神官マオは鈍器で女神の教えを広げたい
聖書は……
「ずずずず、ほぉれで、ずずずず、ふぁんでふぁふぁふぁをふぁふ、ずずずずめふんです?」
「頼むから食べるか喋るかどっちかにしてくれ…… 何を言ってるのかわからないから」
お酒を頼んで席に着いた筈のマオがいつのまにかパスタを注文し、山のように盛られたパスタへとフォークを突き刺し、くるくると回すと幸せそうな表情を浮かべ、頬張りながら話してくるのを見たセリムは呆れながら告げる。
マオはパスタを食べる手を止め、僅かに躊躇うように手にしていたフォークを暫く凝視していたのだが再び食べるのを再開する。
「結局食べるのを優先するのかよ……」
そうなるとわかっていたセリムだが実際にそうされると少しばかりショックだったようでガックリと肩を落とした。
「ふぅ、美味しかったです。女神様、今日の糧に感謝いたします」
物の数分でまるで飲み物を飲むかのようにパスタを平らげたマオは手を合わせて女神へと祈る。
その姿は神聖なものに見えたのだが、マオの口周りにはたっぷりとソースなどが付着しているので全く神々しくなかったりする。
「で、話していい?」
そんなマオの前ではげんなりと、そして少しばかりイラついた表情を浮かべたセリムがテーブルを指で叩いて待っていた。
しかし、そんなイラつきなど気付かないマオはにっこりと笑顔を浮かべる。
「ええ、相談ですね」
「ああ、やっと話が進むな」
「一応はパーティーの仲間ですから一時間五百コニーでいいですよ?」
「相談で金取るのかよ⁉︎」
「当たり前でしょう? 神官への相談ですよね? 神官もタダではないのですよ?」
何を当たり前のことを? と言わんばかりにマオはきょとんとした顔で首を傾げる。
ちなみに街でいう神官への相談というのは主にアンデット関係のものが多い。
神官は回復魔法のほかにアンデットなどを追い払ったり、消しとばしたりすることの出来る魔法を習得している者もいるためそういった相談が教会や冒険者をしている神官に持ち込まれることがあるのだ。
「パーティーとしての相談だ! 仮に神官に相談する内容だったとしてもお前みたいなヘッポコに相談なんか絶対にしない」
「バカにしました?」
「いや、なにかあれば相談さしてもらおう……」
ごく自然に聖書の取っ手へと手を伸ばしたマオの姿を見てセリムは慌てたように首を振り即座に訂正する。
先ほど吹き飛ばされた男と同じ末路を辿る姿が明瞭に頭に浮かんだ為である。
人それを直感という。
「そ、それでパーティとしての相談だ」
話の流れを変えるようにセリムは声を荒げながらテーブルに置いてある羊皮紙を叩く。
「新しいパーティメンバーを増やす」
「それはまたどうして?」
「さっきも言いかけたが遠距離からの攻撃に対応する物がない」
「マオはありますが?」
セリムの言葉を否定するかのようにマオは聖書を見せる。
「普通の神官は聖書を投げつけないし、さらに言えば普通の聖書はゴブリンの頭を跡形もなく吹き飛ばしたりしない」
マオの言う遠距離攻撃。聖書をぶん投げる、鎖を操り聖書を叩きつけると言った攻撃方法を思い出しセリムは深いため息をつく。
「ここでいう遠距離攻撃というのは魔法や弓による攻撃だな。幸いな事にここは始まりの街だ。冒険者になりたてでまだパーティに入ってない奴も多いだろ?」
「そうなんですか?」
「ああ、それでどんな奴がパーティに来て欲しいかの相談なんだが」
「お任せしますよ」
にっこりと笑顔を浮かべてマオは笑う。
「マオ、真面目な話なんだが?」
「だって遠距離攻撃が必要なのはセリムなのでしょう? マオは必要ありませんし」
「神官だって守りがいるだろ?」
「マオの受ける依頼は薬草集めがメインですし。それにマオにはこれがあります」
マオが再び見せたのは聖書という武器。
それを見てセリムは再び大きなため息をついた。
「だからな聖書は武器じゃないんだよ……」
「頼むから食べるか喋るかどっちかにしてくれ…… 何を言ってるのかわからないから」
お酒を頼んで席に着いた筈のマオがいつのまにかパスタを注文し、山のように盛られたパスタへとフォークを突き刺し、くるくると回すと幸せそうな表情を浮かべ、頬張りながら話してくるのを見たセリムは呆れながら告げる。
マオはパスタを食べる手を止め、僅かに躊躇うように手にしていたフォークを暫く凝視していたのだが再び食べるのを再開する。
「結局食べるのを優先するのかよ……」
そうなるとわかっていたセリムだが実際にそうされると少しばかりショックだったようでガックリと肩を落とした。
「ふぅ、美味しかったです。女神様、今日の糧に感謝いたします」
物の数分でまるで飲み物を飲むかのようにパスタを平らげたマオは手を合わせて女神へと祈る。
その姿は神聖なものに見えたのだが、マオの口周りにはたっぷりとソースなどが付着しているので全く神々しくなかったりする。
「で、話していい?」
そんなマオの前ではげんなりと、そして少しばかりイラついた表情を浮かべたセリムがテーブルを指で叩いて待っていた。
しかし、そんなイラつきなど気付かないマオはにっこりと笑顔を浮かべる。
「ええ、相談ですね」
「ああ、やっと話が進むな」
「一応はパーティーの仲間ですから一時間五百コニーでいいですよ?」
「相談で金取るのかよ⁉︎」
「当たり前でしょう? 神官への相談ですよね? 神官もタダではないのですよ?」
何を当たり前のことを? と言わんばかりにマオはきょとんとした顔で首を傾げる。
ちなみに街でいう神官への相談というのは主にアンデット関係のものが多い。
神官は回復魔法のほかにアンデットなどを追い払ったり、消しとばしたりすることの出来る魔法を習得している者もいるためそういった相談が教会や冒険者をしている神官に持ち込まれることがあるのだ。
「パーティーとしての相談だ! 仮に神官に相談する内容だったとしてもお前みたいなヘッポコに相談なんか絶対にしない」
「バカにしました?」
「いや、なにかあれば相談さしてもらおう……」
ごく自然に聖書の取っ手へと手を伸ばしたマオの姿を見てセリムは慌てたように首を振り即座に訂正する。
先ほど吹き飛ばされた男と同じ末路を辿る姿が明瞭に頭に浮かんだ為である。
人それを直感という。
「そ、それでパーティとしての相談だ」
話の流れを変えるようにセリムは声を荒げながらテーブルに置いてある羊皮紙を叩く。
「新しいパーティメンバーを増やす」
「それはまたどうして?」
「さっきも言いかけたが遠距離からの攻撃に対応する物がない」
「マオはありますが?」
セリムの言葉を否定するかのようにマオは聖書を見せる。
「普通の神官は聖書を投げつけないし、さらに言えば普通の聖書はゴブリンの頭を跡形もなく吹き飛ばしたりしない」
マオの言う遠距離攻撃。聖書をぶん投げる、鎖を操り聖書を叩きつけると言った攻撃方法を思い出しセリムは深いため息をつく。
「ここでいう遠距離攻撃というのは魔法や弓による攻撃だな。幸いな事にここは始まりの街だ。冒険者になりたてでまだパーティに入ってない奴も多いだろ?」
「そうなんですか?」
「ああ、それでどんな奴がパーティに来て欲しいかの相談なんだが」
「お任せしますよ」
にっこりと笑顔を浮かべてマオは笑う。
「マオ、真面目な話なんだが?」
「だって遠距離攻撃が必要なのはセリムなのでしょう? マオは必要ありませんし」
「神官だって守りがいるだろ?」
「マオの受ける依頼は薬草集めがメインですし。それにマオにはこれがあります」
マオが再び見せたのは聖書という武器。
それを見てセリムは再び大きなため息をついた。
「だからな聖書は武器じゃないんだよ……」
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