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神の玩具となった英雄の末路(仮名)

関 青葉

《こんにちはとても憂鬱な日々》


「憂鬱だわ…」

彼女のため息混じりのその言葉に周りの使用人達はクスクスと笑う

「憂鬱でも出席してくださいよ?
マークベス伯爵」

あぁ…この男は…。
また嫌味のようにそう呼ぶ。

「っさいわねぇ…分かってるわよ!分かってますとも!軍事会議への出席は半強制的、病欠やあまりにも遠い地で時期までの帰還が不可の場合しか許されてないって…でもぉ…」

「そうですねぇ〜。伯爵は許可が出ない限りこの地を離れる事は出来ませんし、唯一の頼みである病気も…何とかは風邪ひきませんしねぇ〜」

こいつ今遠回しに馬鹿って言った。
いや遠回し所か思いっきり馬鹿にした。
不敬罪で速攻ぶち込んでやりたい…。

「あんた使用人なんだし主への無礼とか気にした方がいいわよ…」

「気をつけまーす」

男はニコニコと笑っている。
まっっっっったく気にしてない。
やっぱり私って威厳ないのかしら…?!
女だからって舐められてる?!?!

「でも…ガイク戦の英雄様が軍事会議ほったらかしてこんな風にダラダラしてる訳にも行きませんからね」

「…わかってるわよ。」

ガイク戦-害獣駆除戦争が終わってから既に13年の月日が経っている。
私はギフトを宿してから歳を取らず身体は17の時から全く変わっていない。
精神構造は、と言うと  そこも大して変わっていない。
獣人への憎しみは消えていない。
でも昔ほど燃えてもいない。
分かってるんだ、あの山賊紛いの獣人達と今奴隷として扱われてる獣人達は違うと。
彼らから見れば今の私達こそあの時の山賊なのだと。

「マークベス様、カール伯爵が面会に来ています」

「カールか…。わかった。
客室に通して私も直ぐに向かう。
ハイブあとの書類よろしく  どうせ目を通す価値もないくだらない物ばかりだから」

ハイブは人の感情を読み取るのが苦手な私が分かるくらい嫌な顔をしている。
いや…彼も彼なりに私を思ってくれてる。
私が感情を読み取るのが下手くそな事も。
そのことも踏まえてわかりやすくしてくれているのだろう…
ムカつくから後でぶん殴ろう。



「カール、待たせたな」

「おう、カレン相変わらずお前は変わんねぇなぁ!」

カール-カール・ウィルソン伯爵
13年前のガイク戦で共に戦った戦友だ。
普段おちゃらけた性格だが剣の腕は一流。
魔法は少し苦手のようだがそれでも一流の魔法使いにも引けを取らない。

「君も相変わらずの様だ   いや、少し太ったか?」

「っせ。それより頼まれてた資料持ってきたぜ  ここ2年の貴族達の動きをまとめた資料だ
うちの従者の監視網を抜けるのは中々至難の業だしな  ほとんどの情報は抜き取れてると思うぞ」

「流石だな。助かる」

あぁ、これはすごい。
普段魔法とは破壊や再生などに用いられる際は隠蔽の必要はないが調理のための火を起こす、などの微細な魔力しか消費しない魔法は感知が難しい。
索敵系統の魔法は破壊や再生と同じレベルの魔力を消費するがそれでは相手に感知されるためかなり濃度を下げる。
ただ濃度を下げれば当然威力も下がる。
索敵系統で言えば感知範囲や音に影響が出る。
それでも気づかれずこれだけの情報。
余程の魔力コントロール能力がなければ不可能な業だ。
私も以前感知魔法を試したが魔力の量が多すぎる為か失敗した。

「しっかし、そんな事調べてどうすんだ?
貴族達の弱み握って譲るのか?」

「富には興味ないよ、私が目指しているのは人類平和  でも人類共通の敵だった獣人国が滅んだ以上  次の標的は魔物か人間か、絶対数が判明していない以上警戒すべきは魔物だが、わかりきってる人間は早めに消すのも手だろう   次の戦争は恐らく人間対人間になる。それなら今のうちにその準備をしておく事に越したことはない」

カールは少し悩んでいるようだ。
確かに人間との戦争が起きる確証はない。
だが同時に起きない確証もない。
それが分からないカールではない。

「ふむ…まぁ人類の平和を望むのであれば1番は他国との対話だけど、その辺はどうなんだ?」

「独自のコネクションである程度交流のある国はある、実際そこから輸出入をしたり貿易も行っているからな」

「ほほう。それなら戦争は起きないんじゃないか?」

まぁそうなるだろう。
その国とは。

「別の国はまた別だよ  こちらは2ヵ国と同盟を結んでいる。だが他の国から見れば何かしらの準備をするために国を取り込んでいるのは目に見えて明らかだ   怖いだろうな獣人の国を落とした帝国が力をさらに付けてるんだ、しかもこの国にはギフト持ちが4人、全体の半分もいるんだよ  あちらさんは魔族よりもこちらが恐ろしいだろうよ」

同盟を結べた2ヵ国とは上手くやれてる自信がある。対等な関係で結んだつもりだ。
それに関しては問題は無いだろう。
ただ問題なのは一気に力が強まりすぎた為、現状で他の国に声をかけてもどれも対等とは言えない。
潤い過ぎたのだ。

「ギフト持ち……たった1人のギフト持ちが戦場に立つだけで戦況があっさり覆る力を持つ超人。しっかし。確かにこの国には多すぎだな。ギフト持ちが。」

「そうね…それも特別強力なのが揃っちゃってる。いっそ周辺国から同盟ではなく取り込めればいいんだけど。
そうすると内乱が起こる可能性だってある。」

「まぁこんな事。
俺らだけで決めて言い訳ないからなぁ…。
な、"白の戦乙女ヴァルキリー"様」

白の戦乙女ヴァルキリー
劣勢だった帝国軍に産まれたもっとも新しいギフト持ち。
その純白の鎧と翼はまるで天使のようだと言われ付けられた名。

「その呼び方はあんまり好きじゃない。
まぁ私達だけでは決めれないのはわかりきってる。だから今日の軍事会議で話会うさ。
今回も荒れるな…。」

「火種持ち込んでるのは毎回お前だけどな。
まぁそれはいい、しかし平和ボケした爺さん達はどう転ぶかねぇ…。恐らくこっちを支持してくれる奴は少ないと思うが」

「チッ…まぁいい、老害共が今まで役に立った事なんてあったかしら?
役に立たない歳だけが取り柄の老害は不要だ。
出来れば会議への参加すら許可したくないくらいだ。」

「ならそうすればいいだろ?元帥様」

また人の事を小馬鹿にするような呼び方をする。

「それが出来ればとっくにしている。
カール、お前だってわかってるだろ?
そんなに私を馬鹿にしたいのか?」

カールは少し申し訳なさそうに肩を竦めて笑う。

「女王様は何を考えてるのかねぇ…」

女王…正しくは"白帝クィーン"と呼ばれるギフト持ちだ。
軍が仕切っていると思われている帝国もあくまで帝の元で仕切られている。
我ら軍人は帝の目であり腕であり脚である。
結局1番上に立つのは軍人ではなく王。
だが彼女の指揮能力はかなり高い。
劣勢だった戦争を何度も勝利へと導いている。
しかし私の"白の戦乙女ヴァルキリー"と違いギフト持ちであることは知られていても能力の詳細までは知られていない。

「わからない…でも彼女の指揮が間違えたことはない。
ただ、無能な老害共をいつまでも置いている意味なんて…」

彼女の考えは分からない。
戦術的利点や提案の合理性は理解出来る。
ただし、彼女の…彼女と言う人間の考えは理解できない。

「っと!もうこんな時間だ!カレンそろそろ向かわないと遅刻する!」

………。
!!!

「うそ?!また遅刻して老害共の小言をグチグチと聞き続けるのはゴメンよ!
急ぐわよカール!」

「俺もゴメンだね!」

2人は急ぎ会議が行われる軍事本部へ向かうべく屋敷を出てカールが乗ってきた馬車へと足を運ぶ。

「(カールが持ってきた情報の中にいくつか気になる点があった。
村で獣人共の暴動があった日と同じ日に"アイツ"は同じ村に暴動のある数時間前に出向いていた。別の暴動でも…。
黒の可能性が非常に高い。
だがどうやって証拠を見つけ出す…?
……今考えても仕方ない。

…とりあえず…間に合ってくれ…マジで。)」


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コメント

  • 如月 薊

    カールカールなんて名前あんのか…

    これは面白い(*☻-☻*)

    これからもお互い頑張りましょう!

    あともし宜しければ僕の作品もよろしくお願いします!

    1
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