ある日、僕は異世界に転移した

家にて

「ここがその家なの?」

    家を見るなり、彼女は訝しんで声をあげた。山小屋みたいなのを想像していたのかもしれない。

「うん、見た目普通の民家だよね。中にはあまり物はないけど、つくりはしっかりしてるよ」

「そういえば……あなた以外に誰かここに住んでるの?」

     彼女にしてみれば、当然気になる疑問だろう。

「いや、僕の他には誰もいない。不思議なことに他の家もそうなんだ」

「えっ!  これ全部、誰も住んでないの?」

「何故かは分からない。僕も全部の家をきちんと調べたわけじゃないから確かなことは言えないけど、多分、僕たち以外には誰もいないと思う」

彼女は僕の説明を聞いて、何も言えなくなった。この不可思議な状況にまだ頭が対応仕切れてないのだろう。それはしょうがない。

    一軒の家に入った僕と彼女はとりあえず床に座り、今後のことを話し合った。彼女は家に着くころには落ち着きを取り戻しており、冷静に話が出来るようになっていた。僕は、昨日体験したことをかいつまんで話した。話してる途中で、僕は彼女が右手で抱えている袋に目が行った。

「ええと、その袋はスーパーの袋かな?」

「あ、これ」

    彼女は今気づいたという感じで、持って来ていた袋の中をのぞいた。僕も一緒に覗き込む。

「なんかスナック菓子多いね…」

「ほっといてよ。別にいいでしょ!   あ、そう言えば、食料とかどうするの?」

「残念ながらこの家には食べられそうなものは何もない。他の家も同様だ。だから当面は、僕が持ってきた非常食と君の手持ちで何とかしのぐしかないってわけさ」

「私のはあげないわよ」

「そんな…」

「冗談よ。それにしても、数日は何とか持ちそうだけど、その後どうするかが問題ね。これってもしかして、サバイバルってやつ?    食料尽きたら飢え死にしたりしてね」

冗談っぽく話てはいるが、正直その危険も充分にある。

「それまでに帰り道を見つけるしかないね」

「あなた…ええと、健太君だったかしら。」

「ああ。健太君て。君のほうが1個下なんだけど。」

「嘘?健太君のほうが年下かと思ってた!」

「僕は21だよ。これでも。」

「子供っぽく見えるわ。で、健太君は、昨日今日帰り道を探し回ったわけ?」

「そう。でもあの場所を中心とした同心円状をね。でも何もなかった。」

「OK。だいたい状況は分かったわ。私たちがなぜこの場所に来ることになったかは置いといて、まずは帰り道を探すことね!」

「そう。君、なかなか肝が座ってるね」

「あ、君っていうのはやめて。桂坂さんて呼んで欲しいわ」

「桂坂さん…変わった苗字だね」

「まあね。じゃ、今から捜索開始しましょ!
二手に分かれる?」

「うーん、どうだろう。まずは一緒に行動したほうがいいかな。どんな危険があるかも知れないし」

「あなたと二人ってのもある意味危険だけどね。まあ、いいわ。それで行きましょ」

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