絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0258★リーダー馬はは特別扱いで………



 嬉しそうに頷く白夜の頭を優しく撫で、神護はブラッシングまで終わっている馬に、自分自身も軽くブラッシングを掛けてやる。

 白夜に全頭のブラッシングは絶対に無理だから、信頼してもらえるように
 リーダー馬だけは、特別扱い2人からのブラッシングってことで…………
 それぞれの馬車のリーダー馬だけやってもらうかな?

 神護は、御者台に上がり、出入り口の棚から馬用の粗布を全頭(6頭引きなので6枚+予備12枚)分を引っ張り出して、御者台に置く。
 そして、その中の1枚を手に取り、手入れが完全に済んだ1頭(1台目のリーダー馬)の背中に乗せて、頭からお尻まで、すっぽりと全身を覆ってやる。

 既に荒かった息は落ち着き、通常の呼吸にほぼなりつつある。
 神護は慌てて、周囲に緩い《結界》を張る。

 が、不自然なコトはしたくないので、というか不自然をすると、かならず何処かに歪みがでるので、夜風を遮るだけの《結界》にとどめた。
 それでも、幾ら汗を温風で乾かして、ブラッシングしたとはいえ、足を止めただけに、体温はゆっくりとだが落ちていく。

 神護は、せっかく手入れしたリーダー馬の身体が冷たい夜風に成り出したので、冷えないようにと厚手の専用布のを被せて整える。 
 そして、神護は鼻面を撫でてやりながら言う。

 「ゴメンなぁ~……腹空いてるだろうけど、全員のお手入れが終わって
  身体に布を被せたら、ご飯だから少しまっててくれな」

 神護の言葉に、手入れをされて鼻面を撫でられたリーダー馬は、愛らしくヒンヒンと鳴いて答える。
 と、同時に、被せた粗布から垂れた紐がプラプラしていることに気付き、神護は苦笑いする。

 あっと、馬に被せる粗布には、馬専用だけあって
 粗布が落ちないように、紐が付いていたのか
 とりあえず、縛っておくか………

 神護は、被せた粗布が落ちてしまわないように、要所要所にある紐を手早く結んでいく。
 厚地の粗布には、馬の頭部を被うフードも付いていたので被せてみたが、エサがまだったことを思い出して、フードを外して、その首筋を撫でてやる。

 「ちょっと待っててくれな、他のやつらもブラッシングしないとな」

 そう言う神護の隣りで、白夜は小首を傾げながら言う。

 「フードは、餌を食べ終わったら被せればイイですよね」

 確認するように聞く白夜に、神護は軽く頷く。

 「ああ、それがイイだろう」

 2人の会話を聞いていた1台目のリーダー馬は、ルンルンと軽い足取りで、いそいそと自分の身体と馬車と繋ぐ枷を外し、他の馬達の枷も外しに行く。
 そんな馬達に、神護が笑って言う。

 「よしよし、直ぐにお前達も軽く拭って、ブラッシングしてやるな
  つーことで、白夜」

 「はい 父上 なんですか?」

 「お前は2台目のリーダー馬の手入れを頼むな
  その間に、1台目の残り5頭の手入れを俺がやっておくから………

  せめて、リーダー馬だけでも特別扱い2人からのブラッシングしてやらねぇーとな」

 「はい そうですね 父上」

 神護からの言葉に、嬉しそうに応えながら、白夜は2台目のリーダー馬へと向かう。
 勿論、リオウは白夜の後に付いて行く。
 リオウは、自分が神護の代わりに白夜の護衛しているつもりなのだ。

 その1人と1頭の後姿を見送り、神護はいそいそと他の馬の枷を外して自分の側に来て、顔を摺り寄せる1台目のリーダー馬の首筋を撫でてから、おとなしく並んで待つ馬達の世話を開始する。

 《清浄》と《微風》で既に乾いている馬体を、たったと軽くタオルもどきで拭い、ガシガシとブラッシングしてやる。
 それが気持ちイイと、神護にブラッシングされた馬は、尻尾をユラユラと揺らしていた。









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