捻くれ男子とボクっ娘
プロローグ
新連載始めました!!
色々と新境地のところもあると思うのでどうかそこもお付き合いしてくださると嬉しいです。
ではどうぞ!!
「行ってきます」
僕こと八雲流唯は家の玄関を出て、学校に向かって歩き出した。
家から少し遠い高校に通っている高校2年生だ。
ただ少しばかり普通の高校生とは違う。
それは僕が説明するよりも実際に登校風景を見てもらった方が早い。
家から少し歩き、電車に乗り、高校の最寄の駅に着いた。
そしていつも通りに駅から高校までの道を歩き始めたのだが……
「……」
「お、おい!! 道を開けろ!! 喧嘩売られんぞ!!」
と1人が言うと周りの生徒も同じ様に道の端に避けた。
……そうまるで海を真っ二つにしたモーゼの様に僕はただ歩いているだけなのだが僕が来た瞬間に一斉に端に避けていくのである。
その中で1人、とっさの事で身体が動かなかったのか転んでしまった生徒がいた。そして僕の姿を見ると顔を恐怖の色に染めながら
「ヒ、ヒィ!? お、お金をあげるから見逃して!?」
自ら財布から札を何枚か出してきた。
……何度も言うが僕はただ登校しただけである。
そのため僕はその生徒が出してきた札は無視して、生徒の横を通り校門に向かった。
校門に向かう最中でも耳に俺の噂が聞こえてくる。
「なぁ聞いたか? またあいつ不良の集まり潰したそうだぜ? しかも全員病院送りにしてさ」
「聞いた聞いた……確か実家はヤ◯ザなんだろ?」
「違う違う、マ◯ィアらしい……」
「あの歳で若頭だってよ……」
「舎弟が近隣の県にまでいるってさ……」
……おかしい、全部真実が無い。
なんならかすってすら無いのである。
「けっ……またこれかよ……まぁ慣れたが」
僕は誰にも聞こえない程度の大きさの声で吐き捨てる様に呟いた。まぁ彼らがその様な噂をするのは仕方ないと僕自身思う。
だって……
「この見た目だしな……しゃあねぇか」
・金髪にツリ目
・180前半のわりかしガッチリとした体格
という完全にヤンキーを具現化した様な風貌であるからだ。だから僕個人が何もしなくても周りが勝手に噂をしていき、そしてその噂に尾びれ背びれがついていき、更に面白おかしく解釈していった。
高校生活の始まりの頃はいきなりとはいかないとしても少しは環境が変わるかと思い、地元の中学の奴らがいかない少し遠い高校を選んだ。だが……
「中学の僕の噂ってどこまで広まっているんだよ……」
悲しきかな、中学の頃の噂がこの地域にも届いていたのか中学から何も変わらず結局何も変わらず、現在に至る。
「……さっさと帰りてぇ」
なんて思いながら止めていた足を再び動かし始めた。
授業が終わり、僕は高校生がしそうな寄り道は一切せずに真っ直ぐとある家に向かった。
「ただいま」
「あらお帰り〜流唯ちゃん」
家に帰ると準備をしている母さんがいた。
僕の母さんはフランス人であり、僕の金髪も母さんの遺伝であるということを大半の奴らは知らない。
一児の母には見えないとはご近所の話で言われている様に若々しく美人なのである。
……その美貌の遺伝子を僕にもう少し分けて欲しかったと切に現在進行形で願っている僕。
「母さん、高校生になって“ちゃん”付けはやめろ……」
そして高校2年になっても未だに母さんは僕の事を“ちゃん”付けで呼んでくる。いい加減恥ずかしいからやめて欲しいのだが……
「あら……恥ずかしがって〜」
とこの様に面白がっているのか一向に止める気配は無い。
「面倒くせぇな……本当」
「あ、そうそう今手空いているかしら?」
「……手伝いだろ? 分かった、親父の方にいけばいいか?」
「流唯ちゃんが受付に行きたいならママ構わないわよ?」
「冗談はよしてくれ、僕が行ったら店に誰もこねぇだろうが。そんなんわかりきっているだろ」
なんて返事をしながら僕は親父がいる厨房に向かった。
「親父、手伝いにきたぞ」
と僕が準備をした後、厨房に向かうとそこにはいかつい風貌をした男性がオーブンの中にある菓子と睨めっこしていた。
「おぅ、来たか」
このいかつい男性こと僕の親父であり、この菓子店のオーナ兼シェフである。こんな見た目は熊の様な体格で、顔もヤ◯ザの若頭の様だが、菓子のコンクールでは何度も優秀賞を取るぐらい腕が立つ。
「生地を捏ねればいいか? クリーム混ぜるか?」
僕が高校から真っ直ぐ帰ってきているのはこの店を手伝いをしているからである。
……まぁ放課後遊ぶ友達がいないのも理由になるが。
昔からこの様に親父達の手伝いをしているのでクラスで
“見て見て〜〇〇君の為に私クッキー作ってきたの〜。
食べてみて〜”
なんて言っている女子に比べて絶対美味いのが作れると自信がある。クラスでそんな声が聞こえる度に心から馬鹿らしいと思いながら呆れていた。
「果物をカットした後、生地を焼いてくれ」
「あぁ、分かった」
と俺は冷蔵庫から果物を取り出し、カットしていくのであった。
店が8時にしまり、そこから家族総出で片付けやらをして夕食を食べて僕は自室で1人ベットに転がっていた。
「僕は何をしてんだ……」
毎日学校に行き、授業を受けて帰って家の片付けのルーティンを繰り返している自身に対して苛立ちを募らせていた。別に家の手伝いが嫌いという訳ではなく、むしろ楽しんでやっている。
だが、クラスの連中が賑やかに話しているのを見ているとたまに羨ましく感じる。
ーーあぁ何故僕はそこにいないんだろうか、と。
「まぁ……この見た目だからか……」
中学生になったあたりから身体が急に成長し始め、今の体格に近くなっていった。その身体の成長と比例するかの様に顔の方もどんどん厳つくなっていき、中学生1年が終わる頃には怖がって誰も近づかなくなっていった。
・見た目のせいで、休日歩けば職質と喧嘩に1回は必ず遭遇する
・学校では問題が起きる度に真っ先に犯人に疑われる
・いくら僕の金髪が地毛だと言っても教師は絶対理解してくれない
「僕も誤解を解く様な事をしてこなかったからだろうけどなぁ……」
最初の頃は誤解を解く様に色々とやっていたのだがとある事件が起きて、馬鹿馬鹿しくなり以降誤解を解く様な事はせず、最小限降りかかる火の粉は払おうとしているだけにとどまっている。
「まぁ……青春なんてもんは、僕には関係無いものだよな……第一時間の無駄だろ」
なんて言う強がりを言ってはみるものも、心は全く晴れるどころかむしろ余計に寂しくなっていくの感じた。
「はぁ……寝よ」
と僕は布団を被って目を閉じた。
次回からヒロインが出てきます。
色々と新境地のところもあると思うのでどうかそこもお付き合いしてくださると嬉しいです。
ではどうぞ!!
「行ってきます」
僕こと八雲流唯は家の玄関を出て、学校に向かって歩き出した。
家から少し遠い高校に通っている高校2年生だ。
ただ少しばかり普通の高校生とは違う。
それは僕が説明するよりも実際に登校風景を見てもらった方が早い。
家から少し歩き、電車に乗り、高校の最寄の駅に着いた。
そしていつも通りに駅から高校までの道を歩き始めたのだが……
「……」
「お、おい!! 道を開けろ!! 喧嘩売られんぞ!!」
と1人が言うと周りの生徒も同じ様に道の端に避けた。
……そうまるで海を真っ二つにしたモーゼの様に僕はただ歩いているだけなのだが僕が来た瞬間に一斉に端に避けていくのである。
その中で1人、とっさの事で身体が動かなかったのか転んでしまった生徒がいた。そして僕の姿を見ると顔を恐怖の色に染めながら
「ヒ、ヒィ!? お、お金をあげるから見逃して!?」
自ら財布から札を何枚か出してきた。
……何度も言うが僕はただ登校しただけである。
そのため僕はその生徒が出してきた札は無視して、生徒の横を通り校門に向かった。
校門に向かう最中でも耳に俺の噂が聞こえてくる。
「なぁ聞いたか? またあいつ不良の集まり潰したそうだぜ? しかも全員病院送りにしてさ」
「聞いた聞いた……確か実家はヤ◯ザなんだろ?」
「違う違う、マ◯ィアらしい……」
「あの歳で若頭だってよ……」
「舎弟が近隣の県にまでいるってさ……」
……おかしい、全部真実が無い。
なんならかすってすら無いのである。
「けっ……またこれかよ……まぁ慣れたが」
僕は誰にも聞こえない程度の大きさの声で吐き捨てる様に呟いた。まぁ彼らがその様な噂をするのは仕方ないと僕自身思う。
だって……
「この見た目だしな……しゃあねぇか」
・金髪にツリ目
・180前半のわりかしガッチリとした体格
という完全にヤンキーを具現化した様な風貌であるからだ。だから僕個人が何もしなくても周りが勝手に噂をしていき、そしてその噂に尾びれ背びれがついていき、更に面白おかしく解釈していった。
高校生活の始まりの頃はいきなりとはいかないとしても少しは環境が変わるかと思い、地元の中学の奴らがいかない少し遠い高校を選んだ。だが……
「中学の僕の噂ってどこまで広まっているんだよ……」
悲しきかな、中学の頃の噂がこの地域にも届いていたのか中学から何も変わらず結局何も変わらず、現在に至る。
「……さっさと帰りてぇ」
なんて思いながら止めていた足を再び動かし始めた。
授業が終わり、僕は高校生がしそうな寄り道は一切せずに真っ直ぐとある家に向かった。
「ただいま」
「あらお帰り〜流唯ちゃん」
家に帰ると準備をしている母さんがいた。
僕の母さんはフランス人であり、僕の金髪も母さんの遺伝であるということを大半の奴らは知らない。
一児の母には見えないとはご近所の話で言われている様に若々しく美人なのである。
……その美貌の遺伝子を僕にもう少し分けて欲しかったと切に現在進行形で願っている僕。
「母さん、高校生になって“ちゃん”付けはやめろ……」
そして高校2年になっても未だに母さんは僕の事を“ちゃん”付けで呼んでくる。いい加減恥ずかしいからやめて欲しいのだが……
「あら……恥ずかしがって〜」
とこの様に面白がっているのか一向に止める気配は無い。
「面倒くせぇな……本当」
「あ、そうそう今手空いているかしら?」
「……手伝いだろ? 分かった、親父の方にいけばいいか?」
「流唯ちゃんが受付に行きたいならママ構わないわよ?」
「冗談はよしてくれ、僕が行ったら店に誰もこねぇだろうが。そんなんわかりきっているだろ」
なんて返事をしながら僕は親父がいる厨房に向かった。
「親父、手伝いにきたぞ」
と僕が準備をした後、厨房に向かうとそこにはいかつい風貌をした男性がオーブンの中にある菓子と睨めっこしていた。
「おぅ、来たか」
このいかつい男性こと僕の親父であり、この菓子店のオーナ兼シェフである。こんな見た目は熊の様な体格で、顔もヤ◯ザの若頭の様だが、菓子のコンクールでは何度も優秀賞を取るぐらい腕が立つ。
「生地を捏ねればいいか? クリーム混ぜるか?」
僕が高校から真っ直ぐ帰ってきているのはこの店を手伝いをしているからである。
……まぁ放課後遊ぶ友達がいないのも理由になるが。
昔からこの様に親父達の手伝いをしているのでクラスで
“見て見て〜〇〇君の為に私クッキー作ってきたの〜。
食べてみて〜”
なんて言っている女子に比べて絶対美味いのが作れると自信がある。クラスでそんな声が聞こえる度に心から馬鹿らしいと思いながら呆れていた。
「果物をカットした後、生地を焼いてくれ」
「あぁ、分かった」
と俺は冷蔵庫から果物を取り出し、カットしていくのであった。
店が8時にしまり、そこから家族総出で片付けやらをして夕食を食べて僕は自室で1人ベットに転がっていた。
「僕は何をしてんだ……」
毎日学校に行き、授業を受けて帰って家の片付けのルーティンを繰り返している自身に対して苛立ちを募らせていた。別に家の手伝いが嫌いという訳ではなく、むしろ楽しんでやっている。
だが、クラスの連中が賑やかに話しているのを見ているとたまに羨ましく感じる。
ーーあぁ何故僕はそこにいないんだろうか、と。
「まぁ……この見た目だからか……」
中学生になったあたりから身体が急に成長し始め、今の体格に近くなっていった。その身体の成長と比例するかの様に顔の方もどんどん厳つくなっていき、中学生1年が終わる頃には怖がって誰も近づかなくなっていった。
・見た目のせいで、休日歩けば職質と喧嘩に1回は必ず遭遇する
・学校では問題が起きる度に真っ先に犯人に疑われる
・いくら僕の金髪が地毛だと言っても教師は絶対理解してくれない
「僕も誤解を解く様な事をしてこなかったからだろうけどなぁ……」
最初の頃は誤解を解く様に色々とやっていたのだがとある事件が起きて、馬鹿馬鹿しくなり以降誤解を解く様な事はせず、最小限降りかかる火の粉は払おうとしているだけにとどまっている。
「まぁ……青春なんてもんは、僕には関係無いものだよな……第一時間の無駄だろ」
なんて言う強がりを言ってはみるものも、心は全く晴れるどころかむしろ余計に寂しくなっていくの感じた。
「はぁ……寝よ」
と僕は布団を被って目を閉じた。
次回からヒロインが出てきます。
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