魔王の世界征服日記

Leiren Storathijs

第20話 王国陥落

王国軍三十万の兵士がルシファーの一撃によって全滅した。

王国では、勇者と王様と国民しか残っておらず、大体全てを失った。

一方魔王は、王国軍を全滅させたので次の事を考える。

「さて、次はどうしよっか?」
「恐らく、兵士は居なくとも、その国民が残っているんじゃないか?このまま、更に攻め落とし王国を我が物にする事も良いが、国民を支配する事も出来る」
「後は、王国を更地にしちまうとか?ま、流石に意味無えからやらねえけど」
「何!?更地にするなら俺様がやってやるよ!」
「だからやらねえよ!」

出来る事は二つか......。ちょっとウルフとかにも聞いてみるか......

「ウルフ!お前ならどっちが良い?右?左?」
「ワン!ワォン......」

ウルフは、尻尾を振りながら、俺と部下を囲む様に左に大きく回る。

「良し!国民を仲間にするぞ!」
「アオオン!」
「何で分かるんだ!?これが、犬と飼い主の絆と言う物なのだろうか......いや、ウルフは狼だったな」

そして、俺は、ウルフの決定によって空っぽの王国で国民を仲間にする事を決めた。

「さて、此処が王国だな!いつ振りだ?」
「門は閉まっているな......どこか入れる所を探すか?」
「いや、ここは堂々と......おっ邪魔しまーす!!」

フロガの馬鹿力によって大門を吹き飛ばす。

門が破壊されると、中に居た国民が一斉に逃げ出す。

「うわあぁあ!魔王が来たぞー!」
「いやあぁあ!」
「喰わないでくれええ!」

大惨事だ......まぁ、これで魔王とはどれほど恐ろしいか一気に広める事は出来ただろう。

「アエトス!国民を静めろ!」
「容易い事だ」

アエトスは、突然光りだし、王国全体を暖かい光で包む。そして鳳凰の姿となって広場に降り立つ。

「静まれ民達よ!ここで慌てれば魔王の思うツボだ」
「これは鳳凰か!なんて美しい姿だ......」
「これはきっと、救世主だ!やったぞ!これで俺たちは、魔王に恐れる事は無い!」
「そのままの状態を保ってろ!俺は王の所へ行く!」

次は王を何とかしなくてはいけない。方法は簡単だ。膝を付けされれば良い。

「よう!王様、また会ったな!言っとくけど魔法の剣は折れたから返せねえぜ?」
「外が騒がしいと思えば、貴様は魔王か!それより魔法の剣を弁償しろ!」
「命より金だってか!?変わらずの屑王だなぁ!」
「ふははは!何とでも言うが良い!あの剣は、とある鍛冶屋特注で作って貰った剣でな。それは数千万としたのだぞ!?」
「へーそうーなのかー......って俺はこんな話をしに来たんじゃ無い!王よ!もう国は我が軍で包囲されている。直ちに俺に膝を付けば、痛い目に遭わずに済むぞ?」
「ふん、忘れるな。こっちには勇者がいるのだぞ?そろそろ帰って来る頃だと思うが......」

そこで警備員が王に報告する。

「王様!勇者は勇者の力を戻す為に出掛けると言う報せがありました!当分は戻って来ないそうです!」
「何!?勇者め!なんてタイミングの悪さだぁ!」
「残念だったな?こっちには国民と言う沢山の人質がいる。どうする?」
「わ、分かった!今民までやられては、この国は終わってしまう!だから、民にだけは手を出さないでくれ!」

はぁ......金が大事なのか命が大事なのかどっちかにしてくれ......。

「良し、それで良い。安心しろ、手は出さないが、国民は全員お持ち帰りさせて貰う!話は終わりだ。じゃあな!」
「ま、待ってくれ!」

俺は王の言葉を無視して、国民の集まる場所へ向かった。

国民の集まる広場は、アエトスが鳳凰に化け、まだ平和を保っていた。

あとは、国民を魔王城が安全だと騙すだけだ。

「愚民共!俺こそが魔王だ!」
「救世主様!助けてくれ!」
「良く聞け!俺はお前らに危害を与えるつもりはない。確かに俺は魔王だが、それよりもっと最悪な者が居る、それは勇者だ!」
「何を言う!?勇者様は必ず助けて下さる!」
「ならばその根拠は何だ?勇者は現在、力を得る為に一人旅に出ているそうじゃないか。それとも勇者は神か?今すぐ此処に助けに来てくれると思うか?」
「しかし!勇者は力を会得すれば、必ずしも魔王を討ち果たす!」
「そうか......なら、今俺が貴様らを皆殺しする前に勇者は来るのか?」
「ひぃいいい!」
「安心しろ。危害は加えないと言った筈だ。これより、貴様らを魔王城へ連れて行く。魔王城は何処よりも安全だ。魔物の脅威も無くなる!勇者は敵に回すがな?」

そして、国民はしばらく悩むと、魔王城へ行く事を決める。

「魔王城へ行こう......だだしこれだけは言っておく。立場的に勇者の敵になるかも知れないが、必ず勇者は、我々を敵と見なし斬りかかる事は無いだろう。勇者が完全に復活した時は魔王、貴様らの終わりだと覚えておけ......」
「へっ、これで良いな?じゃあアエトス。後片付けは頼む」
「分かった」
「後片付け......?」

俺がアエトスに命令をすると、アエトスは、大きな竜巻を複数起こし、王国内の王城を除き、全ての建物を一気に潰した。

それを見て、国民は絶望する。

「は!?何て事を......!?」
「これを勇者が見たら激怒するんだろうなぁ。オラァ!お前ら行くぞ!」

そうして、国民達を魔王城へ連行する事に成功した。

全員魔王城へ連れ込むと、まず、魔王の支配下と言う事を認識させる為に、武が作っている途中の拠点建築を手伝わせた。

すると武は、人間と話せると言う事に喜びを感じたのか、一瞬にして、国民に安心感をもたらせ仲良くなった。

「良いねぇ〜。武!ちょっとこっち来い」
「あ?何だよ」
「これからお前に、魔王城周辺の何でも良いから建築の許可をする!いっその事、王国より繁栄した魔王城にしちまおうぜ!」
「お、おう......分かった」

魔王城に何十万と言う人間が入った事で、それだけで街の様な賑やかな場所となった。

それから数日経つともう人間達は、魔王に支配されていると言う事を忘れ、魔王城についての話し声も良く聞こえる様になった。

「最初はどうなるか分からなかったけど、今じゃ此処は一つの街だ」
「あぁ、勇者様がこれを見たらどう反応するかな?」
「魔物って意外と穏やかな奴等ばかりだったんだな」
「なぁなぁ!魔王城前に座ってる犬すげぇ可愛いから見に行こうぜ!」

さて、他の国から平和を奪い、その平和を自分の物にした......。
平、和?いや、もうどうでも良くなってきた。俺の最終的な目的は、勇者の撃破とどんな結果であろうが、世界を征服する事。

このまま貫き通してやる。

更に数ヶ月後・・・
最近、度々勇者の力を感じる様になった。感じる様になったとは、勇者の襲撃が近いと言う意味では無く、所々から勇者の力を感じ取る事があると言う意味だ。

確か、前に国民が、『勇者が完全に復活した時』と言っていた。『完全』とはつまり、勇者の更なる力みたいな物があるのだろうか?

国民にその事を聞いてみたが、誰一人答えられる者は居なかった

そして、部下に聞くと、エクウスだけそれらしい事を言っていた。

「勇者の更なる力ねぇ......お前が勇者に殺されてから、見つけて貰うまでずっと色んな所走り回ってたんだが、それっぽいのは見た事あるぜ?」
「本当か?」
「あぁ確か、魔王が死んだ後、四天王が住処にしていた場所の地下だ。面白そうな洞窟があると思って突っ込んだら、思いっきり弾き飛ばされてな」
「勇者しか入れない洞窟って事か......面倒クセェ!誰でも入れる様にしとけよ〜。洞窟とかちゃんと手入れしねぇと何時崩れるか分からねぇってのに」
「そ、そうだな......じゃあ、今からその一つに行って見るか?」
「いや、その前に......」

この魔王城周辺に何十万の人間を連れ込んでから数ヶ月が経った。最初からその賑やかさで街と言われていたが、今では既に街が出来上がってしまっている。

これは、武に建築許可を与えたからだろう。流石人間の力だとこれだけは感心してしまう。

どうせ、もし人間を連れ込まず、俺達だけでやっていたら、今でも更地しか無かっただろう。

そして、今の魔王街では、段々国民達が勇者の事を忘れかけているのか、話し声に勇者の話が聞こえて来なくなった気がする。

つい最近、その事を思い出させる為、王国と魔王街どちらが良いか投票を取った事があり、その結果なんと、魔王街が圧倒的だった。

勇者さんよぉ......あまりに遅すぎんだろ......まさか既に何処かにぶっ倒れているとか?んな訳無えか。

「良し、準備出来たぞー」
「??何かしたのか?」
「あぁ、そこら辺で俺達を見ている奴に話してた」
「???まぁ、いいや。相変わらず変わんねえなぁ、いきなりボーっと突っ立ってから再起動したみたいに切り替わって」
「そうなのかー」

そうして、勇者の力とはどんな物なのか調べる為、エクウスの心当たりがあると言う場所へ向かう事にした。

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