絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0140★おいしいイワウオを食べながら、白夜の密かな後悔

 上機嫌で、顔を洗う子猫のような愛らしい白夜に、神護はふっと表情が緩む。

 確かに、イワウオは、とても美味しかったな……
 マジで、なぁ~んの調味料も使ってないのに……

 これで、調味料や香辛料なんかがあったらなぁ………
 きっと、もっと美味しかったろうなぁ…………

 そんなことを思いながら、神護は白夜のセリフに頷く。

 「ああ、美味かったな………で、どうする? 白夜
  もう少しイワウオを獲って食べるか? それとも……
  安全をとって……さっさと、先に進むか?」

 神護の言葉に、幻と言われるイワウオへの未練はあったが、早く【竜ケ峰りゅうがみね】を降りて、とりあえず街へと入りたい白夜は、ちょっと小首を傾げてから言う。

 「焼きイワウオのお陰で とりあえずの空腹感はなくなりました
  ここは街に行くことを優先した方が良いと思います
  やっぱり塩や香辛料が欲しいです あと 果物も…………」

 焼いただけのイワウオも確かに美味しかったが、きちんと調理されて、味付けされたモノが食べたいという要求を、白夜は強く感じた。

 その為には、街へと降りる必要が有ったので、迷わず先に進むことを進言した。
 神護も白夜と同じ気持ちなので、あっさりと頷く。

 「んじゃ、さくさくと先に進むか…………」

 そう言って、か弱いひよこの持つような、幼い翼に負担を掛けないようにように、 白夜にマントをソッと羽織らせた。
 流石に、誰も居ないだろうと、たかをくくるコトはできなかった。

 実際に、こちらに来て《索敵》や《探索》をかけても、突然に敵が現われたので………。

 白夜の翼への負担も気になるが、警戒は必要だもんな

 マントを付けた神護は、白夜をひょいと腕に抱いて、再び小川に沿うようにくだり始める。

 神護の腕に抱き上げられた白夜は、小さな両手で神護の衣服を掴みながら、内心で盛大に溜め息を零していた。

 〔はぁ~ 私に 本来の《力》 そう飛翔族の
  祈願成就の《力》が発動できる 翼があったなら……
  父上に こんなに苦労をかけずにすんだのに………〕

 白夜は神護の腕の中から、川面や樹海の木々を見て、内心で首を振る

 〔私は 転生前 ただただ 禁断の魔術書【輪廻転生】を
  行うことばかり 再誕を成功させるコトだけを考えていた

  全然 その後に起こるだろうコトや 必要なモノが
  まるっきりわかっていなかった………〕

 うなだれる白夜に気付いた神護は、ちょっと内心で溜め息を吐いていた。

 あ~あ……白夜のヤツ落ち込んでいるな……まったく
 ……きっと……記憶持って【輪廻転生】したのに………

 思うようじゃないことに、焦れてるんだろうなぁ………
 街まで、どれぐらいの距離があるか、知らないけど

 とにかく進めるだけ進んで、暗くなる前に、今度は……そうだ
 ……ウサギでも獲るか……肉本来の味でも、美味いだろう……

 じゃなきゃ……鳥だな……鹿とかイノシシあたりになると
 処理が大変になるからな………食べ切りサイズを獲ろう

 そんなコトを考えながら、神護は足場が悪いのもなんのそので、どんどん小川に沿って歩き続けた。




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