魔女メルセデスは爆破しかできない
魔女は森で戯れられる
「いいヤァァァァァァ!」
メルセデスのそんな悲鳴が響き渡る森の中、ついでに爆音も立て続けに鳴り響く。
爆音が鳴るたびに地面が僅かに揺れ、小動物たちは我先にと逃げ出しているのだが必死に逃げているメルセデスにはそんなものを視界に入れる余裕すらない。すでに直った折れた腕を必死に振りながら逃げていた。
というのも現在メルセデスは大量のモンスター、コボルトに追いかけ回されているからだ。
コボルト、犬の頭が子供くらいの体を持ったモンスターと想像していただければいいだろう。
犬、しかも小型犬のような愛らしい容姿で「く〜ん」などと鳴き声をあげながら近づき庇護欲から手を出してきた者を手にしている棍棒で殴り倒すという見た目に反した狡猾なハンターである。ただし、攻撃力は非常に低い。
冒険者たちの間ではコボルトは情け容赦なく会ったらぶっ殺せというのが共通認識だった。
メルセデスはそんな狡猾な森のハンターの思惑にまんまと嵌り、お腹を減らしているみたいだから持っていたお菓子をあげようとしゃがみ込んだ瞬間に襲いかかられて今に至る。
アィヴィ? 彼女は勿論知っていたがマスターの教育には丁度いいと判断し何も言わずに放置していた。
「アィヴィィィィ! たすけてぇぇぇぇ!」
必死に駆けながら使い魔であるアィヴィに声をメルセデスがかけるわけだが、メイドは片手で頭の巻き鍵を無言で巻きながら、飛びかかってくるコボルトの首を容易く掴み、捻るように容易くへし折るとそこらに放り投げる。
「このようにカウンターで首をへし折ればイチコロです」
「それできるのアィヴィだからだよ⁉︎ ボク魔女だよ! そんな肉体労働みたいなのできないんだからね!」
「…… 以前お会いした筋肉の魔女なら易々とできそうですが?」
「あれも別格ぅぅぅ!」
コボルトからの攻撃を躱しながらメルセデスは叫ぶ。その激しい動きのせいか合間合間にベルトに下げているはずのフラスコが外れ地面へと転がり、それが爆発しメルセデスを追いかけ回していたコボルトたちを爆殺する。
そしてその爆発音を聞いたコボルトたちがさらに集まりメルセデスを攻撃するという悪循環が成立していた。
「たまにはマスターには運動してもらうべきでしょう。と言いますかまともに動けないと受けた依頼が達成できません」
次々に飛びかかるコボルトを撃退というか一方的に首をへし折りながら駆逐していく様はまさにコボルトにとっては悪魔と呼んでも問題ないほど。
そんな悪魔の手の中にある依頼書には森の異変調査と書かれていた。
受付で聞いた話によると最近森から出てくるモンスターが増えたということらしい。その原因の調査、または何かしらの兆候を見つけてきてほしいという依頼。つまるとこ何かの依頼を受けながらできてしまう依頼なのだ。
(この依頼、完遂すれば少ないですが貯蓄に回せます)
「く、く〜ん」
コボルトの一体がアィヴィの前に躍り出ると油断を誘うかのようにその愛らしい外見を精一杯使い、下から見上げるという甘えたような仕草を行う。
これで数々の人間の罪悪感に訴え、動きが止まった瞬間に全員で襲いかかるというコボルトの必殺技を繰り出した。
そんなコボルトになにかくるものがあったのかアィヴィはゆっくりと近づいていくとしゃがみこむ。
(がうがう〈かかったな!〉)
 人にはわからない言葉で叫びながらコボルトが飛びかかった。
それは完璧に虚を突いた動きだっただろう。それが情けなどがある人間であったならの話だが。
「モンスターは邪魔」
飛び掛ってきたコボルトにアィヴィは変わらずなにも浮かべない瞳を向けたままそう告げると、腕が残像の見える速度で横薙ぎに振るわれる。
腕は的確に牙を剥こうとしたコボルトの横っ面を叩き、爆散。コボルトは綺麗に首から上が吹き飛んだ。
「マスターいつまであ……そ……」
一瞬で振り抜き消しとばしたがためか全く汚れていない手をそれでも丁寧にハンカチで拭きながら主人の方へと振り向いたアィヴィは硬直した。
「がうがう」
「いたい!いたぃ!」
数体のコボルトに押し倒されひたすらに棍棒で滅多打ちにされているメルセデスの姿が目に入ったからだ。
メルセデスのベルトに目をやるとすでに下がっていたフラスコは空っぽ。攻撃手段がないのでやられるがままであった。
「やれやれ」
呆れながら、かつイライラとしながらアィヴィは拳を作るとコボルトに群がられてメルセデスへと向かい歩き出したのだった。
メルセデスのそんな悲鳴が響き渡る森の中、ついでに爆音も立て続けに鳴り響く。
爆音が鳴るたびに地面が僅かに揺れ、小動物たちは我先にと逃げ出しているのだが必死に逃げているメルセデスにはそんなものを視界に入れる余裕すらない。すでに直った折れた腕を必死に振りながら逃げていた。
というのも現在メルセデスは大量のモンスター、コボルトに追いかけ回されているからだ。
コボルト、犬の頭が子供くらいの体を持ったモンスターと想像していただければいいだろう。
犬、しかも小型犬のような愛らしい容姿で「く〜ん」などと鳴き声をあげながら近づき庇護欲から手を出してきた者を手にしている棍棒で殴り倒すという見た目に反した狡猾なハンターである。ただし、攻撃力は非常に低い。
冒険者たちの間ではコボルトは情け容赦なく会ったらぶっ殺せというのが共通認識だった。
メルセデスはそんな狡猾な森のハンターの思惑にまんまと嵌り、お腹を減らしているみたいだから持っていたお菓子をあげようとしゃがみ込んだ瞬間に襲いかかられて今に至る。
アィヴィ? 彼女は勿論知っていたがマスターの教育には丁度いいと判断し何も言わずに放置していた。
「アィヴィィィィ! たすけてぇぇぇぇ!」
必死に駆けながら使い魔であるアィヴィに声をメルセデスがかけるわけだが、メイドは片手で頭の巻き鍵を無言で巻きながら、飛びかかってくるコボルトの首を容易く掴み、捻るように容易くへし折るとそこらに放り投げる。
「このようにカウンターで首をへし折ればイチコロです」
「それできるのアィヴィだからだよ⁉︎ ボク魔女だよ! そんな肉体労働みたいなのできないんだからね!」
「…… 以前お会いした筋肉の魔女なら易々とできそうですが?」
「あれも別格ぅぅぅ!」
コボルトからの攻撃を躱しながらメルセデスは叫ぶ。その激しい動きのせいか合間合間にベルトに下げているはずのフラスコが外れ地面へと転がり、それが爆発しメルセデスを追いかけ回していたコボルトたちを爆殺する。
そしてその爆発音を聞いたコボルトたちがさらに集まりメルセデスを攻撃するという悪循環が成立していた。
「たまにはマスターには運動してもらうべきでしょう。と言いますかまともに動けないと受けた依頼が達成できません」
次々に飛びかかるコボルトを撃退というか一方的に首をへし折りながら駆逐していく様はまさにコボルトにとっては悪魔と呼んでも問題ないほど。
そんな悪魔の手の中にある依頼書には森の異変調査と書かれていた。
受付で聞いた話によると最近森から出てくるモンスターが増えたということらしい。その原因の調査、または何かしらの兆候を見つけてきてほしいという依頼。つまるとこ何かの依頼を受けながらできてしまう依頼なのだ。
(この依頼、完遂すれば少ないですが貯蓄に回せます)
「く、く〜ん」
コボルトの一体がアィヴィの前に躍り出ると油断を誘うかのようにその愛らしい外見を精一杯使い、下から見上げるという甘えたような仕草を行う。
これで数々の人間の罪悪感に訴え、動きが止まった瞬間に全員で襲いかかるというコボルトの必殺技を繰り出した。
そんなコボルトになにかくるものがあったのかアィヴィはゆっくりと近づいていくとしゃがみこむ。
(がうがう〈かかったな!〉)
 人にはわからない言葉で叫びながらコボルトが飛びかかった。
それは完璧に虚を突いた動きだっただろう。それが情けなどがある人間であったならの話だが。
「モンスターは邪魔」
飛び掛ってきたコボルトにアィヴィは変わらずなにも浮かべない瞳を向けたままそう告げると、腕が残像の見える速度で横薙ぎに振るわれる。
腕は的確に牙を剥こうとしたコボルトの横っ面を叩き、爆散。コボルトは綺麗に首から上が吹き飛んだ。
「マスターいつまであ……そ……」
一瞬で振り抜き消しとばしたがためか全く汚れていない手をそれでも丁寧にハンカチで拭きながら主人の方へと振り向いたアィヴィは硬直した。
「がうがう」
「いたい!いたぃ!」
数体のコボルトに押し倒されひたすらに棍棒で滅多打ちにされているメルセデスの姿が目に入ったからだ。
メルセデスのベルトに目をやるとすでに下がっていたフラスコは空っぽ。攻撃手段がないのでやられるがままであった。
「やれやれ」
呆れながら、かつイライラとしながらアィヴィは拳を作るとコボルトに群がられてメルセデスへと向かい歩き出したのだった。
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