ある日、僕は異世界に転移した

二人の捜索

僕たち二人は、まず僕と桂坂さんが現れた地点まで戻った。日が暮れるまでの午後の時間を使って、捜索することにした。

「あらためて見ると、本当、樹以外何にもないわね。健太君、よくこんなところから集落見つけたわね」

「たまたまだよ。日が暮れる直前で見つかってラッキーだった」

「見つからなかったら野宿だったかもね」

さて捜索始めようかという段になって、僕はちょっと迷った。昨日この周辺の近場はほぼ調べ尽くしたから、今日調査するとしたら、もっと遠くまで行かなくては意味がない。

「今日はさ、一方向で行けるところまで行ってみようか?   そんなに時間もないし」

「OK!   健太君に任せるわ」

僕らは樹々の間を進み始めた。ところどころ草が生い茂っていて、なかなか進めないようなところもあった。

かなり歩いたが、残念ながら昨日と同様、めぼしい収穫は なかったが……

それは最初の場所から歩いて一時間ぐらいの距離のところだろうか。

森の中を歩いていると、前方にわずかな光が差し込んでいるのが見えた。

「何だろう?」

「行ってみましょう!」

僕たちは少し明るくなっている方へ歩を進める。そしてついに開けた場所に出た。

「ああ、すごい」

「綺麗……」

なんとそこには広い湖があった。向こう岸は見えているが、どこか川と接しているのか、などの情報は分からない。湖岸は高い草が生い茂っていて、湖岸伝いに回ることが困難であったからだ。

それでも僅かに通れそうなところを見つけて湖岸に近づくと、幾らかの魚も泳いでいることが分かった。

「魚いるね。健太君、あれ、採ったり出来ないかな……」

桂坂さんが僕の方を見る。

「ごめん。僕は釣りとかやらないし、魚採りなんて子供の時だって経験したことないんだ」

「使えないわね……」

彼女はちょっとがっかりした仕草を見せる。本当はカッコいいところを見せられたら良かったかも知れないけど、僕は基本インドア派なので、ごめんなさい。

「そういえば、水なかったよね?」

桂坂さんが僕に尋ねる。

「そうだね。あの家には水道なんてもちろんないし、井戸とかもなかったような気がする」

「飲み水には無理かも知れないけど、生活用水にこれいいかもね」

「うん。とりあえず持てるだけ持って帰ろうか」

飲み水は、非常用のがまだしばらくはある。僕は、非常用持出袋に、携帯用のナイロンバッグも入れていて、ここにも持って来ていたので、それを使って水を持って、帰ることにした。

今日の午後の収穫は、結局それだけだった。

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