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神の玩具となった英雄の末路(仮名)

関 青葉

《こんにちは✕✕✕》


血飛沫が舞う。
鮮血の雨に踊るように宙を舞う―

―腕。

自分の右腕が宙を舞っている事に気づいた青年は発狂し餌を求める小鳥のように腕を見上げる。

自分を腕を拾った時、青年は気づく。
切り口から既にウジが湧いている。
さらに青年は狂気へ落ちていく。
叫び、悶え、苦しむ。

「あぁ…ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!
俺の腕が…俺の腕が……俺の腕が!!!」

碧は立ち上がる。
だがその瞳に光は無い。

「なんなんだお前は!?何なんだ!!」

目が痛てぇ……
肋も折れてて呼吸がしんどい…。
左足が上手く動かない。
あぁ左腕もだ。
背中に熱のせいだろうか水膨れのようなものが出来てる。
痛てぇ…

……痛てぇ…

「何だかんだと聞かれたら答えてあげるが世の情けってかぁ〜??
馬鹿だろテメェ。お前にとっての俺は今お前が見たまんまの俺だ カッコつけてないでさっさと終わらせてよ  わかってるよ少し黙ってろ  」

「ひっ…!」

1人でブツブツと言い出す碧に青年は恐怖し逃げようと体制をとる
だが1歩遅かった。

「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い」

さっきまで発狂していた青年ですら碧の狂気を超えた狂いに恐怖する。
恐ろしい化け物が自分の右腕を吹き飛ばし逃げようとする足を掴み寄ってくるのだ。

「つかあれ?お前右腕もげてんじゃん
どうした?大丈夫か?痛くない?
悪いねー、骨外すだけのつもりだったんだけど力加減間違えちゃったみたい」

笑っている。
さっきまで爆風で負傷していたチビとは思えないほどにその表情はとても楽しそうだ

「つかお前脆すぎ  貴族ってみんな軍人なんでしょ?少しは鍛えてると思ってたけど、その間抜け面通りただの坊ちゃんかよ」

「よくも…よくも!!!お前だけ殺して終わりのつもりだったがお前の周りにいた奴ら全員ぶっ殺してやるッ!!逃げる直前まで隣にいたデブの商人もお前がすれ違った人間も!!お前の家族も!!
隣にいるその薄汚い獣畜s…!!!!」

言い終わる前に頭は砕かれた
青年の顔はぐちゃぐちゃに元の原型が人の顔だったなんて分からないほどに。
青年の身体は前へと倒れ込み、そのまま死亡した

「ごちゃごちゃうるせーよ  黙って死ね。」

「アオイ!大丈夫?酷い怪我してる…。
ごめんね…ごめんね…私のせいでこんな大怪我させて…。」

確かに結構な大怪我だ。
背中にデカいやけど色んな骨も折れて左目も切れてる。
一部瓦礫の弾丸で貫かれて出血してる部分もある
流石にこれは厳しいな…。

「気にしなくていいよリン  これは僕の意思で君を助けて僕が不甲斐ないから負傷しただけだ   だから、気にしなくていい
ってかめっちゃ耳ふわふわじゃん   え?!やば!!」

優しい表情に安心したのかへたり込むリン
耳を念入りに触られているのがこしょぐったいのか少し顔を赤らめている
涙目と合わさりその破壊力は圧倒的だ。

「(だけど…ほんと不味い状況だな。
速くここから逃げるべきなんだけど身体が思うように動かない。
さっきは"アイツ"に助けてもらえたからよかったけど…でもどうしようかなぁ〜…
あ〜もっと不味い状況だぁ…
この耳想像してた以上にやばいわぁ…)」

碧の思考は九分九厘ケモ耳に乗っ取られていた。

「!!アオイ…!足音。鎧の音もする。
多分軍人…この状況見られるとかなりまずいよ
はやく逃げなきゃ!」

リンは少し遠くからの足音に気づいた
恐らく力は人間レベルと言われているメスの獣人も聴力などは圧倒的に人間より優っているのだろう。
実際に碧にはまだ足音なんて聞こえていなかった

「あぁ…そうだね。
でも僕身体動かないからさリンが先にコットの所に行って、僕は適当にこの辺に隠れるからさ」

「でも…」

「でもじゃない、行きなさい
これはご主人からの命令です」

リンは泣きそうな顔を見せるが直ぐにコットの店の方角へ走った。
碧も直ぐに近くの物陰に隠れる…
とは行かなかった。
元々動くつもりすらなかった様だ。



「おいお前!大丈夫か!」

軍服の髭を生やしたおっさんに声をかけられた。
もう着いたのか?
いや、多分一瞬だけ気を失っていたのだろう。

「……大丈夫に見えます…?」

「まぁ、見えないな。
が、その背中の火傷やダメージを見た所、ここで死亡している、サマージ少佐との交戦でおったものだろう?君は彼に追われるだけの事をしたわけだ   話してくれるか?」

あいつサマージって言ったのか。
しかし、馬鹿正直に答えるわけにはいかないな
このおっさんも軍人。
さっきのサマージより圧倒的に格上。
このダメージじゃ無理だな。

「……すみません。
よく分かってないんです。
多分、サマージ様とすれ違った際に肩がぶつかってしまったのですが。
流石にそれでここまでするとは…」

「ふむ。まぁ彼は元々キレやすいタイプだったからね。
それで?私が聞きたいのはその先だ」

……。
…。

「爆発の後気を失ったのかその先はわかりません。起きたらあなた方がここにいて…」

「そうか。災難だったな
犯人を見ていないのは残念だが、まぁいい
協力感謝する!おい!神官様を呼んできてくれ」

神官…?
聖職者…プリースト?
回復魔法もちゃんとあるっぽいな。

少し経つと修道服のようなものを纏った少女が目の前にやってくる。
とても綺麗な少女だ
ブロンドの髪に白い肌
胸は多少小さめではあるが体の細いラインは保護欲を掻き立てる。
目が合った。―その瞬間。

"コイツは危険だ。"

碧の本能が全力で少女を否定する。
だが、少女は危険以上に恐怖を抱いた。

「神官様?」

軍人の一言に二人とも我に返る

「あっ、いえ、なんでもないです!
あなたの負傷は私が治しますね」

それと同時に碧に手を向け
詠唱を始める。

この世界の魔法はどうやら詠唱を必要とする様だ
ありがちな物だと異世界転移物の主人公は無詠唱が一般的。
少し心を踊らせる碧だった。

「―"完全回復フルヒール"」

身体が熱い。
だが心地の良い熱さだ。

徐々に碧の火傷や左目の負傷は治る
さっきまでの傷は嘘だったかのように完全な状態まで回復する。

「すげぇ…回復魔法ってここまで綺麗に治るもんなんですか?」

「いや、普通はあんなでかい火傷は後が残ったりするよ
でもこの神官様はギフト持ちだからね
圧倒的な能力さ」

ギフト…?

「ギフトって?」

「なんだお前、ギフトも知らんのか
人類に8人しか存在しないと言われてる
神からの恩恵を授かった人達の1人が彼女、神官様さ」

ギフト…神からの恩恵…。
しかし異質な存在が8人…か。

「ねぇ貴方」

神官から声をかけらる

「この後時間があるなら少し付き合って欲しいのだけど、…いいかしら?」

デートのお誘いか?
いや…さっきの危険信号。
それに近いものを彼女も受け取ってる可能性が高い。
となると、どういう存在なのか探るべきだろう。
本人からのお誘いとなれば簡単に近づける
チャンスだ。

「僕でよろしければお供しますよ」

さて…気合い入れとかないとな。

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