夕陽のロマンス~オフィスラブ~

雪華月ふわり

トキメキ?!への道~涼宮side~

何処からともなく新緑の濃い薫りがふわっと現れ消えていった。特に時間が差し迫っている訳では無いので、季節の移ろいを実感しつつのんびりと目的地へと向かう。
(夏服にしたのは正解だったな)考えながらスッキリしたブルーのノースリーブとショルダーバッグの位置を調整した。
歩く度、ふわふわとスカートが揺れ、控えめなシルバーの刺繍が陽に当たり明度を変える。
特に緊張している訳では無いが、自社きっての営業部のエースと取材を任されているということもあり若干恐縮する。
そう言えば誰かと二人で出かけることなど最近していなかったことに気づく。
大学時代の友人らと時間を過ごすこともあるが、それぞれの都合があり、学生時代のようにはいかない。
中には結婚した人もおり、ますます疎遠になるだろうと考えると寂しさよりは虚無感の方が強く存在した。
今の生活に特別不満があるわけではない。むしろ好きなことを出来る環境はありがたい。
人気のファッション雑誌では男性受けメイクだの、モテ仕草だのがひっきりなしに取り上げられる。
照れた表情や思わせ振りな仕草が男心をくすぐるらしい。
きらきらした女の子たちは憧れの彼の気を引くためのテクニックや、着飾ることに夢中なのだろう。
ぐるぐると考えていると家族連れやカップルで賑わっている主要駅に着いた。

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