エリートヤンキーの嫁にならなきゃいけないのですが

千桜

2話 疾風の如く彼は。

みいちゃんと別れ、いつも通り自宅に向かう‥はずだった。 

「わー!退いてくれえ!!」

天を向いた時にはもう、その人物は器用に着地していた。

(ビッビックリした~)

頬には木の枝で掠ったであろう切り傷と痣が点在している。

荒鷲天心。派手なオレンジ髪に切れ長のつり目、右胸元に同校「kiduki」の白刺繍が施された紺ジャケットを着崩した出で立ちは若干の威圧感を醸し出している。

「驚かしちまって悪いな。」

言うが否や「あっ!確かお前一年の三神だよな?ほら、洋裁で学内コンテスト入賞してた奴。」

初夏の風をモチーフにしたワンピースはGW前に表彰され、記憶に新しい。

「ええ。自分でも製作していてとても楽しかったし、あの時は驚いたわよ。」

「実は、折り入って頼みがあるんだけど、ここじゃなんだからまた明日学校で話すな。じゃあな!」

彼は疾風の如く現れ、そして去っていった。

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