絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0001★それは、妬(ねた)み嫉(そね)みによる、暗い誘惑

 その世界には、飛翔族とよばれる大空を飛ぶコトのできる翼を持ちし種族がいた。
 そして、その飛翔族と呼ばれる種族が持つ翼には、願望を成就させるという稀有な《力》が、光りと大気を司る光風こうふうの女神の寵愛により付与されていた。

 そして、まことしやかに語られるのは………。
 大きく美しい翼になるほど、大きな願いを叶えられるというモノだった。

 遥か古代には、背に負う翼が複数あり、その願いを叶える《力》は、今よりも遥かに強力だったと言われている。

 最強と謳われた天翼鳳皇てんよくほうおうは、その手首に、足首に、耳脇にも飾り羽があったという伝承があった。

 魔力量は他種よりはるかにあれど、身体的には弱き種に入る飛翔族を、その強大な《力》で、外敵より護り、導いたと…………。

 また、光風こうふうの女神と共に、邪悪なるモノを封じたと………。

 誰もが欲しがる、願望成就の《力》を奪われぬために、飛翔族は峻厳なる山脈の中に、輝く峰の国という王国を築いていた。

 だか、安穏とした平和に慣れきり、欲望に堕落した一部の飛翔族の者達が堕ちたことから、その種族の崩壊は始まった。

 そう、一部の飛翔族と商人の一部が、大地を覆う黒き影の一族と呼ばれる黒鼠族こくそぞくが支配する、黒き河の国の兵士達の手引きして、輝く峰の国を裏切ったのだ。

 それは、主に商人として活動する彼ら茶色の羽根の者………通称・茶羽根族ちゃばねぞく………は、何時も何時も色々なモノを欲しがり願うために、願う《力》が一つに集約されず分散される為、願望達成能力が無いに等しい状態に陥っていた。
 そう、物欲が強すぎるがゆえに………。

 それゆえに、欲が薄く願うモノが大抵一つしかない為、その願いがほぼ叶う王族や上位貴族を、茶羽根族ちゃばねぞくの者達はうらやねたんでいた。

 『自分達も、王族や貴族並みの
  願望達成能力が欲しい』

 その為には、彼ら王族の血を取り込むしかないと思っていた。

 それに黒き河の国の王ジャハード・ムハーリ・ハーリィア黒き鼠の王が囁いたのだ。

 「我らに、協力するならば、そなたらにも
  輝く峰の王族や貴族の姫を与えよう

  その代わり、我らに輝く峰の国の
  領土の一部を貰おう

  そなたらは戦う必要は無い
  悪い取引ではないだろう」

 その誘惑にあらがうには、魅力的過ぎる甘言に負け、茶羽根族ちゃばねぞくの長たる男は、確認の為に聞く。

 「本当に、私らはあなた達を
  案内するだけで宜しいんですね」

 「それでよい」

 「わかりました
  それで王族の血筋が手に入るなら………
  喜んで、ご案内いたします」

 そうして、彼ら茶羽根ちゃばねの者達は、その欲望により、祖国を裏切ったのだった。






「絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く