悪役令嬢はモブキャラになりたい

水音

プロローグ

高校1年生の夏休み。とくに用事もなく、親もいないため昼ご飯を買いに、コンビニへ行くことにした。

『あっつ〜。』

玄関のドアをあけるといっきに暑さを浴びた。

今は8月でもうすぐお盆休みにはいる頃だ。

ここら辺は田舎でも都会でもない。いわゆる田園都市なのだが、最近はコンビニがやけに多くなってきている。

私の家の近くにもほぼ同じ距離で行けるコンビニが2件ある。

私はコンビニに特別こだわりがないので正直、どっちに行っても変わらない。

だけど、今日はなるべく行く道中、日陰の多い方に行くことにした。


日陰も日向も暑さはほとんど変わらないと思うけど、でもやっぱり、日陰の方がいいと思う。

それに、直射日光は女子にはきついんですよ。






コンビニに入ると涼しい空気に歓迎された。



毎回、外から店にはいるとき

『あ〜天国〜。』

と言ってしまう。

逆に、店から外に出るとき、

『なんて地獄なんだ。』

と、ため息とセットで言ってしまう。







適当にカップラーメンのシーフード味をとって炭酸飲料をレジに持っていこうとしたが、レジ付近の棚にあるお菓子に目を取られてそれも一緒に会計した。



最近のコンビニはイートインスペースがあるところがあってこの付近のコンビニはだいたいある。


もちろん、ここにも。


イートインスペースで食べていこうかと思ったけど、やっぱり、家で食べることにした。



会計を済ませて外へ出た。


そしてお決まりの

『なんて地獄なんだ。』

をため息とセットで言って、家に帰ろうとした。






けど、黒ずくめの男?がこちらへ向かってくるのがわかった。










黒は熱を吸収してしまうのに夏に全身黒という人はなかなかいないから、すごく怪しく思った。



いや、冬でも充分怪しい。




顔が見えないように帽子とマスクをしているから。








『な、なに……。』





無言で、向かってくる男。


恐怖でいつの間にか私は動けなくなっていた。





逃げなきゃ。逃げなきゃ。




必死でそう思っているのに体が動かない。







悲鳴をあげたいけど声も出ない。









お店の人にきずいて欲しい。

誰か助けて欲しい。

どうしよう。


男が迫ってきたと思ったらなにか体が……




『え………。』




自分のお腹を見ると包丁が体に刺さっていた。




だんだんと自分の服が、赤く染まっていく。




い………




痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。








男が包丁から手を離して走っていくのが見えた。







視界が霞む。








いつの間にか空を見ていた。










倒れたときの痛みなんてお腹の方が痛くて感じられなかった。









「きゃああああああああぁぁ!」





女の人の叫び声が聞こえた。










助けて。。。












けどきっと助からないと思った。










意識がもうろうとする。










(ああ、私死ぬのか……。)












お母さん、ごめん。
お父さん、ごめん。


結局、なにもしてあげられなかった。




美香ごめん。

この前誘ってくれたのに…。










いまさら後悔する。












人は死ぬ時になって後悔するんだ。













来世はちゃんと生きたいな……













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