絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0255★そろそろと馬車を停めて、野営の準備を………


 その視界には、太陽がもう直ぐ砂漠の稜線へと沈み始めるソレが映る。
 そして、砂漠の熱風がなりを潜め、ひんやりとした夜風を運んで、馬車の中へと流れ込む。

 「ああ、思ったよりもだいぶ太陽が沈み始めているな
  砂漠を渡る風も、乾いた熱風から
  ひんやりとした夜風になってきているようだしな

  馬達も、あれからずぅ~っと走らせてきたからなぁ
  だいぶ疲れてきているだろうし

  よし、今日は、この辺で野営するか?
  大きな路側帯を見つけたら、そこで野営かな」

 神護のセリフに、白夜も窓から外の様子を観察する。

 ああ本当に 太陽が沈みかけている 確かに風もひんやりしてきている
 どうりでお腹が空くわけだ………

 「そうですね 父上 太陽が完全に沈む前に 馬の手入れを済ませて
  今日は 暖かい夕食をゆっくりと食べましょう

  父上が上手に交渉したから あの旅商人は色々と入れたようですし
  くすくす………どんな香辛料があるのかなぁ~………」

 ちょっとだけおとなびた口調に変化した白夜に、神護は双眸を細めい微笑いながら、頷く。

 「そうだな………それじゃ~…この辺で、馬の脚を止めてくるかな?

  アデルから買う前も、馬達は移動の為に砂漠ン中の街道を
  馬車を引いて走っていたんだろうし

  街道じゃない、サバンナ混じりの礫砂漠れきさばくン中を走って来たし
  俺が買った後も、途中で、少し休憩させたけど
  結構な距離を走ったと思うしな

  あん時は、風糖ふうとうを食べさせて、水を飲ませただけだったからなぁ
  汗で濡れた身体を、きちんと布で拭いて…は、頭数的に無理だからな
  また、魔法で温風で乾かすかな?
 
  とにかく、馬達の脚を止めたらたったと身繕いしてやんねぇーとな
  汗冷えして体調を崩しちまったら元も子もねぇー………

  それこそ、馬達を買った意味が無くなっちまうからな
  流石に、馬の治療の知識なんて持ってねぇーしな

  自分達用の治癒の呪文を応用したからって
  うまくできるかどうか分からないし………

  そんじゃ…太陽が完全に沈んじまうと、気温がガタッと下がるから
  その前に大きな路側帯を見付けて、馬達の脚を止めよう

  そしたら、さっさと馬のから身体の手入れして…
  俺達の夕食の準備もしないとな

  それと同時に……野営の準備もしねぇーとなんねぇーな
  でも、今回は、野営の準備にそう手間はかからないから助かるぜ

  なんと言ったって、あの恐竜並みの巨大な虹色オオトカゲを
  獲ったお陰で良い馬と馬車を手に入れたからなぁ………

  あぁ…白夜はどうする? お前も俺と一緒に御者台から外に出るか?
  それとも、野営の準備が終わるまで車の中で待っているか?

  自分で、調子がイマイチだと思うならおとなしく、ここで待っていろ
  変化したばかりで、身体がつらいだろうからな

  大丈夫だって思うんなら、外の空気を吸うのもイイだろう
  どうする? 白夜」

 神護に、どうする?と問われた白夜は、いそいそとベットの上に放り出されていた肩布を手に取る。
 ようするに、神護と一緒に、自分も御者台の出入り口から外に出たいという意思表示を示したのだ。
 その様子に、クスッと笑って、神護は白夜の手から肩布を取り上げる。

 「そっか………んじゃ…今、着けてやるな」

 そう言って、神護は器用に、綺麗なドレープを入れながら、白夜の成長した翼を隠すように、肩布をに巻き付ける。








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