絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0256★いざという時の為に、きっちりと革クツは履きましょう


 「ほら、これでイイだろう
  あとは………ちょっと暑苦しいし、重いかもしれねぇーけど
  俺のマントも被っておけ

  流石に、身体と一緒に翼もかなり成長したからな
  肩布だけで、翼を隠しきるには、流石にもう無理だ

  後で、アデルが入れてくれた荷物の中をあさってみるかな
  くすくす………今の白夜に似合いそうなモノを探そうな

  一応、馬車の中に入って来るまで、人影も馬車の影も見てねぇーけど
  何処に人目があるか判らねぇーからなぁ………

  さもしい奴等はどこにでもいるし………あのネズミの獣人達なんて
  何時、どこから湧くかわからないからなぁ………いやマジでさ

  白夜の卵を手にして、卵から孵るまでも、孵ってからも……
  何度も、亜人種に襲われたことを考えるとなぁ…油断は出来ない

  まぁ…警戒するにこしたことはねぇーだろう
  充分に注意しような、白夜」

 神護の優しい気遣いに、白夜は、にこぉ~っと笑って頷く。

 「はい 父上」

 そんな白夜の頭を軽く撫でてから、神護は白夜を膝から降ろす。

 「そんじゃ、馬達の脚を止めて、野営の準備でもすっか………
  白夜ぁ~………翼や身体をぶつけねぇーように気ぃーつけろよ

  急成長したセイで、まだ感覚が掴めてねぇーだろうからな
  急成長する前と大きさが違うってことを考えて行動しねぇーと

  成長途中の翼を、あちこちにぶつけることになるからな」

 とりあえず、白夜が今一番にやりそうなことを注意した神護は、一定の速度で走り続ける馬達に休憩を与えてやる為に、御者台にある出入り口へと向かう。

 「はぁ~い…気を付けます」

 白夜自身、その可能性が否定できなかったので、素直に神護の注意に答えて、いそいそと、その後に続くのだった。

 神護は出入り口で脱いだ履物をきっちりと履き、素早い動きができるようにと、革紐を膝下まで編み上げる。
 が、無意識に溜め息を吐いていた。

 はぁ~…この編み上げの革クツって、マジで面倒なんだよなぁ
 だけど、何時、あのネズミ獣人の襲撃があるかわからないからなぁ……

 確かあのネズミ獣人って黒鼠族こくそぞくとかいうヤツだったよな
 見た目がモロにドブネズミっぽいやつ等でなんか不潔ぽかったよなぁ

 あれが、白夜の一族、飛翔族を狙っているんだよなぁ
 ホント、どこから、俺達の存在を嗅ぎ付けて襲って来るのか
 全然わからないからな……用心するにこしたことねぇーし……はぁ~…

 神護は面倒な履物をきっちりと履き、出入り口の棚に入っていた新しいマントを着けて、馬達の身体を拭く為のタオルもどきの厚手の布を握って、御者台へと出た。
 勿論、汗で濡れた馬体を温風で乾かしてやる予定だが、身繕いはしてやる予定なのだ。

 流石に、血統優秀で訓練済みの馬達は、素直で忍耐力が強く、とても勤勉だった。
 神護が馬車の中に入る前と変わらぬ足取りで、指示された街道をただひたすらに、まっすぐに走り続けていたらしい。

 ホント、こいつらってマジで良い馬達だなぁ~……
 俺が指示した通りに、ずっと走っていてくれたようだな

 うん、後ろに続く2台の馬車も全然遅れてないしな
 一定速度で走ってくれているお陰で、馬車もそんなに揺れねぇーから
 御者台からの出入りも楽だったしな

 そんなコトを考えながら神護はストンッと御者台に座り、白夜が馬車の中から出て来るのをゆったりと待つのだった。










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