絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~
0219★本能より食欲は勝るらしい
神護は足を止めることなく、ただひたすら歩く。
延々と続くサバンナの帯には、色々な生き物が生息していることが、明るくなったことで見えるようになっていた。
遠目には、草食獣を付け狙っているらしい、肉食獣と思われる動物の姿も見える。
神護は、少しだけ警戒する。
大丈夫だとは思うが…もしもの時はきっちりと一撃で沈めないとな
こっちには、ヒリュオンの子供のリオウに、成人前の俺に
まだ幼児の白夜だからな、要注意だな
そんな警戒をしつつも、神護はただひたすらに歩いた。
んぅ~…ホタルの視界で観た限りじゃ、俺の歩く速度で
だいたい半日ぐらいかな? けっこう休まずに来たし……
足を止めずに歩き続ける神護の側を、リオウも黙々と着いて来る。
ある程度の熱さには耐性があるヒリュオンだけあって、熱砂の砂漠の中にあるサバンナの帯のセイで、そこまでつらさは感じていないのだ。
リオウがひたすら気にしていたのは、虹色オオトカゲのことであった。
種族的な記憶として、虹色オオトカゲは、ヒリュオンを好物としている為、見付かったら一目散に、何を置いても逃げるという選択肢しかないのだ。
そう、それがヒリュオンにとって貴重な獲物を獲ったばかりでも……。
腹ペコ状態で、やっと獲物を獲ったばかりのチーターが、ハイエナに囲まれるのを避ける為に、姿を見たら猛ダッシュして逃げるように………。
ヒリュオンは、虹色オオトカゲの姿の影をわずかにでも見かけ、その匂いを拾ったならば、猛ダッシュしなければならないのだ。
だが、リオウは、強い神護が自分を庇い、かならず倒してくれるという確信がある為に【竜ケ峰】の樹海という棲み家から出て、虹色オオトカゲの生息地である、サバンナの帯を歩くことになっても、平気だったのだ。
なまじ、稜線のところで、子供の虹色オオトカゲをあっさりと一撃で殺し、美味しく内臓と味付けされた肉を食べていたので…………。
サバンナの帯を歩くリオウは、もう一度虹色オオトカゲの内臓と肉を食べたいと思っていたりする。
そう、リオウのヒュリオンとしての恐れるという本能は、食欲という煩悩の前に、あっさりと消え去っていたのだった。
神護は、ルンルンと聞こえそうなほどご機嫌で歩くリオウに、腕の中からサバンナの帯の中や、その外の礫砂漠を楽しそうに観察している白夜を確認し、まだ大丈夫と、ひたすら歩き続けた。
太陽が完全に中天に昇った頃、再び石化した巨大な倒木を見付けた神護は、そこで足を止めて、その影に入り、休憩することにした。
「とりあえず、俺達を襲うような無謀な動物はいなさそうだから
ひとまず、休憩だな、脱水したら不味いからな………」
そう言って、まず最初に、水袋から水を器に注いで喉を潤した。
勿論、白夜もリオウもたっぷりと水を飲み、調理済みのお肉をもらって、ホクホク顔でのうのうと、昼食を食べていた。
神護は、熱風と変わらない風景に、ちょっと辟易して来ていたので、ここで少し長めの休憩をとることにしたのだった。
いや、流石に無尽蔵な体力と《魔力》を持つ神護でも、代わり映えしない景色には、飽きて来て居た。
神護達は、サバンナの帯で、巨大な石化した倒木の日陰で、喉を潤す為に、水を飲み、果物を食べながら、ゆったりとしていた。
ちょうど良い疲労感に、なんとなくの睡魔が忍び寄って来て、一瞬うつらぁ~とした頃。
とんでもない地響きが、その周囲に響き渡る。
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