隻眼の賢者

河野原ぺこ@垢停止中

二十一話 終わり

 教会の地下には牢屋があり、そこには両手両足に目隠しされた二人の少女が居た。

「あの〜。大丈夫ですか?一応助けに来たんですが••••••」

 二人の少女はピクリともしなかった。

「気絶しているのかな?クルゼル。二人を担いで」

 俺は牢屋の鉄格子を破壊した。俺は二人を担いでいるクルゼルと一緒に地下から出た。

「よくも我々の計画を邪魔さてくれたな!」

 俺達が教会を出ようとした時に声をかけられた。声が聞こえた方を見るとザ•天使的な羽を持つ美形の男がいた。

「死ね!!」

 天使が叫びながら突っ込んで来た。

 ••••••遅い。

 俺は突っ込んで来る天使を躱して脳天に踵落としをした。天使はその場で頭を抱えながら蹲った。

「弱っ!?こんなのが天使?」

 神に仕える天使なのか?そういえば、コイツってパメラって名の邪神の所から来たんだよな。なら、俺をそこまで連れて行ってもらおう。

「『セィブラリー』」

「く、こんな奴に••••••」

 お、結構抵抗してくるな。少し強めるか。

「我が主よ」

 あ、落ちた。マジで弱いな。とりあえず、罪神パメラの所へ行くか••••••。

「クルゼルは姫様方の護衛と監視しといて。天使、パメラとやらが居る場所まで行けるか?」

「左様でございます」

 伊達に天使やってないな。力が無いくせに言葉遣いがいいな。

「連れて行ってくれ」

「左様でございます。『ゴッドワールド』」

 聞いた事が無い魔法だ。まぁ内容は世界の殻を破壊して外に出る的な原理だろう。恒例の如く白い空間に出た。そこには暗黒神イギスと同じ雰囲気を持つ人が居た。

「なるほど、イギスの使いパシリか••••••」

「そうですけど何か?」

「我の計画は失敗させるわけにはいかぬ。そこでお主見逃してくれたら何か一つ願いを叶えてやろう」

 う〜ん。願い、願いね••••••。

「特に無いや。と言う事で邪魔させてもらう」

「そうか••••••。ならば死ね!」

 パメラは魔法で炎の槍を無数に出した。しかし、

「『パァラァラァシィス』」

 俺が麻痺魔法を使って封じた。

「何故だ。我は神魂を手に入れ、力を得たはず!」

 どうしようか。とりあえず、暗黒神イギスに渡せば良いか。この空間に来た魔法をいじれば暗黒神イギスの所へ行けるかな。

「『ゴッドワールド』」

 周りの風景が変わらないが目の前に暗黒神イギスが居るから多分成功したのであろう。

「ど、何処から入って来た!?」

「魔法で入れましたよ?それより、この世界を戦争の海にしようとしてた神と天使が居たので捕まえて来ました」

 俺は罪神パメラと天使を暗黒神イギスに渡した。

「おお、仕事が早くて助かる。あと数年はかかると思って居たぞ。さてとこやつの記憶を見せてもらうとするか」

「これで俺は自由の身?」

「そうじゃ。好きに生きるが良い。何なら神に成るか?こやつの神魂を取り入ればなれるぞ」

 そういえば、さっきも罪神パメラが「神魂を取り入れた」とか言ってたな。

「神魂とは神に成るための力の塊みたいな物だぞ」

「神に成った時の利点と欠点は?」

 少し考えると暗黒神イギスは

「利点は、人々こら崇められるな。それとを不老に成る。欠点は暇な事だな」

「まぁ、成っといた方が得か。死んだらまた転生できるのか?」

「それは分からぬ。こやつは神魂を取り除いてから殺すから例外として神魂を持ったまま死んだ者は未だにおらんから分からんな」

「神に成ります。そうすると、ライバルが増える事になるが良いのか?」

「別に構わん。我の眷属として二つの宗教に入ってもらえば良いしな」

「宗教って掛け持ちできたんだ••••••」

「それではお主を神にするぞ」

 暗黒神イギスは邪神パメラの身体に手を突っ込んで金色の靄を取り出した。そして、それを俺の身体に入れた。

「これで終了じゃ」

「ありがとうございます。それではまた『ゴッドワールド』」

 俺は邪神パメラの教会まで転移した。そして、クルゼル達を拾って魔王城まで転移した。

「「!?」」

 王城の門番が盛大に驚いている。

「マグラは居る?アルフェリスには内緒で呼んで欲しいんだけど」

「わ、分かりました」

 五分ぐらい待つと魔王マグラがこちらに走って来た。

「お〜。ナルキ殿遂に覚悟してアルフェリスと結婚して」

 そこまで言った魔王マグラを蹴り飛ばした。そこで冷静になった魔王マグラが深刻そうな顔をした。

「人族と獣人族、ドワーフ族の姫ですな。どうしてここに?誘拐されたばずですが」

「ちょっと神を倒したらおまけでついて来た?」

「神!?」

「あ、暗黒神イギスに渡しといたから大丈夫だ。それよりこれからどうするか••••••」

「スケールがでかすぎる様な気もするがとりあえず、人族、獣人族、ドワーフ族に密書を届けさせる」

「ありがたい。それで引き取ってくれない?面倒事になりたくないから」

「ああ。分かった。この国にいる間はこちらで面倒を見よう」

「それでは」

「ナルキ殿はどうするのだ?」

「う〜ん」

 神に成ったし神界から見守って居た方が良いかな?どうしよう••••••。

「とりあえず、神界に行きます」

「ははは、もう逃げられないぞ成輝君!これは僕が作った魔法阻害装置だ。これは神も含めたすべての魔法を封じる事ができる優れ物だ!」

 振り返るとそこには変な形の水晶を持った師匠が居た。

 これは諦めた方が良さそうだ。
















 俺はこれから平穏な生活を送ったのだった。たまに神の仕事や賢者の仕事などをしなくてはならなくて大変だったが充実していた。こんな日々が続けば••••••。


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