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冷酷無比な殺し屋が一人の高校生となって異世界転生するとこうなる

Leiren Storathijs

殲滅と解放

ギアリックへ続くベリック最深部の坑道解放の為、俺はベリックの最高責任者の所へ向かう。

責任者の所へは、最深部まで続く螺旋状の道を下っていくのではなく、責任者の家直通の昇降機がある。

昇降機は、土を最深部まで掘られた縦穴に、鉄のワイヤー一本で吊るした床一枚の金網で作られており、ガードの無い螺旋状の道もそうだが、何ともどれも安全とは言い難い。

昇降機に乗ると、バランスは悪く足元が小刻みに揺れ、縦穴の壁を削りながら昇降機は下る。

最深部に着き、昇降機の扉が開くと、目の前には、俺を待っていたかの様に車椅子に乗った、片目が白く失明した白髪の老人が居た。

葛城「邪魔する……」

声を掛けても反応は無く、もう片方の目の瞳は俺の事を捉えているのに気付かない事に、俺は老人が耳も遠い事を勘付く。

俺は老人の肩に手を置き声を再度掛ける。

葛城「お前が此処、ベリックの責任者か?」

老人「……お前は?」

漸く反応を見せた老人に俺はその距離を保って、話す事にした。

葛城「今日この街に来た葛城刹那という者だ。勇者の一行だ」

老人「おぉ、勇者の者達か……左様、私が此処ベリックの最高責任者。ガードルと申す……。勇者が何故此処に?」

葛城「本来こっちに来る予定は無かったが、成り行きでこの街の最深部の坑道、ギアリックへ続く道が大量の魔物に防がれている事を聞いてな。解放を手助けしに来た」

ガードル「ほう?解放とな?殲滅では無く解放と言うか……。それで、勇者一行はお前含めて何人いるのだ?」

葛城「俺を含めて六人いるが、その内三人は使えない。俺と後二人の三人で十分。使えない三人は出来ればだが、貴様らで支援してほしい」

ベリックの住人全員でも手こずった魔物の大群に三人で十分と言う俺にガードルはやはり首を傾げる。

ガードル「その三人は何故使えない?魔物の大群は百よりも多いと見ている。使えなくても少ないよりはマシだろうに」

葛城「その三人は一人は攻撃、二人は魔法と支援というバランス組だが、力が不十分だからだ。しかし、編成から完全に外すと、レベルが一向に上がらない上、成長も出来ない。だから下手を起こさないように、貴様らで何とか支援をしてくれないか?と言う事だ」

俺は真顔で疑問に対し答えるが、言葉を聞いてカードルは少し安心した表情で微笑む。

カードル「フフフ……先程からお前からは、只ならぬ殺気を感じていたが、その殺気はどうやら私が考えている物とは違う様だな……」

葛城「どう言う事だ?」

カードル「仲間を使えないと言って、完全に突き放すのでは無く、今は戦力外だから外すというだけで、完全に使える様になるまで、例え攻撃組であっても前線には出させないという、自分の考えだけでは無く、相手の成長を考える気遣い……。勇者の様に只前に突き進むより、よっぽどお前の方が勇者に適任だ……ハッハッハ」

葛城「気遣い……か。そう言われたのは初めてだな。俺は只、無謀な死より、確実に生きる方を選択しているだけだ。仲間の下手は、全員の死に繋がる事だってあるだろう?」

カードル「確かに。フフフ……こんな考えを持つ者出会うのはいつぶりか……良いだろうお前には、魔物の大群殲滅では無く、ギアリック解放を任せられそうだ。現在、最深部の坑道は岩で塞いでおる。その前にいる見張りのこの事を伝えておこう。まだお前は他の仲間達にこの事を伝えていないのだろう?お前が仲間全員を連れてくる頃には、岩を退かす準備が整えられている筈だ。行って来なさい」

葛城「あぁ、後言い忘れたが、これは個人でも勇者のお人好しで受けるつもりは無い。しっかり報酬は用意して貰うぞ」

成り行きであり、俺が勝手に解放と言っているだけだが、カードルも今俺に解放を任せると言った。つまりこれは、正義ではなく仕事だ。報酬が無くては、それだけで俺はこの件を無かった事にするだろう。

報酬という言葉を聞いたカードルは、大笑いする。

カードル「ハッハッハ!仕事の前に報酬があるかどうかを考えるとはな!全くお前は面白い奴だ。当たり前だ。この件は私達がずっと封をして来た事だ。それを本当に解放してくれるなら、当たり前だ。多大なる報酬を約束しよう」

葛城「了解した。後は頼むぞ」

こうしてベリック最高責任者カードルとの交渉を終え、俺はローグの工具店前、集合場所へ向かう。

集合場所へ向かうと、天野が一番先に待っていた。

天野「お、葛城!待ってたぜ?」

葛城「他は?」

天野「工具店の中で、瑠璃川は疲れ果てて、神月と霧咲はローグ爺さんの手当てによって大分回復してるっぽい。それで仁道は……まだだな……」

葛城「そうか……全員集まったら話がある。全力で戦う事になるから、支度をしておけ」

天野「え"ッ!ま、マジで!?」

葛城「あぁ、巻き込んで済まないが、成功すれば一気にレベルが上がる事を期待出来る……」

天野「それって……死ぬ可能性もあるって事だよね?」

葛城「勿論だ。死ぬ気で戦え」

天野「うわぁ……」

それから天野と話しながら待っていると、遅れて仁道が汗をかきながらきた。

仁道「はぁ〜良い汗かいたぜ〜」

葛城「漸く集まったな。残りは工具店の中に居るから、中で話そう」

仁道「お?なんか依頼でも受けたか?」

葛城「あぁ……」

俺は全員集まった事を確認し、工具店の中で、ギアリック解放の事を説明する。

霧咲「全く君のお陰で、足が動かなくるなるなんて想像もしてなかったよ……」

葛城「そうか。これからやる事で、またお前の足がぶっ壊れる可能性はある。用心しておけ。いや、正確には吹っ飛ぶだろう」

神月「ねぇ……葛城君。それは脅しなの?」

葛城「俺が出はない。まぁ、話せば分かる。単刀直入に言おう。現在、ベリックが交易として使っていたギアリックという街に続く坑道が、大量の魔物の住処になる事で、危険と見なし、岩で道を塞いでいる。俺はこれから其処を、魔物の大群殲滅及び、ギアリックの解放をする」

俺の言葉に、天野は絶望した表情で。仁道はニヤリと口角を上げ。瑠璃川はまるで何を言っているのか理解出来ていない顔で。霧咲、神月は、言葉を失う。

仁道「ほう……?面白そうな仕事持ってきたじゃねぇか」

天野「はぁ……俺の人生、ここで終わるのかなぁ……」

瑠璃川「へぇ〜殲滅?解放?良いんじゃないかなぁ?」

霧咲「葛城君……君は何て仕事を持って来たんだ……確かに良い事ではあるが、僕らのレベルじゃ無理があるんじゃないか?」

神月「そうよ……魔物の殲滅って幾ら居るのよ?ベリックの人達でさえも危険だから岩で塞ぐ何て……」

俺は言葉を続けるもう決めた事であり、これを断れば、責任者カードルとの信頼関係を断ち切る事になる。依頼請負式の仕事において、クライアントを失望させる事は、事前の理由を用意して置かなければ、後から『○○だから仕方が無かった』など通用しない。

勿論、この件においては、責任者カードルの言葉によりベリックの住人の全面協力が約束されている。つまり事前な打ち合わせはしておらず、責任者との交渉は終わったと言えど、それでベリックの住人全員が納得するとは限らない。

それは、もう今日からやるつもりで、最深部坑道の岩を退かす準備と戦の支度を皆しているからだ。

葛城「もう後戻りはできない。因みに前線は天野と仁道と俺三人だけだ。後衛として、霧咲、神月、瑠璃川は、ベリックの住人に支援しながら俺たちに支援をしろ」

天野「ええぇえ!?俺前線!?マジで言ってんの?」

仁道「天野!ビビってんじゃねぇ。こりゃあ、一つの街を救う程の大業だぜ?これで名声と報酬を得られるなら、やるしかねぇだろうよ!」

天野「マジか……」

天野はあまりの突然なる事に涙を一粒流すと、直後大声を上げて、やる気を見せる。

天野「うおおおお!こうなったらもうやるしかねぇ!ヤケクソダァああぁぁッ!!!」

葛城「それで良い」

前衛は良いとして、後衛はどうだろうか?

霧咲「やるしか……無いんだよな……葛城君の言う通りだ。ここで足を吹っ飛ばされる気は無い。全力戦おう」

神月「んー納得いかないけど……勇人がそう言うなら……」

瑠璃川「んー、良いんじゃ無いかなぁ」

葛城「一部満場一致とはいかないが、今更断る事は出来ない。全員支度が終わったら、最深部坑道の前に集まれ」

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