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神の玩具となった英雄の末路(仮名)

関 青葉

《こんにちは少年少女達さようなら世界》


この日の為に入念に準備をして来た

「…ハイルベル国のスラムの少年少女達は順調に進んでるな……ん…"あの子"も上手く動いてくれてるねぇ〜」

予定通りに事が進むことが嬉しいのか背中にある黒く大きい翼がパサパサとしている
異形な姿
人間の様な風貌だが背中の翼が人とは違う上位の存在であると認識させる少女

「しっかし…"ルーシー"お前のまいた種達は本当に役に立つのか?
今の所反逆の意思を持った奴はいねぇだろ」

「別に全員手を貸してくれるとは思ってないよ、今後奴らへ憤怒を燃やす可能性のある人間に与えただけだし、3~4人ほど力を貸してくれればそれでいい
それに"ベル"、君は忘れたのかい?
あくまでも彼女たちは駒だ、最後の仕上げは僕らでこなさなきゃならない」

ルーシーの言葉にベルは笑う
全く、焦る彼の気持ちもよく分かる。
僕達は目的を達成する為だけにこれまで生きてきた。
どうしても成功させたい、彼の気持ちはそれでいっぱいなのだろう。

「ふふっ…焦るなよベル?クールに行こうぜ、な?熱くなる気持ちはよぉくわかるぜ。なんせ僕が1番この計画を成功させたいんだ……。」

少しゲスな顔をしていたルーシーは最後の言葉と同時にどこか寂しそうな表情をする。
悲しげに何かを尊むような儚い表情。
だが彼女の瞳の奥には自分の憎しみなど比べ物にならないほどの憎悪が秘められている。
隠そうとしても隠しきれない、一筋の刃が彼女の瞳から漏れ出ている。

———あぁ…またそんな表情をする…。

「…まぁ…そうだな…悪かったよ。
で?結局最後の仕上げは俺らでやるのは分かってるが子供達は役に立つのか?」

「役に立つよ
彼女達は特異点の少年と出会うことにより覚醒する。止まった彼女達の時間は動き出すんだ、それも急激に。奴らに匹敵する力になる。
特異点を呼び込めた時点でこの世界の崩壊は確定してるんだからね」

この世界の崩壊。
俺達が望む世界へ向けた"第2の"要求。

「おっ、スラムの子達に進展があったようだ
へぇ…どうやら魔族の技術を利用した銃を発明してくれたみたい、彼すごいね。
この銃発明だけでも人間の技術は20年は進歩して戦力は今の6倍になる
本当に凄いね……人の子ってのは…。」

彼女の表情はさっきまでの凍てつくような瞳とは違い優しく愛に溢れている。
彼女は…ルーシーは本当に人間の事が好きなんだ

「ルーシー、あんまり贔屓は良くないぞ
魔族だって2年前と比べれば何倍にも強くなってる、まぁ贈り物を授かった子供がほとんどやってるみたいだけどな
獣人族だってあの戦争から復興して元に戻ろうとしてる」

ベルのその言葉にルーシーは小さく微笑む
そこに冷たさはない。
ただただ母の様な暖かく柔らかい表情だ。

「ベル、分かってるよ
この世界は素晴らしい、"上"とは違ってなんでもある。キレイなものから汚いものまで。
僕はそんな世界が大好きだ。
神様だってこの世界を愛したんだぜ?
聖書に書いてある。まったく酷いジョークだ」

酷いジョークと言いながらも相変わらずニコニコとしている。
彼女はあれ以来おかしくなってしまっている。
信頼していたものに裏切られ
信じていたものに見限られ
全ての罪を擦り付けられた

「ルーシー。
今日はもう休め。昨日からずっと様子見てるんだろ?」

「………そうだね。
お言葉に甘えて先に休ませてもらうよ
おやすみ、ベル」

ベルはおやすみと返して自分の部屋へと戻る。
しかしベルは部屋に戻っても眠る気にはなれなかった。彼もまた気になっているのだ。
この物語の進先を。

「特異点……来栖くるす あおい…。
この先どう転ぶかは神すら知りえないだろう。
だがアイツの狙い通りに事が進むように思える
………俺もおかしくなってるのかもな。
なぁ…アスタロト。
お前が今ここにいればこの状況も少しは変わったかもしれないな。」

ないものねだりをする自分に嫌気がさす
あぁ!もう!と頭をくしゃくしゃにしてベルも眠りにつく。

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