世界の破壊を阻止せよ[運命を握るのは幼女?!]

千桜

奇妙な噂8

 噂の肥大化はアクセルの限界が無い。一度動いてしまうと歯車が黒焦げになるんじゃないかと思うほど話の中心部が暴れだす。

 そうして小さな歯車やチェーンの隙間を巧みに滑り抜き、目の届かない細部まで浸透してしまう。

 落ち着くように呼び掛けた所で馬耳東風というところだろう。

 むしろ、神経を逆撫でしてしまうかもしれない。今のところ、輪の中央にいる彼に夢中になって聞き入っているだけで暴動が起こる気配は無い。
 野次を飛ばしたり、拳を頭上に挙げたりする人も確認できるが、武器を手に今にも血眼になって盗賊を狩ろうという気迫は感じられなかった。

 武力で民衆を沈静するのは軍の規約にもアイデンティティにも反する。

 だが、いざとなったら、やらなければいけないのだろう。

 引き返す途中も、厳重に警戒し、城に帰る準備をした。

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