会社の女

ageha

第2の女 みき。 第2章

しかし、みきの口からは信じられない言葉が

「伊藤さんのミスで、あたし関係ないですし」

「安井さん、同じチームでしょ。
関係ない訳ないでしょ!!」

さすがの温厚な宮本さんも声を大きくしたんです。

が。。。

「あたし、同じチームになりたくて
なった訳じゃないですし。」

部長もこれには何か言うだろうと思っていたのが
甘かった。
また何も言わないのか。。

部長は成績がいい人には甘くひいきしている所があり
平等ではないと文句が出ていたのを
忘れていました。

こんな一大事の時にも
強く言わないのかとがっかりしましたが
それどころではなかったので
探すのに集中する事にしたんです。

「あたし、お客さんに電話入れないといけないんで。」

そう言うとみきは出て行きました。

少し経ってから
「すいません、ちょっと御手洗に行ってきます。」
宮本チームの吉田みさきでした。

まだまだ探しきれてないから
あたしも他の人へ声を掛けに行こうかと思った
その時。

先に声を掛けに行っていた井原ゆりが
慌てて戻ってきました。

「あとから何人か来てくれるみたいです。
いや、今そこで話聞いちゃったんですけど
安井さん、誰かに伊藤さんのミスしたの最悪とかって
言ってますよ!!」

みんなの動きが一瞬止まったのと同時に
宮本さんが慌てて出て行きました。

安井さんを連れて戻ってきた宮本さんが
部長に
「安井さん、○○興業のライバル会社
○○建設に伊藤さんの話してたんです。すいません、
私の教育が出来ていないからです。
申し訳ありません。」

「何だと!!」

それは、最もおそれていた事でした。
会社の不祥事を漏らしてしまうなんて
ありえない事です。

「本社とは内々に事をおさめると言う話を
つけていたのに、ライバル会社へ他言するなんて
どうするつもりだ!!」

「あたしがしたミスではないんですよ。
悪いのは伊藤さんですよね~。
○○建設さんに○○興業さんは
どんな感じなのかって聞かれたんで
特に情報もなかったから
話題に、なるなと思って喋っただけですけどぉ。」

みきは前々から
自分の担当以外の情報を漏らしていたようだ。

そこへ、時間の空いた人達が降りてきた。

広がっているシュレッダーの山と修羅場化した事務所
こんな状況、誰も想像してはいなかったと思う。


後日安井みきは本社へ始末書を提出し
まだ会社に居続けている。
部長が後からフォローしてるのを聞いたと
あたしも人から聞きました。

伊藤さんのシュレッダーした書類は
ごく1部しか見つかりませんでしたが
本社への始末書と厳重注意。

伊藤さんのミスは会社内部で何とかなる
話を外部に漏らした安井さん。
今後もこんな事があっても
フォローしていく部長に

あたしはついて行けるだろうか。。

第3の女 きよみへつづく。


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