絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0268★幻獣【カーバンクル】の雛の名前はリンクという名らしい



 『こめんなさぁい お腹が空いてて………』

 と、シュンしてうな垂れる【カーバンクル】の雛の姿に、今の自分に聞こえた言葉が、鳥籠の中の雛だと認識する。
 そして、とても簡単に意思疎通できたコトにちょっと小首を傾げた神護は聞いてみる。

 「そっか腹減っていたんだな、お前は半寝ぼけだったしな
  ところで、今のは念話で良いのかな?
  こうして喋っている言葉は、お前に通じているか?」

 神護の言葉に、白夜はびっくりする。

 そんな内容記載されてなかったんですけど………
 幻獣【カーバンクル】と意思疎通ってできるんだ

 てっきり 魔術で隷属させて 使役する対象だとばかり思った
 というか 過去の書物には そういう記述しかなかった

 白夜は、目の前で自分の【守護者】である神護と、もともと幻獣と言われていて、稀少な【カーバンクル】の雛とのやり取りを黙って注視していた。

 『はい ちゃんと理解できてまぁすぅ ますたー
  わたし りんく 卵の時に母が名付けてくれました

  棲家を襲撃されて 母は私を置いて逃げました
  巣には 卵だった私だけが 取り残されました』

 「そっか、それは寂しかったな、リンク
  今日から、俺達は家族だ

  つーことで紹介するな、こいつが息子の白夜
  飛翔族の子だ

  そして、コイツがリオウだ
  ヒュリオンの子供だ」

 神護の紹介に、白夜はびっくりした表情で神護に聞く。

 「父上 お尋ねしても良いですか? もしかしてですが………
  この【カーバンクル】の雛と話しているのでしょうか?」

 白夜の言葉に、神護は自分とりんくの会話が、一方的に自分だけが話している的な状態だったコトに気付き、ちょっと頭を掻く。

 「ああ、悪かったな、リンクは念話で話しかけて来たんでな
  普通に喋る言葉を理解しているかも確認したくて………」

 というところに、リンクが割り込む。

 『ますたー りんくと話すには 血の媒体が必要なんです
  その 白夜さん? と話すには ちょと血が欲しいです
  血をもらえれば 《仮契約》の状態になって話せます』

 言われた内容に、神護はなる程としいう表情になる。
 ようするに、偶然にも空腹で半寝ぼけ状態のリンクが、鼻先に出された李紅りくを食べて、間違って指先を齧ったコトで鮮血が口に入り、意思疎通が出来る様になったコトを知る。

 「そっか理解わかった、リンクありがとう
  白夜、ちょっとリンクに齧られろ、したら会話できるぞ
  どうやら、血液で《仮契約》が出来て話せるようになるらしい」

 神護の言葉に、白夜は好奇心が抑えられず、いそいそとリンクの前に指先を持って行く。
 リンクは、白夜の指先をソッと掴んで、薬指を選んで、カプッと齧る。
 一瞬、ちょっと痛みが走ったが、白夜の予想に反して、それ以上の痛みは無かった。
 そして、リンクは直ぐに白夜の指を離した。

 『はじめまして 白夜さん 【カーバンクル】のりんくです
  お話しするのに 指を齧らせてもらって すみません
  まだ 卵から孵ってそんなに経ってないので………』

 と言ったところで、リンクの小さなお腹がきゅるきゅると鳴る。
 李紅りくという果実を食べたコトで、胃や腸が動いたらしい。
 流石に、小さくても自我がしっかりしているリンクは、恥ずかしそうにする。

 「リンク 父上が リンクの為に虹色オオトカゲの肉と果物を
  たっぷり用意してくれたから お腹がいっぱいになるまで食べなよ
  まずは ちゃんと食べてから 後でゆっくり話そうね」

 白夜の言葉に、ずっと寂しいと思っていたリンクは、鳥籠の中から神護と白夜を見上げる。
 ちなみに、リオウは血による《仮契約》が無くても、意思疎通はできるようだった。
 が、そのリオウは既に夢の中だった。

 『うん すっごく りんく お腹すいたぁ~………』






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