俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!

白林

負けられない戦い2

 始まりの鐘が鳴るなり、俺達は言葉を合わせた。

「「剣よ出でこい!」」

 すると、相手の手の中に光の粒が集まり、剣の形を形成していく。

 俺も一応手をかざしてはみたが、やはり剣は影がぐにゃりと歪み俺の手の中に収まることはなく、目の前に現れるだけだった。

それを俺は抜き、手に取る。
魔法で戦っても良いのだが、技の威力も、上手く扱えるかもよく分からないし、1回でも使っているこの剣の方が信用出来る。
それに、相手も剣を使うとなれば技量が勝敗を分けるだろう。

ーーそうなれば、俺は負ける気がしない。

こう見えても、剣には自信がある。

剣を構える。
腰を低くおろし、姿勢を作る。

「ははっ。何?その剣の構え方は?もしかして、剣を扱うのは初めてかな?」

ルーカスはクツクツと笑うと、自身も剣を構える。

 そのまましばらくどちらとも動かず、しんとした緊張感のなか、初めに動いたのはルーカスだった。

 真正面から剣どうしがぶつかり、キンッという甲高いかんだかい音が辺りに響いた。

ーー剣が、重い。

何度か剣を交える。

 構え方や、態度を見て相当な手練だとは思っていたが、まさかここまでとは。

「君の実力って、こんなものなのかなぁ?ふふっ。彼女はきっと失望するだろうね!信じてた君が負けて僕のもの・・になるんだから!」

ルーカスは余裕顔で更に斬りかかってくる。

 シェラと一緒にいた男とは比べ物にもならない。

 ーーでも、まだ足りない。

 この剣は、確かに重く隙を与えずに俺に襲いかかる。

だが、経験が浅い。

何度か剣を交える中で俺はわざとルーカスが優位に立てるように誘導する。しかし、ルーカスはその事に気付けない。

 きっとモンスターや弱い相手ばかりと戦っていたのだろう。

剣がぶつかる。
ルーカスは何とかこのまま押し切ろうと剣を持つ手に力を込める。

その行動に俺は失望する。
こいつは馬鹿なのだろうか?
こんなに力を入れれば……。

俺は、サッと剣を引くと、素早く横へと移動した。

 するとやはり、剣に力を込めていたルーカスの体は前へとバランスを崩す。

「なっ」

咄嗟とっさに起こったことに対応する速度も遅い。

俺は剣の柄でコンッと軽くルーカスの首筋を叩く。

ルーカスはそのままフィールドへと倒れた。

そして数秒経ち、アナウンスが俺の勝利を告げた。

「口ほどでもなかったな」

呟いた俺の声は誰に届くのでもなく消えていった。

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