天災殺しの異世界無双

マシュまろ

第11話 座美丸

*マガンが今いる大陸ファラス。この大陸を船で東に渡ると「ニシカシ」と呼ばれる大陸がある。他のどの大陸とも違う独自の文化を築いたこの大陸に白楽市雷蔵はらくしらいぞうと呼ばれる鍛治師がいた。雷蔵が打つ刀は全て業物で、彼が死んだ今なおその刀の一振り一振りが国宝級と言われる程であった。そんな雷蔵の打つ刀には元になる刀があった。それが座美丸である。雷蔵の生涯で最初で最期の傑作と言われたこの刀は見るもの全てを魅了するほど美しい刀だった。座美丸は雷蔵が死んだ後、様々な剣士の元を渡り歩いた。だがある時、「人斬り」と呼ばれる剣士の手に座美丸が渡ってしまったのがきっかけで名刀と呼ばれていた座美丸が「人喰い妖刀」と呼ばれるようになってしまう。その人斬りは座美丸で人を斬りすぎたのだろう。美しい輝きを放つ座美丸の刃は人を斬るうちに斬った人の血で美しく輝くようになってしまった。それからである。その人斬りが死に後から座美丸を手にした者は必ず血に塗れた呪われた最期を迎えるようになってしまった。それ以来、座美丸は呪われた妖刀として扱われ、様々な者の血を吸う歴史を歩むのである。

*「へえ〜、そんな事があの刀に…」
「ああ、この大陸の剣士のほとんどが知っている話さ。『座美丸には関わらない方が平和に暮らせる』と言われるほどにな。こいつを買い取ろうなんて奴はよっぽどの物好きくらいさ」

武器屋の店主から座美丸の話を聞いたマガンは再び座美丸の方を見る。相変わらず美しい輝きを放つ座美丸だが、この話を聞いた後のせいか座美丸の輝きは先ほどより悲しく泣いているようにマガンには見えていた。

(店主の人の話に「嘘破りフェイクキラー」が引っかからないのをみると話は本当らしい。ならますますこの刀が欲しくなってきたな)

そう考えたマガンは魔法収納から金貨を取り出し始めた。

「お兄ちゃん何やって…まさか、座美丸を買う気かい!?」
「ああ。おっちゃんの話を聞いたら余計に欲しくなった。15ルアだよな?」
「そうだが…よし分かった。そういう事ならあの座美丸お兄ちゃんに譲ろう。お代はいらねえ。持ってってくれ」
「いいの!んじゃ、遠慮なく」

そう言ってマガンはガラスケースから座美丸を取り出し、手に持ってみる。マガンに握られた座美丸は妙に手に馴染んだ。そして、先ほどより座美丸の刃は輝いているように見えた。
















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