冷酷無比な殺し屋が一人の高校生となって異世界転生するとこうなる

Leiren Storathijs

異世界転移とステータス

俺はあの学校が吹き飛んでから約1秒も経たたずに、はっと目が覚めた。

そこは床には長い赤絨毯が敷かれ、床、壁、天井は煌びやかな金色の装飾と塗装。何処かの王宮だろうか?

まだ状況が理解出来ないが辺りを見回すと、数十人の剣を腰に収めた兵士が、目先の玉座から伸びる赤絨毯を両側から挟むように兵士が向かい合って立っていた。

そこから俺は更に意識を覚醒させる。俺の周りにいるのは、今さっきまで話していた天野、神月、霧咲、瑠璃川、仁道5人がおり、更に学校の生徒25人が、突然の状況に混乱しているのか五月蝿く騒ぐ。

それから暫く経つと、痺れを切らした様に、突然この部屋全体に響く声が聞こえた。

???「静まれッ!!」

その声は五月蝿く騒いでいた全て生徒達を一瞬にして黙らせる。

???「良し。お主達が混乱するのは良く分かる。しかし、今は我々の話を聞いてくれ。先ずは一言。全員、良くぞこの国『アダリス』に参った!」

それを聞いても学校の生徒は混乱を叫ぶ。

生徒A「は?何がアダリスだよ!ここは何処なんだよ!さっきの爆発は?俺は死んだのか?ふざけんじゃねぇよ!あぁ?何が何だかわかんねぇよ!」

???「順を追って説明するからまずは落ち着け」

生徒A「だーかーら!言ってる意味がわかんねぇっつーの!」

???「仕方がない……手荒な真似はしたくない。そこの者を抑えよ!」

兵士「はっ!」

すると側にいた兵士が1人の生徒を床に押し付け押さえ込む。

生徒A「お、おい!離しやがれ!クソ!」

ウィクトル「ふむ……では改めて説明しよう。我が名はアダリス・ウィクトル。この国の国王だ。この世界の危機を救う為、勝手ながらお主達を召喚させて貰った。召喚した理由は1つ。この世界を救う為に、魔王を倒して欲しい!」

……は?俺は一瞬耳を疑った。魔王?魔王とは何だ?世界の危機?これまた大きな問題に巻き込まれたな……。

ウィクトル「だが今すぐお主達に死ねと言っている訳では無い。こちらで全力でサポートしよう。この中にはまだ戦闘経験が無い者もいるだろう。それに関しては安心して欲しい。ここでしっかり訓練してから十分と思った所で、この国から出発して貰い最終的には魔王を討伐してもらうという訳だ」

そこで俺は訳も分からず立ち上がり、銃なんてある筈も無いのに、慣れの所為か拳を国王に向けて言う。

葛城「おい……国王が何だか知らんが、貴様らの戯言に付き合うつもりは無い。今すぐ元いた世界に返せ。死ねと言ってる訳では無いと言ったが、戦闘経験の無い者が突然訓練した所で、実戦に行ける訳がない。それも俺らに死ねと言っていると同じ事だ」

ウィクトル「ふむ、確かにそうだな。しかし実戦に行けないからと言って、うだうだと言っている時間なんて無いのだ。それに魔王を倒さない限り帰すことは出来ん。いや、出来ない」

葛城「そうか……なら仕方がないな。まぁ、これも彼奴あいつの遊びに過ぎないか……」

そこで近くにいた4人が立ち上がる。

天野「いや仕方が無く無いから!俺まだ死にたくねぇよ〜」

神月「そ、そうよ!私もそろそろ門限だし、早く帰らないと行けないのよ!」

瑠璃川「いや神月ちゃん……そう言う問題じゃ無いと思うけど……」

霧咲「了解しました。ウィクトル国王の名にかけて、この国をいや、世界をお救い致しましょう!」

「「「「は?」」」」

霧咲の発言に俺と天野、神月、瑠璃川の声が揃う。

葛城「おい……何を勝手に……」

ウィクトル「そうか!なら話が早い!今すぐ君達の状況をもっと詳しく知って貰うために、とある物を見て頂こう。心の中で『ステータス』と唱えてくれないか?そうすれば見るべき物が見えるだろう」

ステータス?馬鹿馬鹿しい……と、心の中で思った瞬間、俺の目の前に半透明のウィンドウが表示された。

葛城「な、何だこれは?」


名前:葛城 刹那かつらぎ せつな
種族:人間
職業:殺し屋

Lv:1
体力:5000/5000
魔力:2500/2500
攻撃力:200
防御力:150
俊敏力:45
運:10

スキル:
・擬似武器召喚
拳銃 可能
・コントロールチェーン
持続時間 10秒
・死の宣告
確率 5%
・情報分析
Lv EX



ウィクトル「それこそがステータスだ。所謂お主らの能力と言うべきか。それは自分以外には見えん。さぁ、皆の者もステータスと唱えるのだ」

しかし、俺には他の者のステータスも見えていた。恐らくこの情報分析というスキルのお陰だろう。俺は次々とステータスを閲覧していく。


名前:天野 隼也あまの しゅんや
種族:人間
職業:剣士

Lv:1
体力:300/300
魔力:100/100
攻撃力:45
防御力:30
俊敏力:30
運:8

スキル:無し


天野「おおぉお!俺剣士かぁ!かっけえええ!」

そこで俺は気づく。何故俺だけ能力値がこんなにも差が大きいんだ?元殺し屋だから?まぁ、今までにどれだけ人間を殺しているか数えればキリが無いからな……。


名前:神月 麗奈かみづき れいな
種族:人間
職業:魔術師

Lv:1
体力:250/250
魔力:500/500
攻撃力:85
防御力:30
俊敏力:55
運:20

スキル:
・ファイア
威力 15
・フロスト
威力 15
・サンダー
威力 20
・ウィンド
威力 10


葛城「ふむ……」

神月「葛城君?何を見てるの?」

葛城「ん?いや、何でも無い」

国王は他の者には見えていないと言っているんだ。この事は隠した方が良いだろう。

神月「それにしても私は魔術師かぁ、こんなにオーラを放っているのになんか腑に落ちないわねぇ……」


名前:瑠璃川 真里るりかわ まり
種族:人間
職業:治癒術師

Lv:1
体力:100/100
魔力:800/800
攻撃力:10
防御力:10
俊敏力:60
運:60

スキル:
・ヒーリング
効果 100回復
・ガーディアン
効果 防御値10上昇


瑠璃川「わぁ……あたしは治癒術師かぁ……ふっふっふ〜あたしの力で皆んなを癒しちゃうぞぉ」


名前:仁道 正儀しんどう まさき
種族:人間
職業:拳士

Lv:1
体力:1000/1000
魔力:50/50
攻撃力:120
防御力:100
俊敏力:15
運:3

スキル:無し


そこでずっと気絶していた仁道が目を覚ます。

仁道「う……うーん……あぁ?……あぁ!?何見てんだこの野郎!」

葛城「よく寝てたな仁道。ようこそ此処はあの世だ」

すると、仁道は目の前に表示されるステータスに目が飛び出るほど驚く。

仁道「あ?うわああぁあ!?な、何だこれ!浮いてる!」

葛城「驚く所そこかよ……」

仁道「てか待てよ?俺、強くね?」

仁道は、周りの状況も理解せず自分のステータスを見て、誇らしげに興味津々にステータスを見つめる。

そして最後に俺は、霧咲のステータスを見て首を傾げる。


名前:霧咲 勇人きりさき ゆうと
種族:人間
職業:勇者

Lv:1
体力:650/650
魔力:300/300
攻撃力:200
防御力:150
俊敏力:50
運:30

スキル:無し


勇者……?俺の殺し屋という職業もそうだが、此奴こいつだけ曖昧な職業だな……。

霧咲「ふっ、この僕が勇者か……正に相応しいな」

葛城「へぇ、お前が勇者か……良く分からんな」

霧咲「もしかして羨ましいのかい?残念ながらこれは決められた運命なんだ。この地位を君に譲る事は出来ない」

葛城「いや地位では無いと思うが、俺は自分の職業は、あってると思う」

霧咲「因みに君の職業は?」

俺は霧咲に職業を聞かれると、職業名を言うと同時に、スキル擬似武器召喚を発動し、拳銃を霧咲に向ける。

葛城「殺し屋だ」

霧咲は目を見開き、両手を挙げる。

霧咲「……!?いきなり何をするんだ!い、今すぐそれを下ろしてくれ……」

葛城「済まないが本職でな?どうやらこれ1つで此処にいる学校生徒全員を制圧出来そうだ……」

霧咲「や、止めろ……」

それの光景を見た神月が俺を止めに入る。

神月「ちょっと葛城君!?何してるの?止めなさい!」

しかし俺は慣れの所為か、勝手に身体が動く。神月の脛を蹴り、バランスを崩すと、銃口を額に突き付け、地面に神月の膝を落とす。

神月の顔は引き攣り、若干涙目になる。

神月「ひッ!?」

葛城「黙れ……」

そこで国王ウィクトルがまた叫んで止める。

ウィクトル「止めんかッ!!今そんな事をしても意味が無かろう!お互い殺しあえなど儂は一言も言っておらん!どうか……どうか真面目に今の状況を受け止めてくれんか……」

俺はウィクトルを睨み付け情報分析を発動する。


名前:アダリス・ウィクトル
年齢:60
種族:人間
職業:国王、魔剣士
称号:六大英傑の1人

Lv:300
体力:2600000/2600000
魔力:1850000/1850000
攻撃力:56000
防御力:48000
俊敏力:20000
運:100

スキル:不明
<情報分析では解析不能>



俺は余りの桁違いな国王のステータスを見て顔を顰め、大人しく銃を下ろし、床に座り込む。

葛城「チッ……済まない……慣れでな……」

その時、俺の頭の中に王の声が聞こえた。

ウィクトル「ふむ分かれば宜しい……(ほう?今貴様、情報分析をしたな?ふっ、まぁ勝ち目が無いことは一瞬で分かっただろう。そのスキルがあれば大体の者の能力が分かる。だが1つ忠告しておこう。情報分析能力は、今の儂の様に悟られる事もある。無闇に情報分析すると、況してや友好関係を持つ者に無断にやってみろ。殆どの場合敵対視される。早死にしたくなければ、自分の力を過信するな)」

葛城「分かった……忠告感謝する」

俺の返事に周りの霧咲達は首を傾げるが、特に何か言われる事は無かった。

ウィクトル「さて、静まった所で全員ステータスの確認は終わったかな?では、君達に聞きたい事が1つある。君達の中に勇者という職業を持つ者はいるか?」

勇者?そういや霧咲がそんな職業だったな……何か意味があるのだろうか?

神月を落ち着かせる霧咲は、国王の言葉に反応する。

霧咲「麗奈……大丈夫か?……ん?勇者……僕の事でしょうか?」

ウィクトル「おぉ……お主が勇者か。勇者とは唯一魔王を倒す事が出来る存在だ。1人では流石に無理があるが、最後にとどめを刺せるのは勇者のみとなっている。なので、一応お主ら全員を纏めるのは、勇者である君となる。やってくれるかな?」

霧咲「了解しました。国王アダリス・ウィクトルの名の下に、勇者霧咲勇人、この僕が全員を導き、打倒魔王、この世界の危機を救って見せましょう!」

真面目過ぎる霧咲の意思に国王は声を上げて大笑いする。

ウィクトル「ハッハッハ!実に宜しい!こんなに強い意志を持った勇者は今までに初めて見た!これは魔王討伐に期待が膨らむな!」

霧咲は国王に向かって膝から座り、頭を下げる。……こいつの前世は王国騎士だったのだろうか?

霧咲「有難きお言葉感謝致します」

ウィクトル「ならば先ず、早速この国で実戦の為に訓練してもらおう。訓練には、君達の為に特別教官を呼んである。しっかり教官の指示を聞き、訓練するように!では、全員を訓練場へワープさせよう」

国王が俺たちに向けて手をかざすと、俺たち全員の足元に魔法陣が出現し、国王の次の一声の瞬間、俺の意識は一瞬で飛んだ。

ウィクトル「大規模瞬間移動!」

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