目が覚めたら悪役令嬢になっていたので最強のヴィランズになってみたかった(失敗)

————

聞いてない、聞いてないわ!②

 鋭い目付きが私を捉えて不機嫌そうな顔で睨まれたのだけれど……。
 私が反応に困っていると、

「どうした、クリスティーナ。父が帰ってきたのにおかえりの一言も言えないのか」

 威厳たっぷりに言われて思わず竦み上がってしまう。

 怖い。怖すぎる! こんなに怖いおじさんにどう甘やかされていたのよ!?

「申し訳ないわ。おかえりなさい、お父様」

 口からでたのは、意外にも意外な強気な言葉だった。髪をかきあげてフン、と生意気に鼻息ひとつ。

 やはり私の根底にはクリスティーナが眠っているのだろう。時おり私の中から抜け出して、ちょっと文句を言って帰っていく。

 ただ、今回はもうちょっと居て欲しい。これから大事な交渉しなくちゃいけないんだから……!

「ああ、ただいま。娘よ」

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