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神の玩具となった英雄の末路(仮名)

関 青葉

《自称美食家シスター・その2》


マリアの前に料理が出される。
それは蒸し料理と言われたがマリアの知るどの蒸し料理にも該当しない
そもそも一般的な蒸し料理などは野菜、特に芋類などの調理方法になる。
それを魚や肉の調理に用いる事があっても焼きに比べれば味が薄いとも言える
この街1番の蒸し魚は塩をふんだんに使用しほかの材料などと掛け合わせて味を出す

しかし、目の前の皿の上には蒸したと思われる魚だけだ。これでは味の薄さを塩だけで補う事になる。
それであれば昨日のお店での料理の方が優勢だと言わざるおえないが…
香りが…違った。
塩とも取れるが、また別の…
なんの香りなのか分からなかった。
食欲をそそる香り。

「アオイ…これは?」

先に口を開いたのはコットだった
コットも気づいたのだろう
自分の知らない…少なくともこの街にはない香り

「まぁいいから食べてみなよ
箸…は、無いからナイフとフォークになるけど」

ハシ…?確か極東の地にナイフやフォークとは別にハシなるものがあるとか。
アオイくんの出身はやはり極東方面…?

「では…」

ナイフを魚に入れた時驚いた
蒸し料理と言っても火を使うわけで若干魚を焼いてしまい、多少かたいのだが…
違った。すんなりのナイフが通る。
次に驚いたのは食感だ。
口の中でほどけるようにすんなりととける。
噛む事が不要だと感じさせる
当然の如く味にも驚かされた。
普段口にする蒸し魚は若干の生臭さを残し薄い塩の味だが、これは…複雑な味だ。
表現をするには私はものを知らなさすぎると痛感させるような…生臭さを一切感じさせない。
塩味もあるが甘味も感じる、その中には確かなうま味すらも。恐らく調理方法だけではなく調味料の方にも謎がある…!
微かなアルコールの香り。
しかしこの味はお酒を使って出来るものではない
気になる…一体どうやって…!

「アオイくん…確かにこれは私の食べた事のある…いやこの街の全ての料理より遥上にあります。
しかし一体どうやってこれを…?」

「ここでは使ってない調味料を使ってるだけだよ、醤油。って聞いた事ある?」

「ショウユ…。確か極東の国にそのような物があったような。しかしアレもここまでのコクは…」

「確かに。うちにもショウユは置いてるが…これは……」

各国の特産品など品揃えならばこの国どころか他国にも負けないレベルの商会の店主であるコットですら驚いているようだ。
やはりこれは…

「方法は企業秘密、少なくともタダじゃ教えない
でもまぁ、この料理はヴェルフェルさんも驚きだろ?顔に出てるよ」

っ!
確かにこの料理なら私の舌どころか世界中の人間が虜になり得る。

「アオイくん。貴方は一体……いえ、詮索はもう止しましょう。
お願いがありますッ!!」

マリアの口調が少し強くなる
それに驚いたのか碧が少し怯んでいる

「今後も。
今後も私に料理を振舞って貰えませんか!
勿論、タダでとは言いません!
それに似合った代金はお支払いしますし言っていただければ材料もご用意させていただきます!」

碧はマリアの尋問(笑)にて「旅をしている」と言っていたのを覚えている
旅をするとなると資金などは必要になった際その都度日雇いの仕事で稼いでいるのだろう。
しかし毎回そう簡単に日雇いが見つかるとは考えにくい
冒険ギルドにて冒険者登録を済ませている可能性もあったが冒険者に頼まれる仕事はそれだけ面倒だということ。
簡単な仕事なんて大した稼ぎにもならず回数を重ねる羽目になる
それならば料理のみである程度…このレベルなら大金になるだろう
悪い話ではない。

「提案は嬉しいんだけど…」

断られる…!?

「待ってください!勿論他に条件がありましたら仰ってください!」

ダメ押しだった

「………。代金は要らない」

「え?」

「料理を振る舞うくらいなら代金は要らないって言ってる、まぁ材料を揃えてくれるのならこっちも作るだけで楽だし
それに、ヴェルフェルさん結構偉い人っぽいしお金の関係よりお友達として付き合ってた方が将来的に…ね?」

素直な理由だ。
包み隠さず「金は要らないから僕を贔屓しろ」っとらいったところか。
しかしこれ程の人材につばを付けておけるのはこちらにも美味しい話だ
だが…個人的にも確かに彼には興味がある
友人として付き合って彼のことをもっとよく知るのもいいかもしれない
あの時感じた不思議な感覚の原因も知りたい…。

「分かりました!…フフ
私、実は友人と呼べる人が余りいなくて…ちょっと嬉しいです…!」

本心からの言葉
何十年も生きてきたが友人と呼べる存在は今までで片手で足りるほどしかいなかった

「よろしくお願いします…!アオイくん!」

「よろしく、ヴェルフe……マリアさん」

…なんだろう。
名前を呼ばれただけのはずなのに…
たったそれだけの事でここまで嬉しいとは…
友達が出来て浮かれているのだろうか…
それか……。
いや、それはまずないだろう。
彼は17歳の少年。
私は見た目は若けれど40を過ぎる
流石に…ね…。

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