絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0247★白夜の成長速度ってどのぐらい?


 先頭の1台目の馬車に戻って来た神護は、リーダー役の馬に、他の馬の金具を外すように指示して、水桶を設置していく。
 本来、そんなコトをすれば、馬達は頭が良いので、たったと逃げてしまうのだが、神護がとても良い飼い主であると認識した為、良い子で指示にしたがっているのだ。

 「よし……良いぞ……」

 そう言って、5頭の馬が水桶へと喜び勇んで顔を突っ込むのを確認し、自分の側に控えめに待っているリーダー役の口に風糖ふうとうをポイッと1粒足す。

 「くすくす………他の2頭のリーダーには内緒だぞ
  お前は、おとなしく最後まで待っていたからな、ほらもう1粒な
  お前も喉が渇いてるだろう……」

 そう言って、ポンポンと首筋を叩かれ、リーダー役の馬は尻尾を優雅にフリフリしながら、自分用に用意された水桶へと顔を突っ込んだ。
 勿論、水桶には先に3粒の風糖ふうとうが沈んでいる。

 ちなみに、風糖ふうとうは糖度がとても高いので、水に沈むのだ。
 たっぷりの水(馬達にとって)を飲んだ後に甘い、風糖ふうとうは、まさしく格別なご褒美だったりする。

 「とりあえず、休憩な
  呼んだら応えられる範囲にいるなら、好きにしていて良いぞ
  後で、メシもやるからなぁ~………あまり遠くに行くなよ」

 そう、放した馬達に言って、神護は1台目の馬車の御者台から中へと入って行ったのだった。
 実にお気楽な神護であるが、馬達だって馬鹿じゃない。
 自分達を大事にしてくれる飼い主は、とても貴重なのだから…………。

 神護は、馬車の中に入って、直ぐに異変に気付いた。
 小さな噛み殺した声を聞いたのだ。
 そう、白夜の押し殺した苦痛の声を………。

 「ん? 白夜? どうした?」

 そう言いながら、神護は白夜をうつ伏せに寝かせたベットへと進む。

 ……っ……あっ…… 父上が来てくれた……

 神護に声を掛けられた白夜は、まだ絹に似た毛布もどきを被ったままだった。
 白夜を心配した神護は、ベットの前まで来て、ベットの中を確認しようと屈み込んだ。

 次と瞬間、白夜はビクッとを振るわせ、ベットの前に屈み込んだ神護に両手を伸ばした。
 神護は、卵から孵ってからこっち、何時でも、そういう風に抱っこをねだる白夜を抱き上げていた。

 だから、両手を伸ばしてきた白夜を、何の気なしに抱き上げる。
 そして、すぐに先刻よりも、その身体と翼が少し大きいことに気付く。

 「父上ぇぇ~ …痛いですぅ~…… 特に…背中が……灼けるように…
  痛くて なんか…… 身体もあちこち 痛いんですぅ………」

 幼い声で訴える白夜に、神護はソッと馬車の中に設えてあるベットに腰を降ろして、自分の膝に座らせる。
 そして、少しだが大きくなった白夜の身体の背に生える翼をさりげなく観察する。

 やっぱり…大きくなっているな……今回は身体も伸びたか………
 翼だけでも、つらいだろうに………

 しかし……白夜…いや、飛翔族の特徴って大鳥みたいなモノなのかな?
 その特性を持っていると思って良いのかなぁ?

 これでいくと、白夜の成長速度って鳥と一緒ぐらいかも知れないな?
 ニワトリの雛って、どのぐらいで成鳥だったっけ?

 卵用のニワトリだと………半年ぐらいから卵を産むよなぁ?
 野生の鳥ってどのぐらいなんだろう?

 確か、大型の鳥………孔雀って3歳くらいからだったよなぁ?
 さて、どのぐらいで成人の姿になるのかな? 






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