君が見たものを僕は知っている
第8話 いよいよ夏休み!
終業式、放課後僕達は帰り道にある古びたカフェにいた。信也が作戦会議と称して僕達を集めたのだ。
「よし!では作戦会議を始めます!」
信也はいつになく真剣の表情をしている。いったい何の話をするというのだろうか?
「作戦会議って?」
凜が僕ときっと鈴佳も思っていただろう事を聞いてくれる。
「何って、明日から夏休みだぜ!高校最後の夏なんだから楽しまなきゃだろ?だから、夏休みの計画を考えようってことだよ」
信也はどうだと言わんばかりに胸をはる。
なるほど、そういうことか。信也のことだから真面目な話ではないと思ったけど。いや、でも、夏休みの計画をしっかりと立てるというのは僕も賛成だ。計画を立てる時間も楽しいものだ。
「夏休みか。やっぱり海とかかな?キャンプも楽しそう!」
鈴佳が遠足前日の子供のように心を踊らせている。
「なるほど!キャンプいいね!夜に花火とか肝試しとかもできるしな!」
鈴佳の提案に信也も乗り気だ。
「でも、どこのキャンプ場にする?近くにキャンプできそうな所もないよね」
僕はキャンプには賛成だ。でも、近くにはキャンプ場なんてものはない。楽しそうなところに水を差すのは悪いけど、場所という問題が解決できなければ話にならない。
「あ、私の親戚の人に頼めばなんとかなるよ。山の中に別荘をもっていて、夏休みいつでも貸してあげるって言われてたんだ。近くに綺麗な川も流れていて、すごくいい所だよ!」
問題があっさりと解決した。まさか、こんなに事がうまく進むとは。最近、いいことが多い気がする。ちょっとだけ不安になるほどだ。
「え!?マジで!よし!じゃあキャンプしようぜ!いつにしようか?俺はいつでも暇だけど!」
信也は前のめりになりながら話す。危うくアイスコーヒーをこぼしそうになる。
「僕は、8月5日と8月12日以外ならいつでもいいよ」
5日には模擬結婚式があって、12日は僕の誕生日で鈴佳と遊園地に行く約束をしている。
「あ、そうか!結婚式があるんだっけ?」
信也と凜がニヤニヤと笑う。成り行きで結婚式の事は二人にも話している。当日二人もくるらしい。来場者の動きも確認したいとかなんとかで鈴佳の従兄弟に誘われたのだ。ちなみに、僕と鈴佳の両親もくる。これじゃ、本物の結婚式みたいだ。
「今、キャンプの話だろ?いつにする?」
僕は話を逸らす。また意識して恥ずかしくなってしまいそうだから。それを見て冷やかしてくる人たちもいることなので。
「あ、逸らしやがったな!まぁいいや、うーんじゃあ、8月の1日ぐらいは?」
だいたい2週間後ぐらいだ。まぁ、そのぐらいあれば課題も終わりそうだな。僕は長期の休みの課題は最初の方に終わらせておくタイプだ。最初の方のやる気がある時に終わらせておけば、後は楽しむだけ。
「うん。僕は大丈夫だよ」
僕の言葉に続いて、鈴佳と凜も了承する。
「よーし!じゃあ!そういうことにしようぜ!楽しみだな!急にテンション上がってきたぜ!」
いや、最初からハイテンションだったけどね。
「キャンプが終わっても、ちょくちょく遊ぼうぜ!」
僕もそのつもりだ。でも、信也はきっと課題なんか最終日までやらないだろうな。
「まぁ、課題が終われば遊んであげてもいいよ」
凜はそう言うが、僕と同じタイプで課題は序盤に終わらせてしまうだろう。それに鈴佳も同じだ。つまり、信也だけが泣くことになる。
「信也、キャンプまでの時間。僕と一緒に課題やろうよ。課題が終わっちゃえば、何も考えずに遊び放題だぜ。親にも何にも言われないと思うし」
でも友達のためなら、どうせ僕も課題をやらなければいけないし、一緒にやった方が楽しくできるし、2週間もあればゆっくりでも終わるだろう。
「え!?マジで!持つべきもの友達だよな~。それは本当に助かる!お礼にアイスでも奢るから!よろしくな!」
アイスか。奢ってもらえるなら当然あれだよな、ハーゲンダッツ。
「え?アイス奢ってもらえるなら私達も教えてあげるよ、ねぇ鈴佳ちゃん!」
アイスに食いついて鈴佳と凜も一緒に課題をするようだ。
「な!?お前らもかよ!もう!やけくそだ!いいよ!奢ってやるよ!その代わりキャンプまでには終わらせてくれよ!」
こうして、僕達は夏休みの序盤。キャンプまでの期間を課題のために費やすことになった。図書館やそれぞれの家、学校の教室、カフェ、公園など様々な場所で課題をこなしていった。普段ではやらないような場所で課題をすると、新鮮で思ったより捗った。
キャンプ前日。僕達は読書感想文以外の課題を全て終わらせた。読書感想文は凜の親戚の別荘に、たくさん本があるらしくそこで終わらせることにした。そのため、キャンプの日を2日に変更して、1日を読書感想文の時間にすることにした。つまり、2泊3日ということだ。読書をあまりしない僕にとってはいい本もなく、この提案は救いだった。感想文の書き方もいまいち分からないから、凜がいるのも心強い。
「よし!じゃあ、明日の買い出しにいくか!あ、約束だからアイスもかってやるよ!」
僕達はその日、課題を終えると明日のキャンプのための食材の買い出しにいくことになった。初日はカレーを作ることになったのでその材料を。
2日目のバーベキューの材料も忘れずに。あとは、お菓子と飲み物をたくさん。費用はそれぞれの優しい両親が出してくれた。いつもは冷やかしてきたりとまるで、子供の僕より子供のような人達だけど感謝しないといけない。
「食材はだいたいオッケーだな!まだ、お金も余っているし、あとは花火も買っていこうぜ!」
バーベキューに花火、夏っぽくなってきたな。僕はウキウキする心を隠してポーカーフェイスを心がける。
もちろん、約束のアイスの料金は信也の財布から出してもらった。
「じゃあ、明日は10時にバス停集合な!」
僕達はその帰り道、明日の集合時間と場所を確認していた。凜の親戚の別荘までは、集合場所のバス停から1時間ぐらいということだ。
「うん分かった。信也、寝坊すんなよ」
集合時間と場所は問題ない。問題があるとすれば、遅刻魔の信也だ。まぁ、大丈夫だろうけど。ちょっと不安もある。
「いやいや、さすがに俺も明日は遅刻しないよ!」
信也は食い気味で否定する。そこまで食い気味でこられると逆に不安というか、フラグを立ててしまったような気がする。
「本当に?なんか、余計に不安になるんだけど。じゃあさ、私が迎えにいってあげるよ。どうせ、電話しても寝てたら出ないと思うし、出たとしても二度寝しそうだし」
どうやら不安だったのは、僕だけじゃなかったようだ。凜もそれから鈴佳も同じだったらしく、凜の提案に「それがいいよ!」と鈴佳も賛成している。もちろん、僕も賛成だ。
「え?俺ってそんなに信用されてないの?あーもう分かったよ、来てもいいよ」
信也はそう言いながらも少し嬉しそうだ。彼女が起こしにきてくれるなんて男達の夢みたいなもんだ。
「何よ!来てもいいよって!そんな言い方するなら言ってあげない!起こしてあげない!ってかもう起きなくていい!」
凜はプイッとそっぽを向く。
「え!?起きなくていいって死ねってことじゃん!いやいや来てよ!起こしてよ!いや、起こしに来てください!お願いします!」
信也は深々と頭を下げながら必死にお願いをする。
「ハァー、そこまで言うなら仕方ない。分かった、起こしにいくよ。ってか私が行くまでに起きててよね!」
そんな二人のやり取りを見て僕と鈴佳は腹を抱えて笑う。なんというかこの漫才のようなやり取り。毎日見ているのに飽きない。本当にこの二人は仲が良いんだな。僕も鈴佳とこんなに仲が良いのかな?もっと、何でも言い合えるような仲になりたいな。そんな事を思って鈴佳をチラリと見る。
そうしたら、鈴佳も僕を見ていたらしく目が合って、恥ずかしくなって僕達は目を反らした。僕達の頬を夕焼けが染めていた。
「よし!では作戦会議を始めます!」
信也はいつになく真剣の表情をしている。いったい何の話をするというのだろうか?
「作戦会議って?」
凜が僕ときっと鈴佳も思っていただろう事を聞いてくれる。
「何って、明日から夏休みだぜ!高校最後の夏なんだから楽しまなきゃだろ?だから、夏休みの計画を考えようってことだよ」
信也はどうだと言わんばかりに胸をはる。
なるほど、そういうことか。信也のことだから真面目な話ではないと思ったけど。いや、でも、夏休みの計画をしっかりと立てるというのは僕も賛成だ。計画を立てる時間も楽しいものだ。
「夏休みか。やっぱり海とかかな?キャンプも楽しそう!」
鈴佳が遠足前日の子供のように心を踊らせている。
「なるほど!キャンプいいね!夜に花火とか肝試しとかもできるしな!」
鈴佳の提案に信也も乗り気だ。
「でも、どこのキャンプ場にする?近くにキャンプできそうな所もないよね」
僕はキャンプには賛成だ。でも、近くにはキャンプ場なんてものはない。楽しそうなところに水を差すのは悪いけど、場所という問題が解決できなければ話にならない。
「あ、私の親戚の人に頼めばなんとかなるよ。山の中に別荘をもっていて、夏休みいつでも貸してあげるって言われてたんだ。近くに綺麗な川も流れていて、すごくいい所だよ!」
問題があっさりと解決した。まさか、こんなに事がうまく進むとは。最近、いいことが多い気がする。ちょっとだけ不安になるほどだ。
「え!?マジで!よし!じゃあキャンプしようぜ!いつにしようか?俺はいつでも暇だけど!」
信也は前のめりになりながら話す。危うくアイスコーヒーをこぼしそうになる。
「僕は、8月5日と8月12日以外ならいつでもいいよ」
5日には模擬結婚式があって、12日は僕の誕生日で鈴佳と遊園地に行く約束をしている。
「あ、そうか!結婚式があるんだっけ?」
信也と凜がニヤニヤと笑う。成り行きで結婚式の事は二人にも話している。当日二人もくるらしい。来場者の動きも確認したいとかなんとかで鈴佳の従兄弟に誘われたのだ。ちなみに、僕と鈴佳の両親もくる。これじゃ、本物の結婚式みたいだ。
「今、キャンプの話だろ?いつにする?」
僕は話を逸らす。また意識して恥ずかしくなってしまいそうだから。それを見て冷やかしてくる人たちもいることなので。
「あ、逸らしやがったな!まぁいいや、うーんじゃあ、8月の1日ぐらいは?」
だいたい2週間後ぐらいだ。まぁ、そのぐらいあれば課題も終わりそうだな。僕は長期の休みの課題は最初の方に終わらせておくタイプだ。最初の方のやる気がある時に終わらせておけば、後は楽しむだけ。
「うん。僕は大丈夫だよ」
僕の言葉に続いて、鈴佳と凜も了承する。
「よーし!じゃあ!そういうことにしようぜ!楽しみだな!急にテンション上がってきたぜ!」
いや、最初からハイテンションだったけどね。
「キャンプが終わっても、ちょくちょく遊ぼうぜ!」
僕もそのつもりだ。でも、信也はきっと課題なんか最終日までやらないだろうな。
「まぁ、課題が終われば遊んであげてもいいよ」
凜はそう言うが、僕と同じタイプで課題は序盤に終わらせてしまうだろう。それに鈴佳も同じだ。つまり、信也だけが泣くことになる。
「信也、キャンプまでの時間。僕と一緒に課題やろうよ。課題が終わっちゃえば、何も考えずに遊び放題だぜ。親にも何にも言われないと思うし」
でも友達のためなら、どうせ僕も課題をやらなければいけないし、一緒にやった方が楽しくできるし、2週間もあればゆっくりでも終わるだろう。
「え!?マジで!持つべきもの友達だよな~。それは本当に助かる!お礼にアイスでも奢るから!よろしくな!」
アイスか。奢ってもらえるなら当然あれだよな、ハーゲンダッツ。
「え?アイス奢ってもらえるなら私達も教えてあげるよ、ねぇ鈴佳ちゃん!」
アイスに食いついて鈴佳と凜も一緒に課題をするようだ。
「な!?お前らもかよ!もう!やけくそだ!いいよ!奢ってやるよ!その代わりキャンプまでには終わらせてくれよ!」
こうして、僕達は夏休みの序盤。キャンプまでの期間を課題のために費やすことになった。図書館やそれぞれの家、学校の教室、カフェ、公園など様々な場所で課題をこなしていった。普段ではやらないような場所で課題をすると、新鮮で思ったより捗った。
キャンプ前日。僕達は読書感想文以外の課題を全て終わらせた。読書感想文は凜の親戚の別荘に、たくさん本があるらしくそこで終わらせることにした。そのため、キャンプの日を2日に変更して、1日を読書感想文の時間にすることにした。つまり、2泊3日ということだ。読書をあまりしない僕にとってはいい本もなく、この提案は救いだった。感想文の書き方もいまいち分からないから、凜がいるのも心強い。
「よし!じゃあ、明日の買い出しにいくか!あ、約束だからアイスもかってやるよ!」
僕達はその日、課題を終えると明日のキャンプのための食材の買い出しにいくことになった。初日はカレーを作ることになったのでその材料を。
2日目のバーベキューの材料も忘れずに。あとは、お菓子と飲み物をたくさん。費用はそれぞれの優しい両親が出してくれた。いつもは冷やかしてきたりとまるで、子供の僕より子供のような人達だけど感謝しないといけない。
「食材はだいたいオッケーだな!まだ、お金も余っているし、あとは花火も買っていこうぜ!」
バーベキューに花火、夏っぽくなってきたな。僕はウキウキする心を隠してポーカーフェイスを心がける。
もちろん、約束のアイスの料金は信也の財布から出してもらった。
「じゃあ、明日は10時にバス停集合な!」
僕達はその帰り道、明日の集合時間と場所を確認していた。凜の親戚の別荘までは、集合場所のバス停から1時間ぐらいということだ。
「うん分かった。信也、寝坊すんなよ」
集合時間と場所は問題ない。問題があるとすれば、遅刻魔の信也だ。まぁ、大丈夫だろうけど。ちょっと不安もある。
「いやいや、さすがに俺も明日は遅刻しないよ!」
信也は食い気味で否定する。そこまで食い気味でこられると逆に不安というか、フラグを立ててしまったような気がする。
「本当に?なんか、余計に不安になるんだけど。じゃあさ、私が迎えにいってあげるよ。どうせ、電話しても寝てたら出ないと思うし、出たとしても二度寝しそうだし」
どうやら不安だったのは、僕だけじゃなかったようだ。凜もそれから鈴佳も同じだったらしく、凜の提案に「それがいいよ!」と鈴佳も賛成している。もちろん、僕も賛成だ。
「え?俺ってそんなに信用されてないの?あーもう分かったよ、来てもいいよ」
信也はそう言いながらも少し嬉しそうだ。彼女が起こしにきてくれるなんて男達の夢みたいなもんだ。
「何よ!来てもいいよって!そんな言い方するなら言ってあげない!起こしてあげない!ってかもう起きなくていい!」
凜はプイッとそっぽを向く。
「え!?起きなくていいって死ねってことじゃん!いやいや来てよ!起こしてよ!いや、起こしに来てください!お願いします!」
信也は深々と頭を下げながら必死にお願いをする。
「ハァー、そこまで言うなら仕方ない。分かった、起こしにいくよ。ってか私が行くまでに起きててよね!」
そんな二人のやり取りを見て僕と鈴佳は腹を抱えて笑う。なんというかこの漫才のようなやり取り。毎日見ているのに飽きない。本当にこの二人は仲が良いんだな。僕も鈴佳とこんなに仲が良いのかな?もっと、何でも言い合えるような仲になりたいな。そんな事を思って鈴佳をチラリと見る。
そうしたら、鈴佳も僕を見ていたらしく目が合って、恥ずかしくなって僕達は目を反らした。僕達の頬を夕焼けが染めていた。
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