追われて留まる幽霊さん

梁ーレイー

12まぁ丁度いいよね

「あー・・そうだ、まだこの先にあるベランダを見てなかったや」
そう言えば今が朝か夜かも知らないや、目が覚めてからどれくらい経ったのやら。
「とりあえずベランダから外を見てみよ」
ベランダへの扉は両開きでガラス製だ。
ガラスの先から見える景色は暗い。
「まぁ、だよね。わんちゃんも吠えてたし。景色は・・・・まぁ、空だけを見たら悪くないね!」
いつの間にか雨もやんでいたらしく、空には沢山の星がある。が、森は人の手が入っていないのもありもの凄く荒れている。
(見方を変えよう。自然が壮大で良いものだと思おう!うん。そうしよう。)
「壮大な自然は良いよね!近くで命を感じられて!生きなきゃって気が湧くよ!」
うん。これでおっけーだよね!とそこまで考えていたら扉が閉まってしまい思いの外大きな音が出てしまった。

「ッ……誰だ!!そこに誰かいるのか!!?」
「!?……(吃驚したー・・こんな所に人?)なーに?あんたこそ誰?こんな森の奥で何してるの?」
意識するとだが疲れているのかここまで息の音が聞き取れる。
「それこそこんな所にいるお前は魔族かなのか?」
「ふっ、質問に質問で返すなんてあんた躾がなってないんだな。人にものを尋ねるときには自分が先に答えるものなんだよ。知らないのかい?」
「……。はぁ、分かった。僕はアースレイル王国に務めていたライネール・ゴースバークだ。近頃この森の魔物達が活発だと報告があったのでこの森を調査しに来た。」
「ふぅん。1人でかい?随分と逞しいことで。」
「んなわけあるか。調査の途中でマウントウルフに出くわしてな……」
「あーあのわんちゃん確かそんな名前だったな!」
「……ゴホッン。取り敢えず、そうだな、そのマウントウルフと遭遇した時に俺らの隊は訓練のためと言われて付いてきたのもあってその中で1番弱くてな…だから……俺らの隊は囮にされたんだ……。マウントウルフの相手は時間が掛かりすぎるからって……」
「……。それは…なんか、ご愁傷さま。て言うかそのお仲間さんはどうしたのさ?」
「だから!!俺らの隊は俺以外まともに闘える奴なんかいなかったんだよ!!察っしろよ!!」
「え??あー・・ごめん」
「はぁー・・で?お前はなんなの?」
「荒い!言葉がなんか荒くなってるよ!!
はぁ…まぁ、良いけど。あんたの質問ってなんだっけ?魔族かどうかだっけ?……人間だよ。」
元ね元。”元”人間です!現在幽霊!!
「??まあ、かなとは思っていたけど」
「で?あんたこれからどうするわけ?そんなわんちゃんの群れとやり合ったんだったらあんただって怪我してるんでしょ?そんな状態でこの森を抜けられる訳?」
「ああ。こんな所に屋敷があるとも知らなかったしな、国も多分知らないだろうから俺は死んだ事になってるだろうし。あんな部隊に戻ってもまた同じ事になるだろうな」
「まぁ、そうだろうね。」
「という訳でだ!落ち着くまでここに居てもいいか?まだ死にたくないしな」
「…………ま、いいよ。丁度暇になりそうだったし。」
「……。そうかそうか!じゃあ…肩貸してくれないか?足を痛めてな。」
「ん。」

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