俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!
紅い月
 何年前のことだろう。
私は森の中で生まれた。濃い魔力を持った森の中のこの教会で、この姿で。
この教会の中には様々な道具が揃っていた。魔道具や本、保存食まで。この教会は誰も使ってない廃教会だった。
それから数年後のことだ。
それはたまたまだった。教会の中にある書庫にあった本。
眠っていた、多くあるうちの一つ。たまたま手に取ったそれを私は読んだ。
 ひとりぼっちのお姫様。王子は花壇の前で会ったそのお姫様に一目惚れした。
 王子はお姫様を花嫁として自分の家に招き、お姫様を孤独から救った。
 孤独から開放されたお姫様は王子を愛して二人は幸せになった。相思相愛めでたしめでたし。
ここで物語は終わり。
花嫁を見つければ、私も愛を知れるのかな……?
それから、私は私だけの花嫁を探し始めた。
でも、いくら探してもピンとこない。
あれは探し始めてから、何年たった頃だろう。この森に変化がおこった。
珍しくこの近くの木や動物がざわめいている。
何かあったのかと、小屋にある鏡を覗く。
この鏡は、自分の見たい場所の様子やひとを映し出してくれる優れものだ。
初めは、普通に私の姿が映っている。ロングヘアの金髪に蒼い瞳。少女を思わせる幼い身体。
 そこに、この森を映し出すように念じる。大体の場所は気配でわかる。
念じると、鏡に変化がおこる。
そこに映っていたのは、少女だ。私と同じくらいの身長。長く伸びた灰色の髪、その隙間から赤い瞳が見える。
 その少女は誰かから逃げていた。どのくらいそうしていたのか、裸足で走っている少女の足にはたくさんの傷がある。
後ろから、三人以上のローブを被っている奴らが少女を追いかけていた。
 普段なら、きっと放っておいたはずだ。でも、今回は出来なかった。
見た瞬間、足りなかったピースがハマる音がした。この子と話がしたいと思った。その体に触れたいと思った。
「ふふっ。これが、一目惚れというやつなのね。やっと、やっと見つけたわ。私の花嫁……」
初めて……特定の誰かの血を飲みたいと思った。
いつもなら、誰の血でも、飲めれば良かったのに。
初めて……自分だけのものにしたいと思った。
これが独占欲というものなのね。
色んな初めてが私の中を渦巻いていた。
とりあえず、この子を助けないと。
「血液操作」
私がそう呟くと、鏡の向こうで霧が立ち込める。
この森は迷い森。
時間ごとに森の構造が変わる。
この森を理解してる人しかこの森を抜けることは出来ない。
この森で生まれた私でさえ、初めは迷ったくらいだ。
足の傷も、治してあげなきゃ……。
そうして私は傷も治した。
「花嫁を迎えに行かなきゃ」
会うのが楽しみ。
色んなことを教えてあげたいし、色んなことを教えて欲しい。
「準備をしないと」
花嫁を迎えに行く準備を。
そして、私は花嫁に会った。
気付かれないよう、しっかりと変装して。
少女はギルドにいて、初めて名前がティナだとわかった。
フードから零れた髪は灰色から白に変わっていて、前髪も切られていた。
それから七位を自分の血で操って、ティナと二人きりになった。
緊張して、初めは言葉が出なかったけど、その綺麗な首筋を見てしまった瞬間、我慢が効かなくなった。
カプリと噛みつき、血を貰う。
想像以上に美味しくて、がっつきすぎたかなと思って顔をあげたら、目をとろんとさせて 
、頬を赤くさせて息を切らしていた。
その時に吸血鬼には、また血を飲んで欲しいと思わせるために、血を飲む際相手に快楽を与えることを思い出した。
でも、後悔はしてない。だって、可愛かったから。
心臓がドキドキして、もっとその顔を見ていたいと思ったし、髪の毛を撫でて抱きしめたいとも思った。
 なのに途中で七位の洗脳が溶けてしまった。
ほんとタイミングが悪い。
でも、ティナは寝てしまったからある意味タイミングが良かったとも言える。
あとはそのまま廃教会までティナを運んだ。
その寝顔をずっとみていたいけれど、気付かれた以上、ここが絶対に安全だとは言えなくなってしまった。
私はティナを椅子に寝かせると、外に結界を張った。
そしてそのまま、教会の屋根に腰を下ろす。
顔をあげると、そこには綺麗な紅い満月が出ていた。
掴めないと知りながらも、そっと手を伸ばす。
「はやく目覚めないかしら。私の花嫁……」
やはり伸ばしたその手は何も掴むことは出来なかった。
私は森の中で生まれた。濃い魔力を持った森の中のこの教会で、この姿で。
この教会の中には様々な道具が揃っていた。魔道具や本、保存食まで。この教会は誰も使ってない廃教会だった。
それから数年後のことだ。
それはたまたまだった。教会の中にある書庫にあった本。
眠っていた、多くあるうちの一つ。たまたま手に取ったそれを私は読んだ。
 ひとりぼっちのお姫様。王子は花壇の前で会ったそのお姫様に一目惚れした。
 王子はお姫様を花嫁として自分の家に招き、お姫様を孤独から救った。
 孤独から開放されたお姫様は王子を愛して二人は幸せになった。相思相愛めでたしめでたし。
ここで物語は終わり。
花嫁を見つければ、私も愛を知れるのかな……?
それから、私は私だけの花嫁を探し始めた。
でも、いくら探してもピンとこない。
あれは探し始めてから、何年たった頃だろう。この森に変化がおこった。
珍しくこの近くの木や動物がざわめいている。
何かあったのかと、小屋にある鏡を覗く。
この鏡は、自分の見たい場所の様子やひとを映し出してくれる優れものだ。
初めは、普通に私の姿が映っている。ロングヘアの金髪に蒼い瞳。少女を思わせる幼い身体。
 そこに、この森を映し出すように念じる。大体の場所は気配でわかる。
念じると、鏡に変化がおこる。
そこに映っていたのは、少女だ。私と同じくらいの身長。長く伸びた灰色の髪、その隙間から赤い瞳が見える。
 その少女は誰かから逃げていた。どのくらいそうしていたのか、裸足で走っている少女の足にはたくさんの傷がある。
後ろから、三人以上のローブを被っている奴らが少女を追いかけていた。
 普段なら、きっと放っておいたはずだ。でも、今回は出来なかった。
見た瞬間、足りなかったピースがハマる音がした。この子と話がしたいと思った。その体に触れたいと思った。
「ふふっ。これが、一目惚れというやつなのね。やっと、やっと見つけたわ。私の花嫁……」
初めて……特定の誰かの血を飲みたいと思った。
いつもなら、誰の血でも、飲めれば良かったのに。
初めて……自分だけのものにしたいと思った。
これが独占欲というものなのね。
色んな初めてが私の中を渦巻いていた。
とりあえず、この子を助けないと。
「血液操作」
私がそう呟くと、鏡の向こうで霧が立ち込める。
この森は迷い森。
時間ごとに森の構造が変わる。
この森を理解してる人しかこの森を抜けることは出来ない。
この森で生まれた私でさえ、初めは迷ったくらいだ。
足の傷も、治してあげなきゃ……。
そうして私は傷も治した。
「花嫁を迎えに行かなきゃ」
会うのが楽しみ。
色んなことを教えてあげたいし、色んなことを教えて欲しい。
「準備をしないと」
花嫁を迎えに行く準備を。
そして、私は花嫁に会った。
気付かれないよう、しっかりと変装して。
少女はギルドにいて、初めて名前がティナだとわかった。
フードから零れた髪は灰色から白に変わっていて、前髪も切られていた。
それから七位を自分の血で操って、ティナと二人きりになった。
緊張して、初めは言葉が出なかったけど、その綺麗な首筋を見てしまった瞬間、我慢が効かなくなった。
カプリと噛みつき、血を貰う。
想像以上に美味しくて、がっつきすぎたかなと思って顔をあげたら、目をとろんとさせて 
、頬を赤くさせて息を切らしていた。
その時に吸血鬼には、また血を飲んで欲しいと思わせるために、血を飲む際相手に快楽を与えることを思い出した。
でも、後悔はしてない。だって、可愛かったから。
心臓がドキドキして、もっとその顔を見ていたいと思ったし、髪の毛を撫でて抱きしめたいとも思った。
 なのに途中で七位の洗脳が溶けてしまった。
ほんとタイミングが悪い。
でも、ティナは寝てしまったからある意味タイミングが良かったとも言える。
あとはそのまま廃教会までティナを運んだ。
その寝顔をずっとみていたいけれど、気付かれた以上、ここが絶対に安全だとは言えなくなってしまった。
私はティナを椅子に寝かせると、外に結界を張った。
そしてそのまま、教会の屋根に腰を下ろす。
顔をあげると、そこには綺麗な紅い満月が出ていた。
掴めないと知りながらも、そっと手を伸ばす。
「はやく目覚めないかしら。私の花嫁……」
やはり伸ばしたその手は何も掴むことは出来なかった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
267
-
-
549
-
-
63
-
-
140
-
-
1168
-
-
4
-
-
70810
-
-
0
-
-
29
コメント