ある日、僕は異世界に転移した

調査

   しばらく、声をかけ続けたが全く応答がない。

    よく見てみると日本家屋のようだと言っても、非常に簡素な作りで、土間なのかどうかも判別出来ない。一応、壁らしきパーティションで区切られてはいるが、それぞれ部屋と呼んでいいものかも怪しい。

「すいません、お邪魔します」

   僕ははっきりとそう言うと、室内へと進んだ。土足OKなのかも知れないが、とりあえず靴を抜いだ。室内を見渡すと、テーブルらしきものや炊事道具らしきものもあるが、あまり見たことがない感じのものも沢山ある。ここに本当に人が住んでいるのだろうか?

    ひとしきり家中を捜索してみたが、どうやらここには誰もいないようだ。隠れている感じもしない。それにそもそも人が最近まで使っていた形跡がない……

    僕は、その家の調査は諦めて、隣の家も訪ねてみた。しかし、その家も同様で、その後、全部の家をざっと回ってみたが、誰も発見出来なかった。

    家は全部で10軒ほどだった。どの家も似た作りになっていて、家の規模からすれば7〜8人は暮らせそうな環境だと思う。

    僕は考えた。

   ここに住んでいた住民はなんらかの原因で、全員ここから離れたのか、あるいは全滅したのか?

"伝染病?"

   そんな言葉が浮かんだ。
確かにそういうこともあり得る。
映画やテレビでそんなストーリーを見たような気もする。正体不明の謎のウイルスによってあっという間に村が壊滅してしまう。そして、後日訪れた調査隊を襲う凶暴な動物と致死率100%の伝染病の蔓延。そんなB級フィルムのような展開を予想した。

    しかし、もし本当に伝染病だとしたら、今の僕では判断出来ない。何の医療知識も持ち合わせていないからだ。それより重要なのは今夜の寝ぐらの確保だ。今夜は雨風こそないようだが、やはり野宿というわけにはいくまい。家主には悪いが、勝手にここで寝させてもらおう。僕はもう疲れきっていた。

押入れなどなかったから、散らばっていた毛布らしき布を探してきて、体にかけると僕は床に横になった。そのあと間をおかず眠りについたらしく、その後の記憶はない。

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