倉敷さんは神に愛されすぎている。

さかな

最近気づいたこと

まただ。
今俺の目の前で起きていることはとても偶然で片付けられることではなかった。
かといってじゃあそれが故意に引き起こされたのかと問われるとそれも違うような気がする。
高校2年に進学して初めての席替え。
クラス替えがあってから初めてなのもあってクラス全体がどこかそわそわしている。
うちのクラス担任がマジックで「くじびき」と書かれた正方形の箱を持って教室中を練り歩く。
生徒はそれを引くと黒板に書かれた対応表から自分の席を探し出し、そこに移動していく。
このような席を決める方式の利点はその公平性にある。
くじびきにする事で誰の意思も介入することなく席を決めることが可能になるのだ。
そして席が決まっていくと俺はあることに気づく。

「倉敷さんと速水また席となりじゃん」

倉敷さんと速水はそれぞれうちのクラスメイトなのであるが、俺と2人は1年の頃にも同級生であった。
そしておれが2人の席順について何に引っかかっている点は2人が1年の2学期最初の席替えから常に隣の席なことである。
席替えは俺たちが去年属していたクラスにおいては定期テストの後に必ず行われることになっていたので回数にして4回である。
そして今回の席替えで5回目となるのだが、いくらなんでもおかしくないか。
そんなことを考えながらもまあ、そんな偶然もあるかと思う俺もいて、今回は後者が優勢だったようである。
どうでもことに無駄な集中力使っちまった。などと考えながら俺は瞳を閉じて終業のチャイムを待った。

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