら吹き飛び、運が良かったものは地面を跳ねるだけで済んだのだが、運の悪いものは木にぶつかり意識を失うこととなった。
そんな圧倒的な力の差を見せつけたゴーレムメイドは現在メルセデスの手を引きながら森の中を歩いているところだった。
手を引かれているメルセデスはというとポロポロと涙を流し愚図りながら歩いているためどちらが主人かわからないような状態であった。
「だ、だっでぇ、ぐす、森のながでごんなにおぞわれるなんでおもっでながっだんだもん」
アィヴィに手を引かれて歩くメルセデスの姿はこれはまた酷いものであった。
ローブはボロボロ、下のシャツとスカートは至る所が破け肌色が露出していた。頭の三角帽子に至っては三角部分が削り取られシャンプーハットのようになっており、顔は泥だらけで涙を流しているものだから奇抜な化粧をしているようにも見えるのだ。
「たかだかコボルトに襲われただけでしょう? どうしたらそこまでボロボロになるのです?」
呆れたように喋りながらもアィヴィはじゃれつくように飛びかかってくるコボルトの首を掴み捻るようにして骨をへし折る。
「マスターには爆裂ポーションがあるじゃないですか? それに魔女としての魔法も」
「知ってて言ってるでしょ? ボクの体が特殊で魔法が乱発できないこともあとポーションもこんな森の中で簡単に使えないことも」
ようやく泣き止んだメルセデスであったが今度はふてくされたかのように頰を膨らませる。ただし泥だらけで。
「はい、ですが魔法はともかポーションの方は威力を調整すればいけると思いますが…… ま、そんな器用なことはできませんか」
「はいって言ったよ! このメイド!」
「メイドは嘘をつきませんので」
「今さらっと嘘いったじゃん!」
メルセデスの抗議の声をアィヴィは無視。
そのまま主人の手を引きながら歩き続ける。
メルセデスも文句を言いつつも手を離したりしない。自分でも自身の運も身体能力も低いのを理解しているし、そんな自分がアィヴィから離れたらロクでもないことが起こるというのを理解しているからだろう。
「しかし、妙です」
「なにが?」
周囲への警戒を緩めることなくアィヴィが呟く。しかし、そんなアィヴィへと返ってきた返事は全く何も感じていないようなメルセデスの言葉だった。
主人の反応は分かっていたのだがアィヴィは自然と小さなため息をついた。
「魔女らしく異常を察知できたりしません?」
「落ちこぼれ魔女になにを期待してるのさ!」
「……力強く言ってますが、言ってて悲しくありませんか?」
「ならない!」
もう少しでいいので自己評価をあげてほしい、いや、上がりすぎるとうざそう。などと考えるアィヴィであった。
「とりあえずは妙です。先程から遭遇するのもコボルトばかりですし、他の動物も見られません。ゴブリンなどもいるはずなのですがそれすら見られません。アィヴィ的には、くっ殺状態な騎士とかが見たかったのですが残念です」
「残念ではないよね?」
「と冗談で言っていたわけですがもしかしたら、くっ殺は見れるかもしれません」
「へ? なんで」
メルセデスの問いに対してアィヴィは森の奥を指差す。そちらにメルセデスも視線を向けるわけだがなにも見えない。ゴーレムと魔女では視力に差がありすぎるのだから当然である。
ついでに言えば聴力もなのだが、そしてアィヴィの見ている森の奥では戦闘のような音が僅かに聞こえていた。さらに言うならやたらと光りまくっていた。
「マスター行きますよ。運良く依頼達成ができたらお金儲けです」
アィヴィはやる気に満ち溢れているようだがメルセデスはというて対照的で全くやる気が見られなかった。
「ボクとしては調味料を買うだけのはずだったんだけど……」
「行きますよ!」
掴んでいた手を離し、アィヴィはメルセデスをまるで荷物のように脇に抱えるようにし、一気に跳躍する。
「ぐぇぇ! もっと至宝を扱うように優しく!」
「至宝なら落ちこぼれということはないでしょう」
荷物のように運ばれることに抗議の声を上げるメルセデスを花で笑いながらアィヴィは木から木へと飛び移り、戦闘の音が響く場所へと向かうのであった。
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