たしかにスキルは強いけど…!〜チートスキルにも欠点がある〜

甘夏はるか

2話〜自分のステータスと再開②〜

「玉藻前…」

月の光に照らされて、銀の毛並みが神々しい。

「どうした?カナタ
そんなに会いたかったのかえ?」

くすくす笑いながらこちらを見てくる。
僕はつい顔が赤くなってしまった。

「約束どおり、力を与えにきたぞ。
お主は欲しくないのかえ?」

「欲しいけどさ、どういう能力なんだ?」

「ならば、与えよう。わらわの力を
付与えんちゃんと”!」

僕は暖かい光につつまれた。

「玉藻前?どこだ?!」

いきなり姿が見えなくなったので驚いてしまった。

「ここだえ。下を見なんし!」

下をみたらチョンっと座った可愛い九尾の狐がいた。

「力を使いすぎたようで戻ってしまったようだえ。」

「か、」

「か?」

「可愛いーーー!」

僕がそう思うのもしょうがない。
さっきまで2mちかくあって凛々しかったあの玉藻前が今は20cmほどになっているのだから。

「やめておくんなんし!恥ずかしいであろう。」

毛並みが銀色なこともあって、ほおの赤らみが映える。

「コホン。そんなことより、わらわの力で、カナタにスキルが使えるようになったはずじゃ」

「あ、ほんとだ。スキルが増えてる。なになに?“羽織狐はおりぎつね”か」

「そのスキルはスキル使用のみはMPを消費しない。ためしにつかっておくんなんし。」

「よし、

   スキル“羽織狐”発動!」

煙に覆われたと思ったらすぐにひいた。

「ん?服装が変わっている?浴衣みたいな服だ…ぞ………
       キャーーーーーーーーーーーー!!!!」

『どうしたんじゃ?カナタ』

「む、胸が……ある。
   声も高い。まさか…まさか!」

『うむ。おなごの姿にありんす。
それもかなりの美少女』

「ちょっと鏡みてくる……」

ふらふらとなりながら鏡の前に行き、自分の姿をみてみた。

黒い目がキリッとしていて、髪は烏の濡れ羽色っていう言葉があうのだろう。腰あたりまであるようだ。身長は、もとに較べて25cmくらいのび、170cmはありそうだ。そして、頭の上に耳があって、尻尾が9本はえていた。

私も惚れそうなくらい美人だ。(まぁ、自分だからないけど)
また、スキル使用中は一人称が私に強制変換されてしまうようだ。

「玉藻前ー?どこだ?」

忽然と消えてしまった玉藻前……あれ?声は聞こえたような……

『すきる使用中、わらわはそなたの心の中におる。力を与えるためにな』

「よかったー。どっかいっちゃったのかと思ったよー」

ふと私の中で質問が生まれた。

「でも、戦えるのか?この身体で」

『当たり前じゃ!その状態で“すてーたす”をみてみなんし!』

「んー?どれどれー?

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    カナタ・オルフォード(妖化)
    種族/妖怪

     Lv      1/100
     HP     3000/3000
     STR   3000
     DEF   2800
     MP    10000/10000
     LUK   LvMAX

    スキル: 羽織狐(使用中)
                 自然治癒(羽織狐使用中のみ)
   ━━━━━━━━━━━━━━━

あ、ついにばけものじみましたね。
しかも、いつのまにか自然治癒まで増えてるし」

『どうじゃー?わらわは強いだろ?』

「うん。強すぎて、なんとも言えない。」

嬉しそうにしている玉藻前に私は

「なぁ、私と一緒に来ないか?
これから、一緒に生活しないか?」

と誘ってみた。そうしたら、

『なんでいきなり!まぁカナタがどうしてもというのならば一緒に行くでありんす』 

「『スキル解除』
じゃあ、よろしくな!
んー、玉藻前って呼ぶのはなんかなぁ…」
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「そうだ!天狐てんこにしよう!
妖怪って、この世のものだとは思えないから、もしかしたら、天からきたんじゃないかって!」

「ふふふ、カナタはかわええなぁ。
天狐。気に入ったでありんす。これからよろしゅうな」

「こちらこそ、よろしくね天狐!」

こうして、僕と天狐は一緒に住むようになり、天狐は僕を鍛えてくれる先生にもなった。
(天狐は変化が上手いので、力が戻ったあとも小さい姿で過ごしてもらっている)

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