目が覚めたら悪役令嬢になっていたので最強のヴィランズになってみたかった(失敗)

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私、気づいちゃったかも。②

「……何よ、その態度は! と怒鳴られないのも不思議な気分ですね」

 ぽつり、とマベルが呟いた。そうか、これが彼女とクリスティーナのコミュニケーションだったのね。なんだか寂しそう。

 私の体はクリスティーナだけど、私自身はクリスティーナじゃない。記憶を取り戻したとしても、それは本来の私のものだ。クリスティーナの人格は私が居座る限り、表に出てこないんじゃないかな……。

 深く考えるとわからなくなってきちゃう。私はクリスティーナ以外の何者かで、生まれも育ちも日本だ。こんな時代錯誤な場所に見覚えも……無い……。


 ……?


 改めて見ると既視感を覚える。
 いや、いやいやいや。
 急に本来の私の記憶が薄ぼんやりと向こう側で浮かび上がった。
 ……でも、これは……。
 その記憶は、私がパソコンに向かっている後ろ姿。
 ディスプレイにはゲーム画面が浮かんでいる。
 その画面こそがこの部屋にそっくりなんだ。

「……?お嬢様。どうかされましたか?」
「いえ、いえいえ!どうもされてませんわ!」

 ……これ、もしかして異世界転生ってやつ?
 しかも、多分、……本当に多分だけど、私、悪役令嬢になっちゃった?

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