絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~
0209★礫砂漠《れきさばく》へ向かおう
「だって、白夜が言ったんだぜ……穢れたと……そしたらグレンも
生まれ変わりたいとか……そう思わないか?
まして、ここに禁断の【転生術】を成功させた白夜が居るんだぞ」
言われて、白夜はびっくり眼から、はっとして頷く。
「そう…ですね 危険はともないますが 父上が居るならば
穢れを受けたグレンを 生まれ変わらせることも可能です」
瞳をキラキラさせて言う白夜に、神護は柔らかく微笑って頷く。
「だろ……だから、とにかく本人を見付けたら、なにがなんでも
それこそ、どんな手を使っても、こっちに奪取しねぇーとな
後は、絶対に安全な古の女神の神殿に《転移》して
孵化させれば良いだけだろう」
だから、穢れなんて気にするなという神護に、白夜は涙が零れた。
自分が鬱々と逃れようの無い罪(自分だけが助かり、弟達を守れなかったこと)にもがいている時、最善を探していてくれたことに………。
「そっか…グレンに【転生術】を施すという 手があったか………
なら どう観ても 心を失っているように見えたシレイにも
なんとか意識を目覚めさせれば………」
腕の中でぶつぶつと呟く白夜に、神護はクスクスと笑う。
ふふふふ……もし、白夜が弟達や同族に…【転生術】を施すなら……
可愛い飛翔族の子供達がワラワラと……きっと可愛いだろうなぁ~
さぁ~…頑張って……飛翔族を集めないとな
ここに、あいつらが居たら、ぜってー賛成って言うな
神護は、飛翔族の子供達が背中の翼をパタパタさせながら遊ぶ、幸せな幻想をついつい思い浮かべた。
神護は、ペットショップなどで犬種問わず子犬達を遊ばせているような情景を思い浮かべて、クスクスと笑っていた。
そうこうするうちに、神護は白夜が孵化してからウロウロした【竜ケ峰】の緑豊かな森林を抜け出て、木もまばらな方へと歩き始めた。
あまり礫砂漠に近い付近を歩くと、熱風が来て喉が渇くのと、虹色オオトカゲに出くわす確率を下げる為、少し離れて歩いていたのだ。
それでも、礫砂漠が視認できる辺りを歩いていた為、神護はそろそろ頃合いかな?と、礫砂漠へと進路を向けて歩き始めた。
とはいっても、神護の足なら歩いても2時間も掛からない距離だが…………。
白夜を腕に抱いた神護は、敵と遭遇することも無く、あっさりと樹海の稜線から礫砂漠へと出た。
礫砂漠に足を踏み入れた頃、太陽がほとんど沈み込み、その残光をわずかに残すだけとなっていた。
お陰で、すぐに灼熱の礫砂漠を歩くということにはならなかった。
「さて、どうする白夜? このまま少し礫砂漠を歩いてみるか?
それとも、あの古の女神の神殿に《転移》で戻るか?」
まだ、礫砂漠を渡る熱風は残るものの、温度的には動き易い日没後の時間になっているので、このまま進むか、1度帰るかの選択を白夜に振る。
「どうせなら このまま少し礫砂漠を進みたいです
私は この砂漠を渡っていませんので 日中の砂漠が
どの程度の熱いかわかりません
礫砂漠を歩いて 街道に出るのにどれくらい
時間がかかるかもわかりませんし………
それに 少し自分の足で歩いてみたいです」
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