ある日、僕は異世界に転移した

異変

 このところ原因不明の地震が増えているー

  そんなニュースをテレビで報じている。自室に置いてある小さなテレビだ。流行りの4Kだか8Kだかの大型テレビを買い揃えるほどの予算もなければ、テレビ番組を見たいという願望も最近はもうない。ネットがあればだいたい事足りるからだ。

  「その日」僕は最近各地で頻繁に起きている地震に備えるため、防災グッズの確認をしていた。場合によっては外出時にも持ち歩いたほうがいいかもしれない。緊急時には自分の面倒は自分で見ないと……。一通りの物は非常用持ち出し袋に用意出来たと思うけど、もう少し非常食を入れておいたほうがいいかな。僕はそう考えると、冷蔵庫に入れてあった鯖や鰯の缶詰を取り出していくつか入れておいた。

   その時突然、激しい目眩に襲われた。

「何だ、これ……地震か……」

僕は、激しい痛みと当惑の波に揉まれながら意識を失った……

   何時間気を失っていたのだろうか。次に僕が目を覚ました場所は、見知らぬ森の中だった。幾分ぼーっとした感じではあるが、気を失ったときのような頭の痛みや目眩はもうない。

「ここは一体どこ?」

  辺りを見回しながら自問自答してみるも、答えは出ない。

「そうだ、スマホ」

   幸い服装とかは気を失った時のままで、ズボンのポケットにスマートフォンはちゃんと入っていた。こういう時は助かる。
僕はスマホの画面を覗いた。

「13:05」
 
  時刻を確認した僕は、怪訝な表情になる。意識を失った時は、ちょうど午後1時くらいだったはず。あれから5分しか経ってないなんてことは…

   もしかしたら、丸1日経ってるのか?
しかし、日付は変わっていなかった。そして、残念ながらスマホは圏外になっていて通信不能。GPSも使えないようだ。

   僕は絶望しそうになる自分を奮い立たせ、この状況を冷静に分析することにした。僕はあらためて辺りを見回した。雨は降っていないが、木々の間から望む空は曇りがちで、あまり快適とは言い難い。真昼間だというのにやや暗さを感じるほどだ。全く人気がないというのに不思議と怖さは感じなかった。もしかしたらあまりの非日常的展開に頭が考えることを放棄しているのかもしれない。奥深い山の中であるとは思うが、木々はそれほど密集しているわけでもなく、人が通るには充分過ぎるスペースがある。

  とりあえず目に見える範囲で木々や下草以外とわずかばかりの空以外は何もないようだった。そういえば、動物や鳥すら今まで見ていない。僕は大きな樹の根元の落ち葉と草が混じり合ったところをめくってみた。すると数匹の虫がいた。これはミミズだろうか。とりあえず、環境的に特に問題はないようだ。

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