シュプレヒコール

めんぼー

4 形見の時計


『とーちゃん!その時計カッコいい!』

『俊!じゃあお前が偉くなったらこの時計をやろうじゃねえか!』

『やったー!僕頑張って偉くなる!』

『お前なら世界をーーーーーー






ジリリリリリリ

目覚まし時計が鳴った。


またこの夢を見た。

父さんがまだ生きていた頃の夢

父さんが死んじまった時、殺された場所にあった腕時計を僕は形見離さず持っている。

その時計にはローマ字で[Yukio]と父さんの名前が書いてある。

この時計を見るたびに父さんを思い出す 。


「…あれ?」

腕時計の秒針が止まっている。
部屋の時計を見ると腕時計と5時間もズレている。

次の日、近くの時計屋に修理に出しに行った。


「初めて来たな…」

家から5分程の距離だが初めて来た。
名前は[片桐時計店]と看板がある。

昔ながらのの風貌をしている。横開きの戸を開いた。唾を飲み込み。

「…どうも!」

カウンターのおくの暖簾がめくれて、白髪混じりの髪をしたおじさん?が出てきた。

「いらっしゃい!…む ︎あんた幸雄んとこの息子かい?」

どうやら僕を知っているようだ。

「そうですけど、父とは何か?」

「中学、高校と一緒でな。よく遊ぶ仲だったんだよ。」

「そうだったんですか!」

「お父さん…残念だったな…」

「はい…」

思わず言葉が詰まる。だがすぐに話し始める。

「僕が父さんの仇を討ちます!」

「そうか…それならうちの息子も仲間に入れてやれ…あいつも友達を亡くしてな…親子共々殺されたようだ…」

「そうですか…今会う事できますか?」

「部活なんだ。そのうち帰ってくるよ…
うちへの用は幸雄の時計だろ。直してやるよ。」

「ありがとうございます。」

腕時計を渡して店の中にある小さめのソファに座った。」



時計の分針が3周ほとした頃だろうか。戸が開いて、髪が少し短めのジャージの青年が入ってきた。

「ただいま、親父?」

暖簾の奥から声がした

「啓介!そこの男から話があるぞ!」

「は?え?あ!」

今僕に気づいたようだ。僕から話し始めた。

「どうも東堂俊と言います。ちょっといいかな?…」

「あぁ…どうも片桐啓介かたぎり けいすけです…なんスカ?」

僕は核心から切り出した。

「僕の父さんは政府の人間に殺された、その仇を討つために君も協力してくれないか?」

彼は戸惑いを見せたが、すぐに意味を理解したようだ。

「俺も友達が殺されて…いいっスよ…俺にも協力させてください!」

「僕の他に2人協力してくれる人がいる。いずれ顔合わせをしよう。」

「はい、わかりました。」

「あぁ、あと敬語とか他人行儀だし名前呼びでタメでいいよ」

「わかった。よろしく俊!」

「こちらこそ。啓介」

話も片付いたところでお父さんが出てきた。

「俊くん、時計治ったよ。」

「ありがとうございます。」

「じゃ、俊またな。連絡しろよ」

「わかってるよ」

僕は店を出て家に帰った。


そろそろ人数も増えてきた。ミーティングでもするか…

その日のうちに3人に予定を確認した。
結果次の週の日曜日に集まる事になった。



この先、この復讐はどうなるかわからない。だが確実に近づいていると思う。

そう考えながらベッドに入った。

その日はいつになく眠れた。

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