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神の玩具となった英雄の末路(仮名)

関 青葉

《こんにちはクソジジイ共》


「遅刻ですよ カレンちゃん」

ちゃん付けで呼ぶな。

「ヴェルフェル神官、会議の場でその様な呼び方はお控えください」

ナイスだクソジジイ

「はぁーい。」

まぁ、いい。

「ですが、マークベス伯爵も遅刻はお控えください  カールお前もだ」

「…バレてましたか。」

ふっと鼻で笑うカレンにショックを受けるカール、それを見て微笑むマリアと不機嫌なジジイ共。
が、今回は珍しく下級貴族も何名か参加している




「さて今回の会議での議題は隣国との小競り合いが最近さらに過激化してきた事ですが…

「そんな事はどうでもいい!!!」

声を上げたのはカーベルト男爵だ。
しかし前に会ったのは2週間前だがその時より明らかに白髪が増え老けているように見える。

「私の…私の息子が…ッ!!!殺されたんだぞ!!!隣国なんかより私の息子だ!!!」

貴族の息子が殺された?誰に?

「どういう事だカーベルト男爵
貴族の子を殺しただと?
何処のどいつだ?分かっているのか?」

少しざわつき始める
当然だ、貴族に手を出すなんて前代未聞だ
そもそもこの帝国で人殺しは重罪、軽くとも終身
最高で死刑。
まぁそもそもその二択しか存在しないが

「私から説明致します」

今回の件マリアもかかわってるのか。

「13:40頃に市街地裏路地にて爆発音を確認。
その後兵士6名と私、マリア・ヴェルフェルが同行し付近の調査し13:46頃に貴族、カーベルト男爵のご子息 マイル・カーベルト氏の遺体の発見
遺体の損傷は激しく右腕の肩近くの二の腕部分が両断、顔面が潰されており辛うじて胴体と頭は繋がってはいましたが、それが顔であると判断するまで数秒が必要なレベルでした
明らかに人間業ではないんですが近くにマイル氏以外の魔力は検知出来ませんでした」

ジジイ共が頭を抱える。

「それで、他に目撃者は?」

「いるにはいるんですが…」

マリアの言葉が詰まる
いるにはいる…事件に関しては何も知らないということか?

「…そのぉ…目撃者は少年でして…言い難いのですが…」

まどろっこしい。

「マリア、その先を早く教えて」

「……少年はマイル氏に市場で肩をぶつけてしまったらしく、それが原因でマイル氏が激情。
追い詰めたマイル氏は少年を魔法で攻撃
13:40に確認された爆発音はその時のものでした
少年はそれで重傷を負い気絶、以降私達が到着時に治療、その後少々尋問し殺害に関与していないと判断し帰しました」

帰した?状況だけ見てしまえばその少年が最も怪しい人物のはずだが
マリアはその手の事は苦手だ。
後で私が行くしかないか…?

「帰した?どういう事ですかなヴェルフェル神官、状況から見てその少年は重要参考人でしょうに、貴方という人は。」

「そんな事はどうでもいい
それで?その後この街から出て行ったものは?」

「はい、不正に退出した存在は見受けられませんでした。」

不正に…ね。

「正式には?」

「…1件だけ。コット商会の荷車が近くの村に商品を売りに検問所を通ってます」

コット商会、この街では1番大きい店だ
黒い噂などもあまり、いや全く聞かない
真っ当な仕事のみでトップに君臨した
検問所を通ったのも恐らく殺しには関係無い

「ならばそのコット商会が黒である可能性が高いじゃないか!!!
何故捕まえない!!」

「お言葉ですがカーベルト男爵、商会が商売のために街を出入りするのは当然でしょそれを黒と決めつけるのは早すぎるでしょう」

「カール、戦う事しか出来ん元平民のお前がこの席に居るだけでもおこがましいと言うのに口を挟むな」

元平民、カールは元々平民の出で類まれなる武の才で伯爵の地位を手にしたが周りからの当たりはこの通りだ。

「私も平民の出だ、それにそもそも犯人が街から出たともわからんだろう」

カレンの一言で全員黙る

「まぁまぁ…カール伯爵の言う通りコット商会さんが黒というのは無いかとお店の評判や実績なども本物です
不審な動きなども確認されていませんのでコット商会さんは白という事でほぼ間違いありません」

マリアの静止に苛立っていた年寄り達も馬鹿らしくなったのか黙る

「マリア、その少年が何処にいるかは分かってるの?」

「えぇ、彼はコット商会に今も居ると思います  聞いた話では店主のコットさんとは縁があるようでお世話になっているようです」

唯一事件後に街の出入りのあったコット商会と少年は繋がりがある…
ふむ…ただの偶然か
しかし下級とは言え、貴族もとい軍人に手を出したという事は我が国を敵に回すと…?
単独犯の可能性は低い…?
魔力反応はマイル・カーベルトのものしか検出できなかった。
つまり殺しの手口は物理的
保護プロテクト系の魔法すら行使せずに魔法使いに挑むのは自殺行為だ
特に彼は爆発系統に特化しか攻撃型の魔法を行使出来る。
肉弾戦になったとしてもそう簡単に負けるか?
不意を突かれた可能性はある
それであっても物理的に殺せる距離までに気づかれないものか?
暗殺者…魔法使いの不意をつけるほどの隠密性を持つとなると彼らだろう
しかし殺しの手口が…
気づかれていないなら心臓をひとつきなり首を掻き切るなどそっちの方が素早く確実だ
なのに顔面が潰されている、身元判明を遅らせるため?いやそれにしては雑すぎる
更には右腕も切り落とされてる
何かしらの見せしめに…しかし事件があったのは裏路地だ、滅多に人は通らないであろう
ならば拷問…?
理解出来ないな…

「話にならん…!!!
私は個人で動かせてもらう!!」

他の爺さん共の静止を聞かずにカーベルト男爵はズカズカと出ていく
扉を強く閉めると爺さんの1人が声を荒らげる

「おい!カーベルト中尉!扉は…ッ!
…まったく…扉は静かに閉めろと…」

「まぁまぁ、彼の息子が殺されたんだ
焦る気持ちもわかるさ、我々は最大限サポートしましょう」

などと口々に爺さん達は話し合い
終わったと思えば足早に部屋から退出した




「しかし、貴族殺しなんて久しぶりじゃないか?少し楽しくなってきたよ」

カールの笑いながらの物言いに多少腹が立ったのかマリアが文句を言う

「カール少佐?それはあまりに不謹慎では?人殺しを楽しく感じるなんて…
カレンちゃんからも言ってあげてよ!
不謹慎だー!って!」

「マリア、私を呼ぶのにちゃんを付けるなといつも言っているだろ
あとカール、机に足を乗せるな行儀が悪い」

へーへー、とカールは足を下ろし
マリアはちゃん付けを否定されるのが不満らしくぴーぴーイチャモンを付けてる
年齢に似つかわしくない態度だ。

「マリア…今年でもう47だろう…
そんな子供のような態度だから他の貴族にも舐められる」

「えっ?!マリアちゃんもう47なの?!」

机から飛び上がる
それ程びっくりしたのだろう

「マジかー。ギフト持ちってのはほんと老けねぇなぁ…カレンもだけどマリアちゃんなんて14歳の時位に目覚めたんだろ?
いやぁ〜若いっていいねぇ〜
あ、47だったか」

またマリアが不機嫌になってる
何故だ?

「…あんまり人の…女の子の年齢を連呼するもんじゃありませんよ???」

…女の子って歳じゃないだろ。

「まっ…まぁ!落ち着いてマリアちゃん!
んでカレンは今回の件どう思う?
魔力検知されたのは死んだマイルだけ、となれば物理だが魔法使いの不意をつくのは難しいが暗殺者の手口にしては殺しが雑だ」

「そうなんだ…しかもこの国では貴族は全員軍人、軍人に手を出すということはこの国を敵に回す事。
まぁ肩ぶつけただけの少年に魔法行使して痛めつけるようなら恨みも沢山買ってる可能性はあるがな」

「あのね…」

バツが悪そうにマリアが話し始める

「実は今回の会議で発表しながったんだけど、検死した際に腕の長さが合わないんだよね。」

「長さが合わない?
それは元々とか、そういう訳じゃなく?」

「うん。
腕の長さが合わないだけじゃなくて断面にも微妙にズレがあるの。
斬ったと言うより1部分を削ったような…そんな感じがして。」

削ったような。
どういう事だ。
断面が合わないだけなら質の悪い剣や錆び付いた剣で斬ったと言えば不満は残るが説明はつく。
だが長さも合わないとなるとやはり削られたと言うのが正しいだろう
しかし魔力はマイルの物しかなかったと言う
マリアの魔力操作や検知に関しては右に出るものはいない…と思う。
だからこそ彼女が間違ってる訳では無いと思う
ますます分からなくなる。

「でもよー。なんでマイルが殺されたんだ?
あいつは俺が担当してた訓練でたまに見かけてたから多少は知ってるけど腕は相当いいぞ
魔法無しでってなると俺でも反撃の隙を与えず殺すのは難しい」

カールが難しいとなると腕はそこそこ経つようだ

「まぁ現状の情報のみで話し合いは無駄だろう。
各自情報収集で進展があれば報告して欲しい
頼めるか?」

勿論だとカールが席を立つ
マリアは少し考えてる
彼女には彼女の考えがあるのだろう
ならば私はそれに従うだけだ。

「…いつまで経っても彼女には頭が上がらないな…」

ボソッと言った私の呟きにカールが少し笑いながら共に会議室を出る


しかし…本当に理解し難い事件だ。

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