絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0162★豹に似たのがヒリュオン、コヨーテもどきがヨーテだそうな


 神護達の目の前では、図体は大きいが、あきらかにまだまだ子供の豹に似た獣の方が、圧倒的に不利な戦いが繰り広げられていた。

 「父上 なんか……可哀想です…… 確かに ヒリュオンの方が
  見かけは大きいですが ヨーテ達の方が集団で成獣に近いし…」

 〔まるで あの日を 見ているようだ 多勢に無勢だった
  黒鼠族こくそぞくの黒き河の兵士達に襲われた
  あの日のようだ いやだ 許せない

  女神サー・ラー・フローリアン様の神殿で 捕らわれた
  弟達の酷い姿をた…………

  今 どうしているだろうか? グレン シレイ くそっ

  転生前の《力》があったならば たとえ 無謀だとしても
  飛んで行けるなら 今すぐにでも お前達を助けに行きたいのに

  この身は幼く 翼も小さく形だけで なんの《力》も無い身では
  助けに行くどころの話しではない なんと情けないコトか

  だが 今の私は 【守護者】たる父上の手がなければ
  生きることさえ難しい〕

 白夜は、神護の服をギュッと握り、ヨーテ達に囲まれて逃げようがなくなっているヒリュオンを心配そうに見ているしか出来なかった。
 その姿を見て、黒き河の兵士達に………黒鼠族こくそぞくの男達に追い詰められた、自分達と重ねてしまったのだ。

 ふぅ~ん…豹に似た獣は、ヒリュオンという名前なのか
 コヨーテもどきは、ヨーテね

 俺が生まれ育った世界の生き物と、種族名が似ているものと
 ほとんど音が重ならないモノがいるようだな

 白夜は、かなりあのヒリュオンに同情的だな
 まぁ、俺としても、豹に似た方が好きかな
 んじゃぁ~……あの1匹だけのヒリュオンの味方をするかな

 神護は、白夜の言葉に潜む希望と、自分の欲望に、忠実に従うことにした。

 その視線の先では、そのヒリュオンが、全身の毛を逆立てて、雷光をほとばらせていた。
 辺りに、イオン臭が漂うが、ヨーテの集団にはあまり効果は無かったようだった。

 雷光を浴びたヨーテは、水を被った犬のように全身をブルブルっと振って、再び唸り声を上げながらヒリュオンの子供に襲い掛かる。
 が、黙って見ている気が無くなった神護は、スイッとヒリュオンの近くへ移動する。

 そして、自分と白夜を包む《結界》を広げて、ヒリュオンの子供をヨーテから隠してしまった。

 獲物ヒリュオンを突然見失ったヨーテ達は、たたらを踏んで、辺りを見回す。

 が、どこにも、たった今まで取り囲んでいた獲物ヒリュオンがいないと感じて、リーダーらしきヨーテは不満そうにクオンッと鳴いて、次の獲物を探しに掛かった。

 他のヨーテもそれに追随し、そのまま樹海もどきの中へと走り去って行った。




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