SCPー花言葉
エニシダ
ヒスイside
目を開けても、生きてても、どこを見ても真っ白な箱の中。
僕の座っている大きなベッドから見える景色は変わらない。
切り裂かれた人形がそこらじゅうに散らばって、ごちゃごちゃしている。
外には出れない。
僕が生きていくには、この部屋から出て行っては行けない。なぜなら
__処分されてしまうから。
外の世界を望んだ実験体達は、全て身勝手な大人達の手で殺されてしまった。
だけど、普通では無い強い能力を持った僕はこの部屋の外に出ることすら許されていない。
自分自身も外に出ることを認めてはいない。
でも、僕にも心の拠り所はあった。実験体96番目…アオイの存在だ。
最初は周囲と同じようにすぐに銃殺か刺殺されてしまうだろうと思っていた。
施設の外には出れないけれど部屋の外には行けるなら、誰もが外の世界を欲するはずなのに恐ろしい程にアオイは外の世界に無関心だった。
僕みたいに強制的に行けないんではなくて、自主的にこの施設から僕の近くから離れようとしない。
ギィィィ…
ほら、また平然と僕の世界に足を踏み入れてくる。裏切り者の僕の傍に。
「ヒスイ。これから実験するらしいから体調崩さないでね。俺も頑張るから。」
実験体の印として実験体全員についている首輪をアオイが手で軽く触れながら言う。
それだけで終わりかと思うと、スタスタとごく普通のように僕が座っているベッドに腰掛ける。
「…何?」
にっこりと嬉しそうに笑うアオイの方を見ながら、僕がそう聞くとアオイは僕と指を絡める。
「んー?…本当に俺、ヒスイの事を大好きなんだな〜って。ほら俺ってさ、人間見えないし。」
僕が手で、アオイの頭を撫でるとアオイは犬みたいに身を委ねるように目を瞑った。
「…潔癖症と人間嫌い。」
潔癖症とは思えないほど頭を私の肌に擦り付ける。
髪がサラサラと触れるくすぐったさを感じながら、慣れてしまったのでそのまま抗うことはしなかった。
「そう。でも、俺はヒスイがいれば何もいらないから。だって、ヒスイ以外の人間は汚いから。」
そう言って目をうっとりとさせるアオイは周りのものなど入っていなかった。
きっとアオイの人間嫌いはこの施設と僕のせいなんだ。
もしアオイが普通の家庭で生まれていたら?
もしアオイが僕と会っていなかったら?
もしアオイが実験体じゃなかったら?
アオイは普通の…いや、その能力という名の才能を良い方へ持っていけただろう。そして施設に入ることは無かった。
そもそもの話、施設があることすらもそして僕がいることも全部知らなかったはずだ。
好奇心と恋心を履き間違えることも。
その根拠として僕はアオイの蓋然性をいくつも述べられる。
「…ごめんなさい。」
アオイの気持ちには答えられない。
偶然から始まったこの物語の続きはきっと悲劇だから。
僕がアオイの分まで被害を受けられるのなら今すぐにでも承諾したい。
僕と同じ道なんて歩んで欲しくない。
だって僕は___
__〖裏切り者〗だから。
「いいよ。俺は勝手にヒスイの事をもっと好きになるから。」
冷たく言っても
突き放しても
心を塞いでみても
真っ直ぐに話してみても
彼は諦めない。
僕とは正反対の清らかで純粋で綺麗な少年。
僕と関わってしまったら、彼の人生はめちゃくちゃになってしまう。
どうすればいいのだろう。
何が間違いだった?
アオイと出会ったあの時、彼の質問に答えなければよかった?
アオイと僕は相容れない存在なのに。
なんで僕の心をこじ開けようとするのだろう。
これ以上僕の心を見ないで
これ以上踏み込んでこないで
ねぇ、お願いだからやめてよ。
  
閲覧ありがとうございました。
目を開けても、生きてても、どこを見ても真っ白な箱の中。
僕の座っている大きなベッドから見える景色は変わらない。
切り裂かれた人形がそこらじゅうに散らばって、ごちゃごちゃしている。
外には出れない。
僕が生きていくには、この部屋から出て行っては行けない。なぜなら
__処分されてしまうから。
外の世界を望んだ実験体達は、全て身勝手な大人達の手で殺されてしまった。
だけど、普通では無い強い能力を持った僕はこの部屋の外に出ることすら許されていない。
自分自身も外に出ることを認めてはいない。
でも、僕にも心の拠り所はあった。実験体96番目…アオイの存在だ。
最初は周囲と同じようにすぐに銃殺か刺殺されてしまうだろうと思っていた。
施設の外には出れないけれど部屋の外には行けるなら、誰もが外の世界を欲するはずなのに恐ろしい程にアオイは外の世界に無関心だった。
僕みたいに強制的に行けないんではなくて、自主的にこの施設から僕の近くから離れようとしない。
ギィィィ…
ほら、また平然と僕の世界に足を踏み入れてくる。裏切り者の僕の傍に。
「ヒスイ。これから実験するらしいから体調崩さないでね。俺も頑張るから。」
実験体の印として実験体全員についている首輪をアオイが手で軽く触れながら言う。
それだけで終わりかと思うと、スタスタとごく普通のように僕が座っているベッドに腰掛ける。
「…何?」
にっこりと嬉しそうに笑うアオイの方を見ながら、僕がそう聞くとアオイは僕と指を絡める。
「んー?…本当に俺、ヒスイの事を大好きなんだな〜って。ほら俺ってさ、人間見えないし。」
僕が手で、アオイの頭を撫でるとアオイは犬みたいに身を委ねるように目を瞑った。
「…潔癖症と人間嫌い。」
潔癖症とは思えないほど頭を私の肌に擦り付ける。
髪がサラサラと触れるくすぐったさを感じながら、慣れてしまったのでそのまま抗うことはしなかった。
「そう。でも、俺はヒスイがいれば何もいらないから。だって、ヒスイ以外の人間は汚いから。」
そう言って目をうっとりとさせるアオイは周りのものなど入っていなかった。
きっとアオイの人間嫌いはこの施設と僕のせいなんだ。
もしアオイが普通の家庭で生まれていたら?
もしアオイが僕と会っていなかったら?
もしアオイが実験体じゃなかったら?
アオイは普通の…いや、その能力という名の才能を良い方へ持っていけただろう。そして施設に入ることは無かった。
そもそもの話、施設があることすらもそして僕がいることも全部知らなかったはずだ。
好奇心と恋心を履き間違えることも。
その根拠として僕はアオイの蓋然性をいくつも述べられる。
「…ごめんなさい。」
アオイの気持ちには答えられない。
偶然から始まったこの物語の続きはきっと悲劇だから。
僕がアオイの分まで被害を受けられるのなら今すぐにでも承諾したい。
僕と同じ道なんて歩んで欲しくない。
だって僕は___
__〖裏切り者〗だから。
「いいよ。俺は勝手にヒスイの事をもっと好きになるから。」
冷たく言っても
突き放しても
心を塞いでみても
真っ直ぐに話してみても
彼は諦めない。
僕とは正反対の清らかで純粋で綺麗な少年。
僕と関わってしまったら、彼の人生はめちゃくちゃになってしまう。
どうすればいいのだろう。
何が間違いだった?
アオイと出会ったあの時、彼の質問に答えなければよかった?
アオイと僕は相容れない存在なのに。
なんで僕の心をこじ開けようとするのだろう。
これ以上僕の心を見ないで
これ以上踏み込んでこないで
ねぇ、お願いだからやめてよ。
  
閲覧ありがとうございました。
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