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神の玩具となった英雄の末路(仮名)

関 青葉

《非日常的な日常》

時計の音がチクタクと流れる生徒会室
暇なのかそこにいる3人の生徒はそれぞれダラダラと過ごしている
そんな中、赤い髪のガタイのいい机の冷たさを頬で感じている少年がもう1人の少年に話しかける。

「碧〜、何読んでんの?」

赤い髪の少年の質問に少しめんどくさそうに碧は答える

「んー?ラノベ」

「またかよ。お前生徒会長なんだし少しはなぁ…まぁ俺らしかいないからいいけどよ。」

その一言にもう1人の生徒。
黒髪の眼鏡をかけたインテリ感マシマシの少女が便乗する

「そうですよ、来栖会長。
会長は学年トップの実力者、一般生徒の間では"最強の美少女"で通ってるんですから、少しは模範となるべく!」

「俺男だし、つか最強って。
実技テストの点数はいつも最下位だし、ギフトだって目が良いだけだよ
つか今良いところだから邪魔しないでくれる?今敵をぶっ飛ばしたからよっしゃ交尾するぞ!ってとこだからさ」

今はちょうどいいところ
邪魔をされたくない

「どんなラノベだよ。
目が良いってお前のそれは良すぎなんだよ
肉体の動きどころか精神の動きまで見える目なんざ聞いた事ねぇ
それとあの体術だろ。
お前の点数なんざ単純にこの学校の採点基準に合わなかっただけで碧にサシで勝てるやつなんて"アイツ"以外居ないだろ」

"アイツ"と言われた時碧の表情が曇る

「…チッ。
負けねぇーし。この前は引き分けだったけど次戦ったらよゆーで勝利するしッ。」

大抵の事をニコニコしてやり過ごす碧にしては珍しく感情的になる。
無理もない。
実際にアイツと呼ばれる少年と戦った時
初めて敗北したのだから。

「お前をそんな顔にさせるなんて中々だよなぁ
で、次はいつやり合うの?」

「うるせーよ。
読書の邪魔だつってんだろ」

————————————————

「んっ……。」

朝日の光が窓から指す
隣には猫の耳のようなものが生えたしろ髪の少女が無防備に寝ている

「夢か。随分と懐かしいものを…。
……リン、起きろ。朝ごはん作るから手伝って」

まだ眠そうにうとうとしているリンの手を取り1階の洗面所まで歩む

「あぁ、アオイ!おはよう!今日もいい天気だね
昨日の蒸し魚とても美味しかったよ、また気が向いたら料理を振舞ってくれ」

あぁ、と軽い挨拶を交わし洗面所で顔を洗う
この世界に来て既に4日目
1日目と2日目でこの世界の常識の大体は把握出来た。
コットとのコネクションも良好
土台は大体固まってきた
あとはこの世界のことをもっと詳しく知る人物とのコネを。
………マリア・ヴェルフェル。
彼女ならコットの知りえないこの世界の情報を知ってる可能性が高い。
帝国で国を仕切っているのは軍。
その軍の結構な立場にいる彼女であれば国のことはおろか世界の事までわかる可能性がある。
そして彼女の所有する、癒しのギフト。
あれは神から授かったもの。
神々からの贈り物と言っていた。
それならばその神の地位に座する者の存在
色々聞きたいことが多い。
幸運な事に恐らく彼女は僕の料理にご執心
料理をちらつかせお酒を飲ませれば口が軽くなり情報を引き出すことが可能かもしれない
彼女との関係は有効的に有ろう。

「アオイ?」

「!  どうしたの?リン」

「ぼーっとしてたから心配だった。」

考え事にふけっていた碧を心配したリンは少し不安そうな顔をしてこちらの顔を覗き込んでくる。
破壊力は絶大だ。

「なんでもないよ、それより早く朝ごはん作ってコットに美味しいって喜んでもらおう!」

「うん!」

衣食住をくれるコットにリンも感謝しているのだろう、すごく楽しそうだ


3人は朝食を終えた

「アオイ、リンちゃん  少し話があるんだがいいかな?
今後僕達は家族同然の付き合いになる、それで。
僕の妻や娘達も紹介しないとね」

少し考えが及んでいなかった。
コットとは4日しか共に過ごして居ないが家族が居るとは聞いてなかった
少し考えればわかる事だ。
これだけデカい店でありながらコットの住まいのメインはこっちじゃない。
あまりにも生活感が無さすぎていた
初めて会った時はこの街の外だ
恐らく本来の住まいからこちらに通っているのだろう。
理由の検討は何となく分かっている。

「って事は今日はコットの実家?に1度帰るって事?」

「あぁ、この街を出て南に12キロほど先の森でね   いつもは夜には荷馬車でそこへ帰ってるんだ」

森。
村や町ではなく森となるとほぼ確定だろう
まったく…この世界に来てから幸運な事ばかりだ。
夢の亜人…魔法の存在と体験…未知の力…そうして交友関係
順調にこの世界の経験を積んでいる。
"誰かに監視されている"この一点を除けば
この世界に来てから…いやそれより前から見られていた気がする。
僕の記憶はこの世界にくる前の記憶…直前の記憶が抜けている。
もしかしたらもっと抜け落ちている可能性がある。
最後に覚えているのは11月17日…学園から寮に帰る道………だが寮についた記憶はない。
だがこの世界に来た時外の気温はそこそこ暖かかった
季節が違うことから直前所かかなり多くの記憶を失ってる可能性があるが向こうとこっちで季節が同じとは限らない。
とりあえずまだ情報が足りない

「わかった、少ないが荷物をまとめるよ
リン、君もおいで」

上の階に自分の荷物を取りに行く碧を追いかけてリンがトテトテと着いてくる

「外の荷馬車で待ってるよ」

コットは手馴れた手つきで荷物をまとめ始めた


「アオイ……大丈夫かな…私。コットさんの家族に会っても。」

リンは少し怯えていた。
普通の人間であれば亜人を忌み嫌い蔑み
同じ命として扱わない、それは奴隷だったリンにはよく分かっている。

「大丈夫だよリン、コットは君の事を対等に扱ってくれるじゃないか
それに多分家族の方も大丈夫だと思う
仲良くできるよ」

「どうしてそう言えるの?」

「だって」

「アオイー!リンちゃん!そろそろ行くよー!」

外のコットが待ちくたびれたのか大声で呼んでいる

「っと、リン行こ」

リンの手を引き荷物を持った碧は外の荷馬車へと向かう

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