絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0237★まだまだ雛でも、さすが幻獣【カーバンクル】

 さて、どうするかなぁ~と思いつつ、神護は白夜を御者台に乗せていない2台目の馬車の馬達に近寄り、馬具を確認しつつ、一応は1頭ずつ声をかける。

 「とにかく付いて来い、走るのキツクなったら、いななきを上げろ
  そしたら、休憩させてやるからな、とにかく、まずは街道へと出よう

  とりあえず、街道に入ったら、水を飲ませて休ませてやるからな
  日が落ちる前に、まずは街道に入るぞ」

 神護は馬具が外れていないコトを確認しながらそう言い、3台目の馬車に繋がれた馬達にも同じように、首筋を叩いてそう声を掛けたのだった。

 神護は、18頭の馬達の首を軽く挨拶代わりに1頭ずつ叩いて、自分が新たな飼主であるコトを教える。
 丁寧に、18頭の馬具を確認した神護は、白夜とリオウを乗せた先頭の1台目へと戻り、その御者台へと乗り込む。

 御者台では、白夜が幻獣【カーバンクル】の雛が入った大きな鳥籠を大事そうに抱きしめながら、神護が戻って来るのをジッと待っていた。
 勿論、そのわりと広めな御者台の背中部分にある、そこそこ広めの場所に、リオウは身体を伏せて、ゆったりと待っていた。
 
 神護は、御者台に乗ると同時に、白夜に言う。

 「白夜、その【カーバンクル】の雛の入った鳥籠は、足元に置け
  じゃなきゃ、馬車ン中に入れてやれ

  まだ、コイツはみるからに雛のようだからな
  足元に置くなら、鳥かごの上に直射日光が当たらないように
  なにか、布でもかけてやれよ」

 そう言ってから、背後の板部分に伏せているリオウにも声を掛ける。

 「リオウも、そこにいるのがきついと思ったら、声を上げろな
  したら、馬車の入り口をあけてやっから、中に入って休めよ」

 その言葉に了承したとばかりに、リオウは甘ったれた感じで喉を鳴らす。

 クルルルルゥゥゥ~…ルルゥゥゥ~……クルクル………

 神護がリオウに声を掛けている間に、白夜は言われた通り足元に鳥籠を置き、何か掛けるモノはないかと首を傾げていた。
 そんな白夜に、アデルがポイポイと出した中に入っていた綺麗な刺繍が施された円形の布を出して言う。

 「白夜、コレでも掛けてやれ」

 そう言って手渡されたソレは、水の精霊の加護が刺繍として縫いこまれた モノだった。
 神護には、その価値はわからないモノだったが、下級貴族でもなかなか手に出来ないモノだったりする。

 なぜなら、その刺繍された円形の布には、ちゃ~んと水の精霊の加護が込められており、ジリジリとした暑さの中に、爽やかな水分を含んだモノ感じるコトが出来るモノだったから………。
 白夜は、その円形の刺繍が施された布を手にした時、それで感じたモノに驚き、よくよく見て神護に言う。

 「父上 これ 水の精霊の加護の刺繍があります
  お陰で とても気持ちイイ涼しさを感じます」

 嬉しそうにそう言いながら、白夜は幻獣【カーバンクル】の雛が入った足元の鳥籠と膝にふんわりと掛けた。
 熱砂の砂漠の暑さに負けて、ぐったりしていた幻獣【カーバンクル】の雛が、途端に小さくご機嫌な様子で謳う。

 ピュルルゥ~…キュルキュルゥ…ピュピュゥ~………

 水の精霊の加護付きの布で、日陰を作ったコトで、幻獣【カーバンクル】の雛は楽しそうに謳った後、鳥籠の真ん中でうずくまるようにして、スウスウと眠りに入った。
 そして、神護はその直後に気付く。

 おやおや、こんなにちっさいのに、防御の術を掛けたようだな
 こいつは、すごく律儀な子のようだな

 にしても、幻獣【カーバンクル】の雛かぁ~……
 ゲームキャラと似たような術を持っているんだな

 じゃなくて、今は街道に出ないとな
 アデル達キャラバンが上げる、土煙を見失ったら不味いからな







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