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冷酷無比な殺し屋が一人の高校生となって異世界転生するとこうなる

Leiren Storathijs

英傑

俺はギッドに案内の報酬を渡す事を約束すると、ギッドは案内を再開し、少しずつ機嫌を取り戻す。

ギッド「じゃあ此処が皆さんが居た下層部市民区の上にあたる中層部貴族区です」

ベリックの様な責任者直通エレベーターは無く、最上部まで全て階層を経由しなくてはいけなく、現在ギアリッグの高さから丁度真ん中辺りの中層部。貴族区に案内されている。

貴族区は、下層部の市民区と比べ、土壁や砂が殆ど無く、辺り一面に広がる花畑と華やかに装飾された民家が建っている。所々ですれ違う人々の服装は、赤青黄色と派手色で、宝石を身に付けている者もおり、見るからに下層部の人々とは違うものを感じる。

更に、その人々の表情は穏やかで下層部から来た者の事を嫌うような仕草や話し声は聞こえず、恐らく上層部も同じか全ての階層において、差別は無いように思える。これも最上部にいるアヴァンという者の影響なのだろうか?

俺はそこで少し疑問に思う。差別も無く、下層中層上層全て、何処にいる者でも何の制限なく行く事が出来る。なら何故、市民区、貴族区と分ける必要があるのだろうか?

葛城「ギッド、此処の人々は、皆穏やかな表情で、嫌悪感を一切感じられない。こんな平和そのものなのに何故階層を分ける必要があるんだ?」

この質問にギッドは少し呆れた顔で言う。

ギッド「あー、僕はその頃産まれて居なかったので詳しくは分かりませんが、聞いた話によると、これまたアヴァン将軍がやった事で、本当はアヴァン将軍が就く前は、それは酷い差別があったらしいですよ?下層部は奴隷区とし、中層部は今も変わりませんが貴族区、上層部は中層と手を組み、下層を圧制していたとか……。でも、アヴァン将軍が此処ギアリッグの最高席に着いた瞬間、前の王様を捕らえたか処刑したかで、ギアリッグの上下関係や法が崩壊しまして……」

葛城「そう言うか……」

アヴァンによってギアリッグは崩壊し、階層毎に地区が分かれている理由はただそれが放置されているという事か。

俺はギッドが話すアヴァンという者に更に興味が湧く。さっきから将軍と言っているが、一体どれだけの者なのだろう?

そう話していると次は上層部へ入る。

ギッド「上層部は兵区と言って、簡単に言えば、アヴァン将軍が王となってから、作った兵団の地区です。ここの兵士さん達はみんな優しくて、中層下層の安全を守ってて、僕も良く案内を必要としている人達を僕に渡してくれるんです!」

上層部の人々は全員が武装しており、一見物々しい雰囲気を漂わせているが、厳重警備という程でも無く兵士皆、何となく警備しているという感じに若干の緩さを感じる。

そう言って漸く、警備兵二人が見張る恐らく最上部へ続くエレベーターの前に着く。すると、ギッドは見張りの兵士に声をかける。

ギッド「アヴァン将軍に会いたいという方がいたのでここまで案内してきました」

警備兵「会いたい?そうか。君がアヴァン将軍に?」

葛城「そうだ。ベリックとギアリッグを繋ぐ坑道を開通し、報酬として武器を贈呈すると約束されている」

警備兵「あぁ!坑道を開けたのは君達か!分かった通そう。でも、くれぐれも失礼の無いようにな?度々アヴァン将軍に会うための理由を作っては、傷だらけで戻ってくる者やいつのまに牢獄にぶち込まれた者も居るからな。アヴァン将軍は君達が思っている以上に強い人だ」

葛城「分かった。じゃあ……約束だギッド……」

俺は警備兵に訳を話し、エレベーターを通して貰うと、エレベーターに乗る際に金貨100枚が入った金袋をギッドに投げる。そしてエレベーターの扉が閉まると外から大喜びする叫び声が聞こえ、そのまま最上部へ上がった。

最上部へ着くと、円状の大理石の床と黄金の装飾壁と大きなガラスで出来た吹き抜けの大広間に入る。

その大広間の中央に、周囲の雰囲気とは不釣り合いな炎模様で赤く煌めく鎧を着て、背中に身長を超える長大剣を背負った図体の大きい男が立っていた。

葛城「お前がアヴァンか?」

アヴァン「おうよ……この俺が此処ギアリッグを制する王であり将軍でもある、アヴァン・ゲールだ。話は聞いてるぜ?ベリックへの坑道を開通させたんだってな」

葛城「あぁ……。まだ坑道には数匹程魔物が残っているが比較的安全だろう。それと、報酬を受け取りに来た」

アヴァン「おうおう、それも聞いてるぜ。既にギアリッグ特製の武器は作成済みだ。今持ってくるから少し待ってろ」

そう言うとアヴァンは、広間の奥の壁に向かうと、壁が隠し扉として開き、中へ入っていった。

アヴァンを待つ間、霧咲がふと口を開く。

霧咲「そういえば、坑道開通の際、どう見ても高レベルの魔物を何匹か倒して居たが、戦わず支援やベリックの住人の手当てをしていた俺や麗奈、瑠璃川さんにも少なからず経験値は入った様だ。あれからどれだけレベルは上がったのかな?」

葛城「自分で見てみろ」

俺はそう言いながら横目で全員のステータスを情報分析で見る。


霧咲 勇人:Lv 20
スキル:光烈斬 Lv 1
<スキルLv10で、進化>

天野 隼也:Lv 25
スキル:無し
<修練場で習得可能>

神月 麗奈:Lv 23
スキル:炎、氷、雷、風
<熟練度で変化>

瑠璃川 真里:Lv 23
スキル:ヒーリング、ガーディアン
<熟練度で変化>

仁道 正儀:Lv 35
スキル:鱗砕き Lv 1
<戦闘によって習得>

最後に自分のステータスを確認する。

葛城 刹那:Lv 42
スキル:
・コントロールチェーン Lv 2
持続時間 15秒(+5秒)
・死の宣告 Lv 2
確率 6%(+1%)
・情報分析 Lv EX
< Lv50で進化>


ザッと見れば、全員にレベルのばらつきがある事が分かった。これ程のばらつきがあると、神月や瑠璃川を戦闘に参加させたくなるが、魔法の発動をマスターしてからの話だ。

それと、俺のステータスに情報分析がLv50で進化とあった。これは、不明と表示され分からなかった情報が分かるようになるのだろうか?

そうステータスを見ていると、アヴァンが戻って来た。すると、順番に配っていく。

アヴァン「ほらよ、持って来たぜ?完全ギアリッグ製で、俺らの最高の技術を持って作った一級品だぁ……ほれ、全員受け取れ。先ずは天野、君の剣だ」

天野「これが俺の剣……。って重ッ!何だこれぇっ……重くてまともに構えてられねぇ……」

天野はアヴァンから剣を受け取ると、切先を地面に落とし、持ち上げようにも、持ちあげられない様子だ。

アヴァン「それは剣を振った際、より敵に深く傷を与え、重い一撃を与えるために、剣全体の重さを上げている。因みに片手で扱える事を想定している。天野、お前はもっと体を鍛えろ!」

アヴァンは天野の肩を軽く叩き、神月の前へ向かう。

アヴァン「お前は神月だな?今まで持っていた魔導書はそのまま持っておけ、まだ使えるからだ。そして、俺からプレゼントするこの魔導書は、ギアリッグが何十年も古代の力を研究し、漸く昨日完成した代物だ」

神月「えぇっ!?そんな物受け取っても良いのですか?」

アヴァン「おう。だが、その魔導書は一ページの中にある一つの魔法でも、強い物は地形を変える程の力を持つ。まぁ、切り札程度に使ってくれ」

神月「ち、地形!?は、はぁ……。ありがとうございます」

神月はずっしりとした両腕サイズの大きな魔導書を受け取ると、背中に紐で縛る。

アヴァン「次は、霧咲君だな?勇者なんだろ?じゃあこれを受け取れ」

霧咲「これは……?」

アヴァン「ん〜、良く分かんねえ石だ。かつてのギアリッグを治めていた王が大事そうに、厳重警備まで付けて持っていた石なんだが、まぁ、兎に角とんでも無く貴重な石だと思う」

霧咲「そうですか……」

霧咲はアヴァンから石を受け取ると首を傾げながらポケットに石を仕舞う。

アヴァン「で、次は仁道だな?今持ってる大鉈と交換してこれを使え」

仁道「あぁ?んだこれ?俺が使ってる大鉈と変わんねえじゃねぇか」

アヴァン「形はな、だがお前の筋力は相当だな。かなり重く作ったんだが……」

仁道「あぁ、さっきよりは重ぇな……だが、体全身を使えば、振り回せてねえ事はねぇ」

アヴァン「ほう?なら……これは持てるか?」

アヴァンは背中に背負っている大剣を抜き、仁道に渡す。すると、仁道は突如バランスを崩し、大剣を地面に落としそうになるが、辛うじて大剣の柄を浮かしながら落とす事を阻止する。

仁道「ふぐっ!?お、重過ぎるっ……!どうなってんだこれは!」

アヴァン「やっぱり無理か。そいつぁ、極限まで硬度と斬れ味を上げた結果、俺以外持てねえくらい重くなっちまった大剣だ……だか、柄を浮かすくらいは出来るとは、やるなお前」

仁道「もう無理だ!」

そう仁道がアヴァンの大剣を落とすと、アヴァンは大剣を軽々と持ちあげ、背中の鞘へ戻す。

凄まじい力の持ち主だ……。一部の人間の力では異常でない限り、一般の軽自動車なら一人でも浮かす程の力を持つ者もいる。ギアリッグ製の大鉈でも持ち上げる事が出来る仁道はその一部と考えても良いだろう。

が、そんな力を持ってさえもアヴァン自慢の大剣は、辛うじて柄を浮かす事が限界。これを見ればアヴァンの持つ大剣は、軽く軽自動車の重さを超えると言っても良い。

アヴァン「ははん?そこの葛城……だったか?俺の能力が見たいって視線をめちゃくちゃ感じるんだが……流石に無断で相手の能力を見る事はタブーだって事は知っているようだな?……良いぜ?今なら見ても」

葛城「そうか……」

俺は、アヴァンから許可が下りたので、徐ろに情報分析を行う。


名前:アヴァン・ゲール
年齢:56
種族:人間
職業:統治王、将軍
称号:六大英傑の一人

Lv:560
体力:4200000
魔力:650000
攻撃力:80000
防御力:54000
俊敏力:10000
運:0

スキル:不明
<情報分析は不可能>


この世界に来てから最初に出会ったアダリス国王とほぼ同じステータス。レベルが遥か俺達の上を行っている。

各パラメーターも、百万と言ってこの世界の普通は分からないが、俺の住む世界にて何に関しても百万を超える数値は一般的に超越していると言っても過言では無いだろう。

それとアダリス国王と共通している点で、称号の『六大英傑の一人』とは何なのだろうか?簡単に言って『六人の英傑の一人』という事で、アヴァンとアダリスがその中の二人に当たる事は分かる。

しかしこの英傑が分からない。単に英傑とは、知恵、才能、実力に優れた者の事を言う。ならばこの世界にいる『国王』に当たる者は、その国の中では全員それを英傑と称えるだろう。だが"六大"と、まるで誰もが知っているかのような表現をすれば、只の国王やそれに当たる階級では無い事が分かる。

アヴァン「どうだった?」

葛城「アダリス国王と同系だな。そこで一つ気になる事がある。称号にあるこの六大英傑の一人とは何だ?」

アヴァン「あぁ、それはこの世界の歴代勇者の事だ。かつて魔王を封じた張本人という訳だ」

確かにそれなら納得出来る。だが俺はこれを知った事で一つの想像が確信に変わり、予定が変更された。

それは、魔王を封じるのに必要最低限のレベル。アダリスは300、アヴァンは560と、これらの英傑と呼ばれる者達は、六大と言えば後四人。恐らく全員最低でも200は超えていると思う。

つまり、魔王を封じるのに必要最低限のレベルは、100では厳しい、200なくてはまともに戦えないと言う事だ。

葛城「そう言う事だったのか……」

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