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捻くれ男子とボクっ娘

きりんのつばさ

10話




その後、しばらく葵はぬいぐるみのゾーンで駄々をこねいつものクールな一面とはかけ離れた様子をこれでもかと見せつけられたが最後はほぼ無理矢理引き剥がした。
引き剥がした後は葵はいつものクールな性格に戻り再びウインドウショッピングなどをして普通に過ごし、そして気がついたら丁度いい時間になっていた。

「わぉ、もうこんな時間かね」

「言われてみればそうだな。全然気が付かなかった」

……本当の事を言えば時間には気づいていたのだが葵が予想以上に楽しそうに過ごしていたので気づかないフリをしていた。

「おっ、それはつまりボクとの時間が楽しくて思わず時間を忘れてしまうぐらい楽しかったって事かな?」

そう言われた瞬間、ふと自分の中で疑問に思った。

ーー僕はこいつといて楽しいと感じていたのか?

僕自身そういう感情を抱いた事がないので

「帰ったらやっと1人になれる」

と答えていた。

「……正直な感想ありがとう」

「まぁ偽る必要もないだろ」

「全くキミはボクの様な美少女と付き合えるんだからもっと自身の幸福に目を向けた方が良いと思うな〜」

「まぁ見てくれだけはいいからなお前は
……見てくれだけはな」

「……最近口癖になってないかね、それ?」

とジト目で見てくる葵。
普段教室ではこんな表情を見せないから結構新鮮だ。

「そりゃいつも思っている事だからな。口に出てもおかしくはないだろうが」

というか僕はあまり人と話さないが思ったことをすぐ口に出してしまう性格なので普段思っていることを口に出してしまう。

「まぁ確かにキミとは毎日一緒にいるからしょうがないか……だがしかし!! キミはボクという美少女といつも一緒にいれるという幸せを感じるべきなんだ!! 否、感じて!!」

「断る」

「予想はしていたけどまさかの即答かい!?」

「当たり前だっての……というか僕がその答え方をするの分かっていたろ……」

「いや~分からないよ~? キミも知らないうちに意外と変わっているかーー」

「心配するな、それは絶対ない、断言してやる」

「あのね……最後まで言わせてもらうことは許してもらえませんかね?」


……実際は少しは自分の中で何かが変わってきていると思っているがこいつの言う通りと考えると妙にイラっとくるのであえて嘘をついた。

「まぁでもボクも今日は楽しかったよ。アレキサンダーも仲間になったし」

とさっき僕がクレーンゲームで取ったアザラシのぬいぐるみを見せてきた。さっき取る時も思ったがこいつのネーミングセンスは如何なものかと思いたくなる。

「喜んでもらえたようなら幸いだ
ーーはぁ帰ったら今日遊んだ分勉強するか……」

「キミって本当見た目によらずまじめだよね~せっかくの休日だよ? 休もうよ~」

「お前は何を言っているんだ?」

「えっ? どうしてだい?」

「--来週からテストだぞ?」

「……」

僕がそう言った瞬間、何かはっとした様子で目を斜め上の方に向けた。

「無言で目を逸らすな、まさかお前……」

「ふっふっ……ねぇ知っているかい琉唯。ボクは今を全力で生きているんだ」

「--忘れていたとかそういうオチじゃないよな?」

「故にボクはまだ現実を見ない!! 明日のことは明日考えるべきなんだ!!」

「堂々と言える言葉じゃないからな!?」

自分のミスをここまで全力で誤魔化そうとしている奴は初めて見たかもしれない。
……まぁ僕の人付き合いの無さもあるかもしれないが。

「うるさい!! ボクだって分かっているさ!! テストが来週から始まるってことぐらい!!」

「じゃあ何故遊びに誘った!? 分かっているなら勉強しろよ!?」

「現実逃避に決まっているじゃないか!!」

「はぁ……呆れた。問題を先延ばしにしたって何も起きないだろ? そんなこと最近の小学生でも分かる事だぞ?」

「くっ……不良のわりに良い事言うじゃないか……あぁ胸に刺さる……」

「“不良のわりに”は余計だ。僕は自分から不良と名乗った記憶はない。ちなみに前回にテストは?」

「下から数えた方が早いね」

「……お前って意外とバカなんだな」

「その憐れむような目でボクを見ないで!? い、いやこれでもボクは頑張っているんだよ? というかそういう琉唯は成績どうなんだい? キミだってボクと同じぐらいーー」

「学年1位だが?」

ちなみに僕は学校に入学してから一度も首位から陥落したことはない。

「そうだったよ!! キミって見た目の割に頭良い事忘れていたよ!!」

「さっきからお前は一言余計だ」

「やだぁ~補修受けたくないよ~」

僕の学校はテストで赤点を取ると長期休みに補修を食らう。僕にとっては長期休みはどうせやることもないので別に構わないのだが普通の学生からすれば長期休みに補修はかなり痛手だろう。

「ちなみに聞くが今回の範囲の理解度は?」

「……国数英理社なんでやるのか分からない」

「まず勉強をやる理由からかよ……」

「キミだって思うだろ? なんで将来使うかどうかも分からないものをせっかくの貴重な青春の時間を使ってやるなんてさ!!」

「使うかどうかは分からないが備えておけば憂いなしって言うからな」

「……不良らしからぬお言葉ありがとう。はぁ帰ったら勉強しないとな……二次関数よく分からない……不定詞理解不能……いまそかり、何よそれ……へっへっ……」

さっきからぶつぶつ言葉を言っているが様子を見れば本当にまずいみたいだ。
こいつが補修になれば夏休みは一人気ままに過ごせる。
正直それは僕にとってとても助かる。
だが……

「夏休みが……海が……プールが……」

「おい葵」

「何だい琉唯? こんなボクを笑いたいのかい? ふっ、笑いたまえ……口調の割にバカなこのボクをさ」

「明日から勉強するぞ?」

「分かっているさ、それぐらい」

「一緒にな」

「分かっているさそれ
ーーえっ?」

「だから明日から図書館で僕が教えてやる」

「ほ、本当かい……?」

「だってお前が赤点取ったら毎日文句言われかねない
ーーその代わりに僕が教えたからには赤点は許さない」

「……もし取ったら?」

「お前との約束を破棄してやる」

「う、うんやるよ!! 赤点取らないようにするよ!!」

「じゃあ明日放課後から勉強な」

葵を突き放せるいい機会だとおもったのだが何故かそれは出来ずに、逆に助け船を出してしまう僕であった。






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