絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0234★ブチハイエナ族は、騒がしい種族ですから


 そんな、出来る商人になりつつあるカランに、アデルはニッコリして言う。

 「カラン、お前もだいぶ出来るようになりましたねぇ
  安心して、のれん分けできますね
  故郷に戻ったら、分店の証しをすぐに作りましょうか……」

 積み終わったことを報告するカランに頷き、アルデは神護に向き直って挨拶する。
 
 「それじゃ、神護のだんなぁ…アタシはこれで失礼しますね
  どうやら、指示した肉の全部を積み終わったようなので………

  これから全速力で、まずは彩湖さいこ王国の東の端にある
  美里みさと街に向かいます

  それでは、また、ご縁が有りましたらお会いしましょう
  カラン、行きますよ

  アナタも、もう充分一人前ですからね、さっさと帰郷かえって
  仮ではないキャラバン隊を準備しないとなりませんね」

 そう言ってアデルは、自分のキャラバン隊へと全速力で戻って行く。
 その後を、カランが同じように走り、自分が乗って来た馬へと飛び乗る。

 神護とアデル達のやり取りを、護衛役のオオカミ族のリセルがスッと頭を下げ、一礼して自分が乗ってきた馬に飛び乗り、アデルとカランの側にスッと寄って警護する。
 同時に、少し離れた場所で散開していた他のオオカミ族の護衛達も、それぞれが警護の為の定位置へと再度散って行く。

 そして、アデルの号令の元、早々に馬車達の方向転換をすると、のれん分けを約束されているカランが細かく指示を出す。
 キャラバン隊としての配置に付いたと同時に、ブチハイエナ獣人のアデル率いる馬車達は、一目散に街道へと戻っていった。

 「ふむ、ありゃ~…魔術師も連れていたのかな?
  商隊全部に《結界》を張って、加速の魔術でも掛けているんだろうな

  アデルさんは、本気で故郷の姫君を助けたいんだなぁ………
  インベントリの中に入っていたモン全部を放り出して
  あの巨大な頭を丸ごと持って行ったんだから………

  まっ……そうだよなぁ~……欲望だけが一人前のボンクラが
  故郷の国の跡継ぎになられちゃたまらないよな

  じゃなくて、置いていった馬車と馬の確認しなきゃな
  一応、飛翔族の情報もそれなりに手に入ったしな………」

 アデル達一行の後ろ姿を見送った神護は、自分のマントを被っておとなしくリオウの腹に縋っていた白夜の元へと行き、ひょいと抱き上げる。

 「まぁ~悪意は感じなかったが、えらく騒々しいヤツだったな、白夜」

 神護にそう言われて、頭からすっぽりとマントを被っていた白夜は、ヒョコッと顔を出して頷いて言う。

 「はい 流石に ハイエナ族の中でも一番騒々しいと言われている
  ブチハイエナ族だけありましたね

  それに 旅商人目指すリカオン族がいるなんて知りませんでした
  リカオン族は 基本的に 冒険者やハンターになりますから

  あの一族の獲物の獲得率は異様なほど高いんですよ
  もっとも 商人らしい体型してましたから あのカランと呼ばれた
  リカオン族の青年は 旅商人として大成するでしょうね」

 落ち着いた口調でそう言う白夜に、神護は苦笑する。

 一番騒々しいブチハイエナ族ね…どうりで……ハァ~……
 でも、ちょっと疲れたな…気疲れだな………じゃなくって

 アデルにもらった幻獣【カーバンクル】の雛が入った銀色の鳥籠を、抱き上げた白夜に差し出しながら言う。

 「くすくす………白夜、幻獣【カーバンクル】の雛だってよ
  コイツは、あやうく薬ンなるところだったらしいぞ

  意外と可愛い姿してっから、ペットとして飼おうか?
  慣れたら鳥籠から出して、つれて歩こうぜ

  まだ、コイツがオスかメスか判らないけど
  いずれ、ペアを探してやろうな」

 そう言って、白夜の前に鳥籠を差し出す神護だった。






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