EX冒険者の成長記

光井ヒロト

勝利




 コンコン

 今回は前と違い、穏やかなノックだった。

「失礼します」

 国王はその声でレイと分かった。レイが中に入ると

「やはり、レイだったか。それで、首尾は?」

「もちろん勝ちましたよ!殲滅です。あとは騎士団に任せてきました」

「そうか!よかった…では、勝利宣言をだそう!」

「宰相さんを呼んできますね」

 そうして、国王の部屋にレイと国王と宰相そして外交を務めるワンス公爵が集まった。

「それでは、帝国について話しましょうか。まず領地なんだがどすればいいでしょう?」

「今回の功績が大きいレイ君に渡したらどうですか?」

「いやいや!僕はもう領地持ってますから」

「そうじゃな。さすがに2つは厳しいじゃろ」

「では、どうしますか?」

「「「んーーーー」」」

 全員が悩んでいるときに、臣下が入ってきた。

「陛下、お客様がお見えです。通してよりしいですか?」

「あぁ…」

 コンコン

「失礼します」

「あぁ…」

 入ってきたのは、まだ10歳に満たない子どもだった。

「初めまして、私はネル・ザン・バンクと申します」

「あぁ…って、はぁぁ?なんでこんな所に帝国の皇女が?」

「それは私に聞かれても…」

「今日、私が参ったのは、我が国についてでございます。我が国バンク帝国は先の戦いで敗れました。ですが、この戦いには、反対する者が多く、その者は我が父、ネルサンが弾圧、押し切って挑み大敗しました。それで…都合のいいことは分かっているとですが…その…ご慈悲をいただけないかと!」

 4人は顔を見合わせた。そして

「レイがやったのだ、レイが決めると良い」

「分かりました…許すにしても、どうすればいいか…」

「そ、そこで我が国バンクは新しくファイル王国として新しく建国し、何卒ご助力を頂けませんか?!」

「レイ…」

国王がそう言って頷いた。

「分かりました。僕は認めていいと思います」

「そうか…では、ソルト領は直管地にする。そして、我が国はファイル王国を認め、レイを監視人として置く。これで決まりじゃ。それで良いな?」

「ありがとうございます!」

帝国の皇女…に代わり王国の王女が涙を流していた。それにレイは、優しく撫でてあげた。

「よく頑張ったね」

「ありがとう…ございます…」

「レイ、王国を頼んだぞ。正しく導いてやれ」

「は!承りました」

 レイは次の日からネルに「お兄ちゃん」と呼ばれ、怖い顔をしたシリアに迫られていた。

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コメント

  • ノベルバユーザー352227

    めっちゃおもしろいっす
    頑張ってください!

    4
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