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冷酷無比な殺し屋が一人の高校生となって異世界転生するとこうなる

Leiren Storathijs

英傑・2

俺はベリックとギアリッグを繋ぐ坑道を開通した報酬で、ギアリッグから全員分の武器を作ってくれた。

ならばこれからやるべき事は、魔王を倒す為のレベル上げになるだろう。そう思いながら俺はアヴァンの元を後にしようと、入り口に振り向くと目の前に突如眩しい光が現れる。

謎の青年「ふふふ……やぁ、また会ったね」

光の正体は、俺をこの世界に飛ばした謎の青年だった。この青年と会う度に俺は、こいつを殺れば、元の世界に戻れるのではないか?と思うが、この者はいくら分析しても不明な事が多過ぎる。

アヴァン「誰だ?この餓鬼」

謎の青年「餓鬼は酷いなぁ〜僕はこれでも###歳は超えてるんだから……」

ん……?今、この者の歳が聞き取れなかった。これも情報分析スキルのレベルの低さが拘っているだろうか?

アヴァン「ほぉ〜?###歳か……俺らみたいな人間じゃねぇってか。で?此処に何の用だ」

謎の青年「ふふふ……もうすぐ、君が大好きな大軍、魔王軍が襲って来るよ?それも今まで以上に、君を殺すつもりくらい!この街を滅ぼすくらいの!ふふふ……じゃ、葛城君と共に忠告したからまたねぇ〜」

そう言うと、青年は光と一緒に消える。

魔王軍……?何故そんな事が起きる事を知っているのだろうか?……それより、アヴァンに警告しなくては。

そう俺はアヴァンに振り向き、警告しようとすると、アヴァンは不気味に笑っていた。

アヴァン「ククク……ガハハハ!魔王軍だと?今まで以上の大軍か……面白えじゃねぇか!全軍薙ぎ倒してやらぁ!」

葛城「あの者の言葉を信じるのか?」

アヴァン「あ?信じるも何も、これは絶対に来る!お前らはしらねぇだろうが、このギアリッグは何故だか分かんねえが、良く良く魔王軍に狙われるんだ……だからいつも、殆ど俺一人で守り抜いて来た。すげぇだろ?」

だからか……だからギアリッグの住人は皆、アヴァン将軍の事を知り、慕っているんだ。六大英傑の一人であり、最強の将軍。これ以上に心強い味方はギアリッグの住人にとっては居ないだろう。

だが、今回はアヴァンを殺すつもりで魔王軍も本気で掛かって来るようだ。此処は俺も参戦しよう。

葛城「そうだったのか……なら、俺も魔王を倒す為に、生きているのも同然だ。参戦しよう」

アヴァン「そりゃ有り難え!全員でギアリッグを守りきるぞ!それと、そこの神月!戦に使う魔法なんざ暴走させてなんぼな物だ。このメモ渡してやるから、適当に魔導書と一緒に読んで、大量の魔王軍にぶっ放せ!んじゃ、全員、此処から降りろ!」

アヴァンは、神月にメモ帳のような紙を渡すと、もう一つの隠し扉を開き飛び降りる様に外へ出て行く。

神月「え、ちょちょ!えぇ!?」

仁道「アイツ……今何処から降りた?」

アヴァンが飛び降りた隠し扉の先を見ると、ギアリッグ最上部から、地上までスカイダイビングできる部屋に繋がっていた。しかし、パラシュートになる物は何処にも見当たらない。

天野「どうすんの?これ」

葛城「神月、アヴァンから貰った魔導書を貸せ」

神月「え?良いけど……」

俺は、半ば神月から奪う様に強く魔導書を受け取ると、魔導書の紙を一枚強く破る。

神月「ちょ、何して……」

すると破った魔導書の紙は、俺の目の前で妖しい紫色の光を放ちながら浮かぶと、透明のウィンドウが開く。

<不明な魔力を検知>

俺は土で作られた階段をイメージしながら、浮かぶ紙を思いっきり握ると、光は激しく眩く。すると、目の前に地上からここまで伸びる巨大な土の階段が生成される。

神月「え!?どうやったの?」

葛城「ここを使え……」

俺は神月の目を見つめ、頭を使えと自分のこめかみを指で突く。

葛城「じゃあアヴァンに続いていくぞ」

神月「ぐっ……」

神月は悔しそうな表情で唇を噛み締めるが、俺は無視し、土の階段を降りる。

土の階段を降りている途中、ギアリッグの周囲を見回すと、其処には万も余裕に超える魔物の軍勢が見えた。

それは完全に退路を無くす様に円形に並び、魔王軍も本気でギアリッグを潰すつもりだ。

天野「おい、あれ見ろよ!アヴァン将軍もう向こうまで行ってるぜ!?」

天野が指差したその先には、先に出て行ったアヴァンが、迫り来る魔王軍の軍勢が目の前に一人立っていた。

そして、アヴァンはこちらまで聞こえる大声で叫ぶ。

アヴァン「てめぇら!英傑の力を舐めんじゃ無えぞ……俺一人で全員叩きのめしてくれるわあああぁッ!!」

その咆哮の様な叫び声は、此方の地面をも揺らし、全ての魔王軍に届く。

すると、突然魔王軍の動きが変わる。さっきまでギアリッグ向けて進行していた魔王軍は、アヴァン一人目掛けて方向を変える。

霧咲「無茶だ!あの数を一人でなんて……!」

葛城「いや、これは本当に英傑の力を見れる瞬間だろう。神月、アヴァンが危険だと思ったら渡されたメモを使って魔法を放て」

神月「いや、今が危険だと思うんだけど!?」

葛城「良いから様子見だ……」

此処から見て、アヴァンは完全に単独状態であり、どれだけ魔法を信じているのか知らんが、アヴァンにとって唯一の助けは神月が放つであろう大魔法のみ。

そうして、魔王軍の軍勢は完全にアヴァンを囲み、アヴァンが魔王軍に飲み込まれる時だった。

突如、円状に囲む魔王軍の中心、一人のアヴァンがいる地点が赤白い太陽の如く閃光が走る。

俺はその閃光の眩しさに一瞬目を瞑ると、次瞼を開いた時には、さっきまでアヴァンを囲んでいた魔王軍の五分の一程が業火に焼かれ、アヴァン周辺が火の海になっていた。

アヴァン「でりゃあああっ!!まだまだ行くぜぇ?」.

そう気合を張るアヴァンを囲む魔王軍はその驚異的な一撃を見ても慄く事は無く、咆哮を上げながらまたアヴァンを囲むように進軍する。

この勢いなら今のような攻撃を数回続ければ魔王軍全滅は可能だろう。しかし俺は分かっていた。ギアリッグ坑道開通の時もそうだが、例えどれだけの戦力を持った豪傑であろうが戦争を一人で勝ち抜く事はまずあり得ないと。

もしそれが出来るならば、アヴァンがわざわざ神月に大魔法詠唱のメモを渡したりはしない筈だ。

それに歴史上幾多ある戦争の話に置いて、たった一人だけずば抜けた戦闘力を持ち、一騎当千や万夫不当という言葉使われているが、それはあくまでもそれだけの強さを持った兵士がいたという話に過ぎない。その結果で戦争を勝利に導いたという話ならまだしも、その一人だけの力で戦争を勝ち抜いた話など聞いた事が無い。

ならば、今アヴァンが魔王軍に対し一人で快進撃をしているその力を信じ我々が此処で立ち止まって様子を見ていれば、その後に起こる事は一つしかない。敗北だ。

逆に我々がすべき事は、アヴァンの作戦を読み取り、行動する事だろう。

仁道「すげぇなありゃあ……あれが六大英傑の一人って奴か……こんなんだったら、俺ら必要無いんじゃねぇか?」

葛城「それは違う。神月、アヴァンがまた魔王軍に囲まれ、攻撃が届く瞬間にアヴァンから受け取った大魔法の詠唱をしろ。その魔法がこの場を一撃で葬る攻撃魔法なのか、それともこの状況を一変させる変幻魔法なのか知らんが、ここであいつの力を信じて待っているだけでは、アヴァンは確実に負ける」

神月「確実に負ける……?あれ程の力があるのに?ただ……確かにそれじゃあ私にメモを渡した意味が無いわね……」

葛城「そういう事だ。さぁやれ神月」

神月「分かったわ……えーっと……メモと言ってもメモ帳よ?これ……どの魔法放てば良いのかしら……」

そう神月はアヴァンから渡されたメモ帳と睨めっこしていると、横から天野がメモ帳を取り上げ、パラパラとメモ帳をめくる。

天野「ふーん……どれどれ……」

神月「ちょっと天野!何するの!?今は遊んでる暇は無いのよ!?」

天野「ふっふーん。俺のゲーム脳を舐めるんじゃねぇぞ?大体やべぇ魔法ってのは、詠唱が長くてかっけぇ名前の魔法なんだよっ」

霧咲「はぁ……ここに来てまでゲームですか……。確かに、この異世界から来て、貴方は妙に興奮気味ですからね。恐らく、願いに願った夢が叶ったのか……詳しいんでしょうね。ですが麗奈の言う通り時間は有りません。急いで選んで下さい」

天野「あいよっ。えーっと……これとかどうだ?ライジング・ウォーってコレ……」

霧咲「ライジング・ウォー……戦争を起こすって……正に今起きてるじゃ無いですか……。ただ、今起こすという意味をこの場に合わせると、戦争に更に混沌を巻き起こす……?」

神月「時間が無いってのに考えてる暇なんて無いわ。オーケーそれね。じゃあ行くわよ!えーっと……詠唱の文章……勇人の言った通りそのまんまじゃない……」

そういうと神月は目を閉じて詠唱を始めた。

神月「行き場無き魂犇めき、戦士の雄叫び轟く血と肉続く戦場よ。今我が声に応え彼の地に天を狂わせ地を唸らせよ!終わり無き混沌を今此処に再現せん!ライジング・ウォー!」

詠唱が終わり神月が技名を叫びながら、手を前に伸ばすと、その瞬間、アヴァンと魔王軍の戦場が一変する。

アヴァンの周囲は地獄の様な業火に包まれ、魔王軍全体は乾いた枯草の地に変動する。

炎に包まれるアヴァンは、焼かれながら混乱するのではなく、逆に獣の様な咆哮を上げるこの様子に俺は、この次何が起きるか予想が容易だった。この魔法は天変地異により戦場に混沌を引き起こす事は確かに正しい。しかしどうやら支援型魔法のようだ。

今起きている状況を簡単に説明するならば、絶対劣勢だった状況を優勢に変えるきっかけをこの魔法が作った。という事だ。

まぁ、炎の周りに枯草という組み合わせは、そう深く考え無くとも分かるだろう。

アヴァン「うおおおおおお!!!燃える……燃える!力が体から煮えたぎる様に湧き出て来るぜぇッ!俺の炎を耐えられる奴なんざいねぇ!魔王軍!これで終わりだぁ!!」

そんな状況を理解もしようとしない魔王軍の魔物の大群は構わずアヴァンに攻めようと囲むが、アヴァンが力溜めようとした瞬間、こちら側からでも分かる空気の流れと熱気が俺の直感に危険信号を送る。

葛城「まずい……お前ら!今すぐ階段を上ってアヴァンのいたさっきの部屋に戻れ!下手すれば此処全域が焼かれるぞ!」

神月「はぁ!?嘘でしょ!?」

天野「あわわわわ!ま、マジかよ!これ、間に合うのか!?」

そう全員慌てふためいていると、仁道が突然、次々と胸倉を掴み持ち上げる。

仁道「しっかり捕まれよぉ……オラァッ!!」

仁道はその馬鹿力を利用し、俺と神月達をアヴァンの部屋に向かってぶん投げる。全員投げ終わった仁道は、全力で階段を駆け上がる。

その時だった。遂にアヴァンの準備が整った。

アヴァン「終わりだぁ!!インフェルノ・ファイアアアァァッッ!!」

アヴァン体が最初と同じ様に一瞬光ると、アヴァンを囲むドーム状の炎の壁が生成され、そこから大きな爆破音と共に、一気に燃え広がる。

仁道「間に合えええええ!!」

急速に拡大する炎の壁から逃げる様に仁道は装備が一瞬で炭に変わると同時の間一髪でアヴァンの部屋に飛び込んだ。

その後、炎の壁で真っ赤に染まった外が晴れ、全体が見渡せる様になると、魔王軍がいた戦場は焼け焦げ真っ黒になっており、アヴァンはその中心で一人静かに佇んでいた。

天野「は、ははは……マジで全域焼き払いやがった……」

葛城「ふぅ……まさかここまでの力を持っていたとは流石に想定外だった……」

そう驚いていると、戦場にいるアヴァンがこちらまで聞こえる程の声で大笑いする。

アヴァン「ガーハッハッハッ!見たか!魔王軍!これが歴代英雄の力よ!!……っと、すまねぇなぁ!ついつい盛り上がって全力出しちまったぜ!」

霧咲「あれが六大英傑の力……なんて恐ろしいんだ……」

葛城「さて、魔王軍は退けたんだ。アヴァンの元へ行くぞ」

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